第一話
ふと気が付くと明るい光に包まれた広い神殿のような場所にいた。
手や足を動かそうとしてもその感覚はなく、なんだかフワフワとした感覚がある。
「ようやく気が付いたか。」
目の前から声がしたかの思えば人らしきシルエット立っていて、ゆっくりとこちらに近づいてくる。
訳も分からずにいるとそのシルエットが自分の目の前で止まると自分より年上っぽい男性の声で
「君の名は相川 雄一だな?」
「は、はい。ここは・・・どこですか?」
戸惑いながらその男性のシルエットに問いかけると
「私は創生神。君たちの世界で言えば神様だ。突然で申し訳ないが、君はもう現世で死亡している。」
あまりに突然の事で「え?」と聞き返した。がもう一度その男性のシルエットは
「君はもう死んでるのだ。今の自分の姿をよく見てみなさい。」
そう言うと自称神様は掌を自分の前にかざすと鏡のような物が出てきて丸くプカプカと
浮かぶ物体を映し出している。
「今出した鏡に映っているのは君だ。人の姿ではなく丸く浮かんでるだろう?」
これが魂?てか43歳でもう人生終わりかよ・・・と途方に暮れていると
「ここは所謂あの世とこの世の中間地点で、今後の君の魂をどうするか決める場所だ。通常は現世で悪事を行い続けた人間以外はこのまま魂を浄化してあの世に送り出すのだが、君がこれまで歩んできた人生を振り返るとだなぁ・・・」
そう言うと左手に持っている分厚い事典のよう物をパラパラとめくると
「とりあえず今の君だと魂は浄化出来ない」
と一言。続けて
「浄化してはいけないほどの悪事を働いてきたわけではない。
実を言うと少しこちらに手違いがあって、君の人生が悪い方向へと誘う間違えた調整をしてしまった。
本来は別の多次元世界に存在している、別の人物へ君に与えるはずの罰を胎児の状態の君に与えてしまったのだ。
子供の頃から先程亡くなるまで理不尽な目にあってきたり、他人に利用され続けたのはのはそのせいだ。
本当に申し訳ない。なので君の残りの人生を別の世界で生きられるようにしようと思う」
そう言うと目の前にスクリーンが出てきて
「その別の世界というのは魔法や魔物が存在する世界だ。
転生するにあたり、あちらの世界で生きていくため魔力と、詫びと言っては何だが今現在の年齢より10歳ほど若い丈夫な体を与えようと思う。
あと何か特殊な能力や生き方の設定は欲しいかね?
例えば偉大な大魔導士になりたいとか、商売に関する人望とチャンスに恵まれて大富豪が約束されるとか。一応その画面上に皆が欲しそうな能力を一覧でまとめてはみたが・・・」
その画面とやらには色々と書かれている。
結構な数があるなぁ。
あまり人と関わる設定は面倒だし、あ、でもずっと孤独ってのもなぁ。
と、あることを思いついたので聞いてみる。
「向こうの世界での生活や魔法に関するあらゆる事をサポートしてくれる能力みたいな物ってありますか?例えば漫画やアニメに出てくる高性能AIみたいな」
そう聞くと
「似たものはある。能力一覧の中央あたりに<万能補助>というのがあるだろ。
それはあちらの世界での知識や戦闘時に関して補助する能力だ。
姿形はないが聞いてみたい時には言葉に出さずに心の中で聞けば教えてくれる」
「では、それにします。あと魔力のみ大魔導士クラスで生き方の設定は特にない普通の一般人で」
「了解した。では私の近くへ」
神様がそう言うと右の掌を出して私の魂に触れた瞬間暖かいものを感じた。
「これで希望した能力は授けた。では新たな世界での人生に幸あらんことを!」
神様が両手を上にあげると辺りは光に包まれた。