表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【10万PV感謝!!】中年ニートの異世界転生 大魔導士スキルを貰い今度こそ気ままに生きる  作者: 村居 赤彦
第一章 キリアナ王国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/103

第十六話


ダンジョンの通路を3人で進む。

個人的にダンジョン攻略は2度目だが、1度目同様長い1本道を慎重に進んでいく。

そういや、ダンジョンってトラップとか無いのかな?

など考えているとアイが

「魔物が集まっているだけのダンジョンにそんなものあるわけありません。魔物達にそんなトラップを作る高度な知能ありませんよ?」

とツッコミが入った。

もっとこう、床の見えづらいスイッチを押すと落とし穴や、壁から無数の槍とか出てきたりとか・・・

冒険ものの映画の見過ぎかテレビゲームのし過ぎかな

と心の中でアイに言うと

「自分の住処にそのようなトラップを作ったら侵入者より自分の身が危ないではありませんか」

と、2度もツッこまれて返す言葉もない・・・


そうこうしている内に魔物達が休んでいる空間に到着した。

奇襲するなら今が絶好のタイミングだな。

しかし、3人でそのまま突撃しても無傷でいられるかはわからない。

再度メイの探知の魔法で確認してもやはり低級の魔物が10体はいる。

3人で話し合った結果、まずは俺が部屋の奥へ回り込んだ後最初の魔物を倒し、他の魔物が慌てている隙をついて部屋の入り口付近にいる魔物をエヴァンが順番に倒していくという流れで決定した。

幸いなことに今エヴァン達がいる入り口付近の魔物はゴブリンが2体程しかいない。

「大丈夫です。戦闘ミッションでは1度にゴブリンを3体相手にして内2体は倒しました」

との事なのでその言葉を信じてそちらはエヴァンに任せる。

因みにメイはエヴァンのバックアップだ。

メイは相手の攻撃を防ぐ<魔法障壁>を2回までなら使用できるとの事だったので尚更後方に回ってもらった。


作戦通り肉体強化で音を立てずに一気に空間の奥まで移動すると、サンダーボルトで最初の1体目と2体目を仕留める。

魔物が倒された際の断末魔で他の魔物達も眠りから覚め、慌てふためいている所をエヴァンが入り口付近のゴブリン2体を倒す。

依然として魔物達は半ばパニックになっていたが、統率を取られる前に2人と合流してメイを守りながらエヴァンと俺で魔物を倒していく。

合流する途中、エヴァンとメイが魔物の攻撃を喰らいそうになったがメイの魔法障壁のおかげで無傷のままだった。


皆、無我夢中で魔物を倒し終えたが、どう数を数えても亡骸が9匹しかいない。

嫌な予感がすると思った次の瞬間、地面の中を何かが通り過ぎる音がした。

するとアイが

「気を付けてください、アークスコーピオンです。オーク程強力ではありませんが地中を移動して奇襲を仕掛けてくる厄介な魔物です」

と忠告が入った。

「気を付けろ!アークスコーピオンがいるぞ!!」

俺がそう叫んだ瞬間、地中を移動していたアークスコーピオンがメイの背後から現れた。

「メイ!後ろだ!!」

そうエヴァンが叫ぶのと同時にアークスコーピオンの針がメイを襲う。

メイに針が当たるかと思われたその瞬間、緑色に光る半透明の盾のような物がメイを守った。

「え?魔法障壁?」

とメイが呟く。

そしてアークスコーピオンが怯んだその隙に俺が一気に近づいてサンダーボルトを撃ちこみ、痺れて動けないところをエヴァンが剣でアークスコーピオンの頭部に一撃を加えトドメを刺した。

エヴァンがメイにすぐ駆け寄って

「大丈夫か!?メイ!怪我は?」

と慌てていたがメイは落ち着いた様子で

「大丈夫。怪我どころか傷一つ無いわ。でもどうして・・・」

と言いかけた所に俺が

「どうして魔法障壁が出たのかって?自分は2回までしか使えないのに?」

と言ったので不思議そうにメイが俺を見ていると

「俺が魔法障壁を掛けたんだよ。ダンジョンに入る前に」

「あ、僕達の背中を叩いたあの時!」

とエヴァンが思い出しように声を上げた。

「そう、あの時念の為に魔法障壁を掛けておいたんだ。こう見えてもメイみたいに簡単な回復魔法や補助魔法なら使えるんだぜ」

そう言うとエヴァンが

「なんだ、そうならそうと最初に言っておいてくださいよ。メイの後ろに魔物が出た時には心臓が止まるかと思いましたよ」

と安堵した表情を浮かべたが

「だってあの時は2人とも緊張でガチガチだったし、最初から俺の魔法障壁を掛けられてるなんて分かってたら何処かで油断してたかもしれないだろ?」

・・・実はダンジョンに入る前にアイから提案があった。

「エヴァンさんとメイさんに予め貴方が魔法障壁を掛けておくことを推奨します」

「魔法障壁?障壁って攻撃を防ぐとか跳ね返すとかの?」

「はい。補助魔法の中でもそこまで難しくない部類なので、今の貴方ならオークの一撃なら跳ね返す位の障壁なら掛けられる筈です」

・・・それで2人の背中を叩くと同時に魔法障壁を掛けたという訳だ。


魔物が完全にいない事を確認した後エヴァンとメイが

「いったん外の空気吸いませんか?」

と提案されたので

「うん、そうだね」

と同意した。

外に出て大きく深呼吸をしていると鎧を着た3人の兵士達が近づいてきた。

すると兵士達が

「えっと、アイカワさん、エヴァンさんにメイさんですね?」

と話しかけてきた。すると兵士達は俺達に敬礼をして

「我々はギルドから要請を受けたキリアナ王国の<ダンジョン討伐確認部隊>です」

確認部隊?なんだそりゃ?とか思っていたら

「ダンジョンの攻略は完了したでしょうか?」

と聞かれたので俺が

「はい。今しがた最後の魔物を倒し終えて、亡骸を処理する前に一旦外の空気を吸いに出てきたところです」

「では、出て来られたばかりで申し訳ありませんが、もう一度確認の為に中へご同行願えますか?」

「ええ、構いません」

そういうやり取りをしながら再び皆で松明を持ち、奥の空間へ着いた後兵士達が中をくまなく確認して、魔物がいない事が判ると亡骸の処理と回収を頼まれた。

改めて依頼書を確認すると注意書きに

<ダンジョン攻略後は王国の兵士達の確認作業あり。攻略確認後ギルドにて報酬を支払う>と書いてある。

そこまでよく見てなかった。確認作業があるのか。

まあ、そりゃそうか。実際はダンジョンの攻略なんてして無いパーティーが

<攻略してきました>なんて嘘を言われて確認しなかったら、最終的にはギルドの責任問題だろうからなぁ。

ゴブリン以外の魔物をエヴァンが運び、メイがマジックゲートに収納している最中、引っかかってた事がある。

この兵士達、どこかで見た顔だなぁと思っていたら

「あ、思い出した。王女様が返って来た時に泣いて安堵してた2人と食事の時に警護に立ってたあの時の人!」

と思わず声が出ると

「はい!思い出していただけましたか!あの時は王女様が大変お世話になりました」

やはり、あの時の兵士達だ。あの出来事が印象に強く残っていたからこの兵士達の顔も覚えていたのか。

「王女様はあれからまたお忍びで街へ出掛けてるんですか?」

と質問すると兵士の1人が

「いえ、あれから国王様が王女様への監視を厳しくしたらしくてあれ以降街へは出ていません」

と苦笑いを浮かべながら答えた。

これ以上ストレスを与えたら余計外へ出たがるんじゃないか?なんて想像していたらメイが

「皆さーん、収納終わりました~。ゴブリンの亡骸はどうしますか~?」

と聞いてきたので

「ああ、俺が炎魔法で焼却するよ」

と言って2体のゴブリンの亡骸を焼却した。


ダンジョンを出てギルドへ戻り換金所で解体を頼んだ後、兵士達と一緒に受付で依頼完了の報告を済ませた。

その後、通常の仕事に戻るため兵士達が帰っていくのを見送ったちょうどあとくらいに、持ってきた魔物の亡骸の解体が終了して素材を換金してもらう。

今回は食用になる魔物はいなかったが、持ち込んだ魔物の一部や、最後に倒したアークスコーピオンの殻は防具の素材になるらしく最終的に依頼書の報酬の倍近くの値が付いた。

全てが終わって受付前で背伸びをしているとエヴァンが

「アイカワさん、これ今回の依頼書の報酬です。受け取ってください」

と報酬が入った袋を出してきた。

金額を確認するため中を確認すると

「え?なんでこんなに入ってるの?てか、素材を換金したお金の殆どでしょ!」

と聞き返した。

「今回の依頼でアイカワさんには凄くお世話になったし、何といってもメイの命の危機を救ってもらったんですからこれくらいは・・・」

とエヴァンが言いかけた所で俺が

「あのなぁ、今日の戦闘で俺が掛けた魔法障壁がメイの命を救ったけど、だからってこれからもこんな事してたら装備代や道具代はおろか宿代も(ろく)に残らないし、もっと言えばもし俺が悪い大人だったらそこに付け込まれて、色々と大変な目に合うかもしれないだろ」

と諭した。

「それに、今回の戦闘を見て思ったけど2人だけでも連携が取れてたじゃない。あとは仲間を見つけて、パーティー組んで実力をつけていけばきっと強くなるよ!このお金はその時の為に役立てなよ」

と報酬の全額を突っ返した。

「だったらアイカワさんが仲間に・・・」

とメイが言いかけたがすかさず俺が

「依頼を受ける時の追加条件もう忘れたの?」

そう、追加条件は

<この依頼をクリアしたら依頼関連で自分に関わらない事>だ。

この2人が何らかのトラブルを抱えていたり人間的に問題は無いようだが、ギルドの壁に

<依頼書に書かれている内容は原則絶対順守!!>

と書かれた紙が額縁に入ってデガデカと飾られている。

「それに、依頼とかでは関われないけどギルドに来れば普通に世間話くらい出来るでしょ。じゃ、そういう事で俺ぁ疲れたから帰るわ。おやすみ~」

とギルドの建物を後にするとエヴァンとメイが

「ありがとうございました!」

と周りの目も気にせずデカい声で挨拶をして見送ってくれた。


リフルに帰って食事を済ませた後部屋に戻ると、いつもと同じ様に装備を外し、靴を脱いでベットに寝そべる。

だが今日も王女様の一件と同様、とても疲れた。

でもあの時アイの提案通り、2人に魔法障壁を掛けておいて正解だった。

「アイ、今日はありがとう。魔法障壁のアドバイスを出してくれて」

とアイに話しかける。

「いいえ、お礼を言われるような事ではありません。エヴァンさんとメイさんが無事で良かっt・・・」

とアイが話し終える前に睡魔に襲われてしまい、最後まで聞き取れなかった。

最後にかすかに

「おやすみなさい・・・」

とアイの声が聞こえた気がした。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ