第十二話
翌朝、食堂で朝食をいただき、部屋に戻った後アイに
「アイ、昨日の話にあったスキル開放を選びたいんだけどいいかな?」
「わかりました。解放できるスキルを選んでください」
神さm・・・じゃなかった。創生神様がいた空間で見たのと同じ画面が出てきた。
「さて、次は何を選べばいいものか・・・」
なんて独り言を言いながら画面に表示されてるスキルの一覧を眺める。
とはいえ、次に覚えようと思っているスキルはケイトが使用していた補助魔法なのだがどうやら項目にはない。
アイに補助魔法について聞いてみると
「ケイトさんが使用していた補助魔法のスキルは回復魔法の一部とされています」
「そうかぁ。因みに回復魔法を使う時ってどんな感じなの?手をかざして怪我とかが治るなんて想像つかないんだけど」
と聞いてみた。
「難しい事はありません。通常は修行等で癒しの魔力を覚えて回復や補助の魔法を使用するのですが、貴方の場合はスキルを取得する事で回復魔法や補助魔法を使用する事が出来ます。
例えば回復魔法を使用する時も怪我を負った部分や、猛毒に侵された部分に手をかざして魔法を発動すれば勝手に治してくれます。医療の知識などは特に必要ありませんよ」
そこまで難しくないのなら覚えてもいいのかなぁ・・・なんて考えていると
「ん?なんだこりゃ?
<魔物と会話ができる能力>?<他人の心の中を読み取れる能力>?」
と思わず口に出すと
「はい。読んで字の如くのスキルです。能力発動のONとOFFは自分で切り替えができます」
興味はあるけど魔物との会話出来ても倒すのが前提だし言葉が分かったら気まずい。
それに他人の心を読みとれたとしてもそれを生かせる程の地頭が無いし、その場面が来る分からないから取り敢えずパスだな。
「では、回復魔法を選ぶよ。補助魔法も使えるし、いざという時に自分で回復できれば生存確率もあがるしね」
「わかりました」
アイがそう言うと自分の体の周りを「気」の様な光が覆い、すぐ消えた。
「これで新たなスキルが解放されました。回復魔法や補助魔法が使用できます」
と言われたがこればかりは今すぐ試しようがない。
なのでアイに
「試しに回復魔法を使ってみたいんだ」
と提案してみた。
「しかし、貴方は今現在怪我を負ってませんが」
勿論、今自分に怪我は無いし、街に出て怪我をしている人を探したりするわけではない。
「ナイフで左手の人差し指をほんの少しだけ切ってそれを治す。それでいいよね?」
「なるほど。それならばいいでしょう」
早速装備品のナイフを取り出し、左の人差し指をほんの少しだけ切ってみる。
カッターナイフで軽く切った程度の傷が出来るとその部分に右手をかざし、回復魔法を使ってみる。
攻撃系の魔法と違い、無心になって手をかざして魔法を使ったら先程切った傷が完全に治って痛みも全く無くなった。
「スゲェ、ほんとに治った」
・・・本当はもっと驚く場面なのだろうが攻撃魔法だのオークだのであまり驚かなくなっている。
まあ、いいや。
回復魔法の使用範囲をもう一度アイに確認してみる。
「回復魔法の注意点を確認するけど<亡くなった人を復活させる、新たな命を創造する>は出来ないんだよね?」
「はい。その二つは不可能です」
との返答。補助魔法についてどんなものがあるか聞いてみると
「ケイトさんが使用していた周囲を探知する、自分や相手の体力を徐々に回復させる、一時的に相手の身体能力を向上させる等、自分や対象の能力向上を主とした魔法です。
肉体強化は自分専用のスキルとして習得済みですが、補助魔法として使用するならパーティーを組んでいる仲間に使用する場合があるかもしれませんね」
昔遊んだ某RPGの魔法と考えればいいのか。
「わかった。ありがとう」
さて、今日はどうしたものか。
この街に来てから武器屋、道具屋、ギルド、リフル以外行ったことがないし、初心者ミッションだの魔物との戦闘とか続いたので1日位休みを入れてみよう。
「よし、今日はギルドには行かずまったり過ごしたり街を散策する!」
ひとまず部屋でまったりしよう。
部屋の窓から空をぼぅっと眺めてある程度時間が経過した後、1階へ降りてリフルの御夫婦としばらく談笑した後、街へ繰り出した。




