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【10万PV感謝!!】中年ニートの異世界転生 大魔導士スキルを貰い今度こそ気ままに生きる  作者: 村居 赤彦
地底世界 ラウドス編

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第九十九話


眠りから目が覚める。

ベッドに寝たまま背伸びをした後

「どれくらい寝てた?」

とアイに聞いてみると

「約3時間程でしょうか。まだ夕方の時間帯までまだ時間はありますよ」

と言ってくれた。

「しっかしこの世界は静かっていうか、平穏だなぁ~。

急進派と穏健派の問題なんて嘘みたいだ。

それにしてもセグエルも同席しての話って、そこまで必要かな?」

と起き上がりながら呟くと

「きっとダグバンとの話し合いのためのプロセスの最終確認だと思いますよ。

これまでの穏健派の様子を見ていると、セグエルさんはシュルトさんを本当に信頼しているようですし」

とアイが返す。

ひとしきりアイと雑談をしていると夕方の時間帯になり、扉をノックする音がした。

「シュルトです。入っても大丈夫ですか?」

との声。

「はい、大丈夫ですよ」

と返すと、シュルトがセグエルをはじめとする長老達を連れてやって来た。

長老達は椅子を持参している。

「話が長くなった場合に備えて各自椅子を持ってきました。

では、早速ですがシュルトと考えた作戦を聞かせてもらっても宜しいですかな?」

とセグエルが話すと

「まあ、作戦と呼べる程内容の濃いものではないのですが・・・」

と俺が言うと、長老達に向けて考えた内容をざっくりではあるが説明する。

シュルトもその内容を聞きながら、そして時折軽い修正を加えながら長老達が俺達の話を静かに聞いている。

そして説明が終わり

「・・・という感じなんですが、どうでしょう?

そんなに凝った内容ではないし、ダグバンとお付きの2人を説得してしまえば急進派は瓦解すると思うんです」

と俺が言うと

「そうですな、確かにその方法が一番かもしれませんな。

分かりました、貴方とシュルトの案に乗るとしましょう」

とセグエルが言うと

「決行は何時(いつ)になさるんです?」

と別の長老に聞かれて

「シュルトさえよければ明日の朝にでもここを出て、急進派の拠点に向かおうかと思っています。

俺はお付きの2人の動きを封じてシュルトとダグバンの話し合いを見守るだけですし」

とシュルトの方を見ると、コクンと頷くシュルト。

「では、先程話した内容通りに進めるという事でよろしくお願いします」

と俺が話を締めくくると

「では明日の朝、出発の準備が出来次第外にいる誰かに声をかけてください。

その後私や仲間を複数連れて、ダグバン達のアジトに向かいましょう」

とシュルト。

その一言と共に一緒に来た長老達も立ち上がり、持って来た椅子を手に取り続々と部屋を後にする。

俺も立ち上がり出ていく長老達を見送ると

「では、明日の朝にまた」

と最後に残ったセグエルが柔らかい感じで言うと、シュルトと一緒に部屋を出ていく。

1人になるとまた椅子に座り、深いため息を1つ吐く。

「上手くいくかなぁ・・・」

と呟くと

「大丈夫だと思いますよ?

要はシュルトさんとダグバンさんの話し合いなので、貴方がする事はほとんどないでしょう?」

とアイは言うが

「そりゃあそうなんだけどさ、想定外の事が起こるって事も無きにしも非ずじゃない?

それが如何せん不安なんだよなぁ・・・」

と本心を吐露すると

「そんな事をいちいち気にしていたら成功するものも成功しませんよ?

その部分は気にせず、自分がする事にだけ今は集中しましょう」

まあ、そりゃそうだな。アイの言う通りだ。

また俺の悪い所が出ていたようだ。

「ひとまずする事も無いから、魔力精錬の修行でも少しするかぁ」

そう言うと目を瞑り、少しの時間修行を開始する。


そんなこんなで修行に集中していると、いつの間にか外が暗くなっていた。

「ありゃ、もうこんな暗くなってるのか」

そう言うと扉がノックされ

「食事をお持ちしました~」

と男性が晩御飯を持ってきてくれた。

「ありがとうございます」

と言うとテーブルに食事を置きそそくさと部屋を後にする。

早速いただく事にする。

うん!やっぱり味が薄い!!

まあ、「食」と「住」を無償で提供して貰っているので当然ながら我儘は言えない訳だが・・・

食事を終えるといつも通り食器を外のテーブルに置いておく。

何となくまったりした後、ベッドに横になる。

目を閉じて

(今頃リップは何をしているだろうか)

と考える。

エヴァン達と合流してちゃんと立ち回れているだろうか?

ある程度の生活資金はあるので、ちゃんと依頼をこなせば路頭に迷うなんて事はないだろう。

そして次に思い出すのはリックス王国で別れのキスをしたシーン。

こんなオッサンが言うのもなんだが、異性とのファーストキス。

その印象も強かったがそれ以上に感じた事はその後リップを優しく抱きしめた事だった。

今更ながら思い出してもあの時の感じ、なんというか心の中で感じたじんわりとした暖かさが今でも甦る。

その状況を思い出している内に、表情が緩んでいた様で

「リップさんの事を考えてましたね?」

とアイの一言。

「あ、バレた?」

と返すと

「目を瞑っている状態でそこまで表情を緩ませていれば、誰だって分かりますよ」

と冷静にツッコまれる。

「なんてったって今まで生きてきた中で最大級の出来事だったから、つい思い出しちゃってね。

シュルト達には言い方は悪いかもだけど、とっととこの世界のゴタゴタを解決して早くキリアナ王国に戻りたいよ」

と言うと

「おや、では旅はもう終えるのですか?」

と聞かれ

「ああ。

待っていてくれる人も出来た事だし、この件が片付いて地上に戻ったら当初の予定通り、キリアナ王国に戻って落ち着く事にするよ」

とアイに決意表明をする。

と同時に眠気が襲ってきた。

「ふわぁ~、気合が入ったはずなのに眠くなってきた。

明日に向けてもうそろそろ寝るよ。

おやすみ、アイ」

と言うと

「おやすみなさい」

の言葉と共にこの日は眠りについた。



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