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明日の不審者は貴方かもしれない

 私が小学生のとき、確か低学年くらいだったでしょうか。ある日、癒えに帰り、テレビを見ていたと思いますが、突然、薄いシーツのようなものを頭にかぷせられ、奥の部屋に引きずりこまれました。その時、私はボーッと様子を見ていました。

 

(おとーさん、何やってるんだろう?)と、おもいなから。

 

 そう、それは父でした。薄い布越しだったので顔がはっきり認識できたのです。結局、父は奥の部屋で私の被せものを外して、何で抵抗しないのか? と問いかけて来ました。父は、非常時のさいに私がどうするか見てみたかったようでした。見えてたよ、と言うとなんだかばつが悪そうにしてましたが。

 

 常日頃は真面目な父がこんなことするなんて、と、その当時すら思ってませんでした。そんなところが私の中にあったのかもしれません。

 

 時は移って現在。

 

 私は自宅に帰ると基本的にただいま、と言いますが、人に会ってから言います。鍵をあけ、ドアを開けた時点では言いません。たまに言わなかったり、出遅れると、嫁様が、

 

「父か?」

 

 と、よんできます、その時点でただいま、と言います。


 が、私がすこしいたずら心を出しまして。ある日、いつものように入って、でもただいま、とは言いませんでした。当然、


「父か?」

 

 と、呼ぶ嫁様。


 私の台詞。


「通りすがりの不審者です」


「はあ?」


 その嫁様の表情と声の調子が面白かったので、やった、と勝利感が私を包みました。いや、嫁様の、驚きと不信感と呆れがの絶妙にブレンドされた表情と声の調子が楽しく嬉しい

 

「不審者め、名を名乗れ!」

 

 と、嫁様。

 

「不審者だから名は名のらん」

 

「はあ、」

 

 とか言ったやり取りをしました。

 

 これに味をしめた私はたまに不審者になりました。


 嫁様すぐに順応したのですが娘は、


「自分から名乗る不審者なんかいるかああぁあ」


 と、外に響くような大声で突っ込んだりしてきました。


 しかし、それも飽きて来ました。そこで、新作投入。


 いつもの如く侵入。嫁様のいつもの誰何。


「父か?」


「通りすがりの泥棒です」


「はあ? うちには盗むようなものないよ」


「貴方の心をぬすみに来ました」

 

 嫁様は「はあ?」と困惑したような呆れたような、びっくりしたような声。

 

 もちろん私の頭の中には、ある御殿山アニメの警察官、某銭形警部の台詞があったのは想像つくと思います。

 

 後から嫁様は

 

「ハート泥棒ね」

 

 と嬉しそうに笑いましたし、娘は

 

「言うな、やめロー」


 と大声で怒鳴っております。ちなみに娘は恋愛系の話には非常に弱く、嫁様がBLの布教を力強く、丹念に、根気強く行うと、やめろ! と力強く大声で拒否しております。

 

 さて、次はどんなネタで勝負しようかと考えている今日この頃です。

 

 いや、日常もすこし道化ると楽しいもんだ。

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