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第213話 いろいろ大事な発表



 翌日。午前中にあった国王からの発表により、国中がとんでもない騒ぎとなっていた。


 国民の中には、国王がまだ独身だと思っていた者も大勢おり。それとは逆に比較的近しい者程、アルの存在は知ったうえで、まだ式を挙げていないという事実だけを知らない者が多かった。


 今や公国の王となったサマルキアの英雄が、結婚式を挙げるという発表に国民は大いに沸いた。

 一気にお祝いムードが漂う中。ディールとアル、そしてソニアの三人は、いつもどおり学園へと向かっていた。


 この日、ディールが担当する講義はなかったのだが。彼は、飛空艇の製作をする目的の為だけに登校していた。

 それだけ早く完成させたいと思っていたようである。


 アルとソニアの二人は、普通に参加する予定の講義があった為、ディールは先に製作現場に行って作業に取りかかっていた。


 昨日の問題点を踏まえ、更に高温に耐えられる金属を生成するディール。

 次に彼は、一旦塊として作り出したそれを、今度はパーツとしての姿に形成していく。

 講義の無かった学生が数名いただけなので、集中できたディールは、その後わずか二時間程で改良型の機関部分を作り上げてしまった。


 早速、数名の学生達が見守る中、天才教授は改良型動力の試験を行ってみる。

 本当は、試験ごときで力を使いたくはないのだが。微量であれば、大した影響はないと判断したようだ。


 そもそもアルが考えた動力装置は、少ない力を大きな力に変える装置である。

 最初から大きな力を使う事が前提なら、現行の飛空艇と何ら変わりはない。


 微量の神気がディールによって操作部から流されると、動力装置は動き出し赤く熱を帯びる。

 強化タイプの金属に変更した事と、ソニアの装置を冷却装置として切り替えている為に、動作は完全に安定しているようだ。


 本人達の了承は得ていなかったが、ディールは設計上の改良も施していた。

 平常飛行時にはソニアの仕組みを動力として使い、緊急時には高い出力を発生させる事ができる、アルの考えた仕組みを動力として使う。

 その場合ソニアの動力装置は、空冷式の冷却装置に早変わりするという訳だ。


 機関部分は完成し、ディールは船体部分の製作に取りかかる。

 彼にとって最も重要なのは、むしろこちらの方であった。

 職人魂が発揮される部分であり、細部への拘りが試される部分でもある。

 これだけ早く、動力装置を完成させる事ができたにも拘わらず、一週間で間に合うかどうかを気にしていたのはこれが理由だった。


 自らの結婚式の演出として使うのだ。どんな王族の所持する飛空艇にも負けない、豪奢かつ洗練されたデザインの物にしなければならない。

 勿論ソニアの製作した模型や完成図はあったものの、それによって示されたデザインは、あくまでも現行の物と殆んど変わらない物であった。

 彼女としては、取り敢えずこんな感じでお願いします。といったくらいの感覚で、作った物にすぎないのである。

 それをわかっていたディールは、いよいよ自分の真価が一番試される部分に入ってきたと張り切っていた。


 ディールが、造形に拘りをみせ四苦八苦していた頃。その日の講義を終えたアルとソニアは、待ち合わせ場所としていた食堂で合流していた。

 そんな二人に向かって、つかつかと寄っていく女性が一人。神妙な面持ちで歩いている。

 取り巻き達に一言断りを入れ、アルに声をかけようと寄っていったのはイザベラであった。


「アルさん! ちょっと良いかしら?」


 アルの事は兎も角、絶対に無理だと感じるソニアが殆んど彼女と一緒に居る為、イザベラはなかなか声をかける機会を掴めずにいた。

 しかし、そんな事を言っていてはいつまでも話しかける事はできない。そう決心した彼女は、嫌いなソニアが居るにも拘わらず、勇気を出して声をかける事にしたのだ。


「イザベラさん。どうしたんですか?」

「この前のお礼……まだ言ってなかったでしょ?」

「あっ、うん。学園に通う仲間として助けるのは当然の事だから、あまり気にしないで」


 アルに月並みの返答をされたイザベラは、向かいに座るソニアに一瞬目をやった後で本題に入る。


「国にこの事を報告したら、お父様が是非あなたに勲章を授与したいって言い出したの」

「勲章って、そんな大した事してないよ~」


 十分とんでもない事をした訳だが、勲章の授与など恥ずかしいと思ったアルは謙遜してみせる。

 しかし、それがイザベラにとっては逆に馬鹿にされたように感じてしまったようだ。


「大した事じゃないですって!? 王族の命を救っておいて、何でもない事だって言うの? お礼もさせないなんて私に恥をかかせる気?」


 急に怒りだしたイザベラに驚きつつも、彼女が発した王族という言葉に反応するアル。


「王族って。イザベラさん、ひょっとして何処かの国のお姫様なの?」


 確かに直接話していた訳ではないが。アルが、それを把握していなかった事に対し、益々複雑な思いにかられるイザベラ。

 そこまで自分に関して興味がなかったのか、と残念な気持ちになった彼女は、深く溜め息をつくと空いている席に腰かけ自身の事について語り始めた。


「私は、アルフカンド王国の第一王女です……」


 衝撃的な話から始まり、目を丸くしながら彼女の話に聞き入っていたアル。

 一通り事情を聞き終えたところで、旦那様にも話を通すべきだと考えた彼女はイザベラに対し提案する。


「取り敢えずその話を、もう一度私の旦那様にも話してもらえるかな? これから飛空艇の建造現場に向かうから、一緒に来てもらっても良い?」


 飛空艇の建造に関しても興味を感じたイザベラは、その提案を受け入れ彼女達と一緒に現場に向かう事にした。

 彼女は、もう一度取り巻き達の所に戻ると、その件を説明する。

 イザベラは、全員を帰すつもりでいたようだが。取り巻き達は皆、彼女と行動を共にするつもりのようだ。

 結局、全員が建造現場の見学をする事となり、一行はぞろぞろと食堂を後にするのだった。

これにて十六章は終了となります。

次章では飛空艇が完成し、それを使いいろいろな所にいくお話の予定です。


作者からのお願い。

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今後も頑張っていこうと思える勇気を、皆様の温かい応援により是非作者に与えてくださいm(__)m

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