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君と出逢う時間

作者: komomo
掲載日:2023/04/29

今年から念願の母校の司書になった。

そろそろ彼に出会った季節だ……

もうそんなに経ったのか。


私「この時間の図書室って部活あるし、ホントに人いないなー……ちょっとだけこわいかも。」


私「んー……あの本もうちょっとで届くんだけどな…」


男子「はい、これが取りたかったの?」


私「きゃ……あ、ありがとう」


男子「後ろから急にゴメンね、驚かせちゃったかな?」


私「もう!いたなら声かけてよー!全然気配なくてビックリした!」


男子「なんか背伸びして頑張ってるの可愛くて、つい見ちゃった」


私「……いじわる」


男子「いいじゃん、見納めだよ」


私「見納め?」


男子「フフ……もう気付いてるのに、気付かなかったフリするの?」


私「……なんのこと?」


男子「ごまかすの下手すぎ。全部のクラス調べたんでしょ?僕がどこにいるかって」


私「うん……」


男子「何組だった?」


私「どこにも……いなかった。違う学年にも」


男子「そうだよねぇ」


私「そうだよねって……どうして?」


男子「ここ図書室ってさ、夕日綺麗に見えるよね」


私「話そらさないでよ…」


男子「そらしてないよ、この時間帯って逢魔が時って言うの知ってる?この世とあの世が繋がる時間」


私「だから話そらさないでって……」


男子「僕をこの時間以外に見たことあった?」


私「そんなのあるに決まって……」


男子「ないよ。だから今途中で言うのやめたんだよね?」


私「それは……」


男子「僕はこの世のものじゃない。本当は君にもあの日話しかけるべきじゃなかったんだ」


私「何を言っているの?だって今目の前にいるのに!触れることだって……」


男子「僕達は手を触れたことないんだよ。ほら、触ってごらん?」


私「……うそ……」


男子「ゴメンね……話しかけるべきじゃなかったのに、どうしても君と話がしたくて気持ちが抑えられなかった。僕にこんな感情があるなんて……ね」


私「最後みたいな言い方しないで!明日も来るし、明後日も……ずっとここに私来るよ」


男子「もう僕が辛いんだ。君と手を繋ぐことも、抱きしめることも出来ないことが、辛いんだ」


男子「ね、笑って?最後に見る君の顔が泣き顔なんて嫌だから、笑顔見せて?」


私「……こんな時に笑えない……」


男子「ゴメンね……好きだったよ」


額がフワッと暖かくなった。泣きじゃくる私にそっとキスをしてくれたのだろうか…。

次の日もまた次の日も、彼に会うことはもうなかった。


もう今日からずっと私はここにいるよ?

逢魔が時はまた今日もやってくる……


(物音)


???「はい、この本取ろうとしてた?」


私「……あ……」

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