君と出逢う時間
今年から念願の母校の司書になった。
そろそろ彼に出会った季節だ……
もうそんなに経ったのか。
私「この時間の図書室って部活あるし、ホントに人いないなー……ちょっとだけこわいかも。」
私「んー……あの本もうちょっとで届くんだけどな…」
男子「はい、これが取りたかったの?」
私「きゃ……あ、ありがとう」
男子「後ろから急にゴメンね、驚かせちゃったかな?」
私「もう!いたなら声かけてよー!全然気配なくてビックリした!」
男子「なんか背伸びして頑張ってるの可愛くて、つい見ちゃった」
私「……いじわる」
男子「いいじゃん、見納めだよ」
私「見納め?」
男子「フフ……もう気付いてるのに、気付かなかったフリするの?」
私「……なんのこと?」
男子「ごまかすの下手すぎ。全部のクラス調べたんでしょ?僕がどこにいるかって」
私「うん……」
男子「何組だった?」
私「どこにも……いなかった。違う学年にも」
男子「そうだよねぇ」
私「そうだよねって……どうして?」
男子「ここ図書室ってさ、夕日綺麗に見えるよね」
私「話そらさないでよ…」
男子「そらしてないよ、この時間帯って逢魔が時って言うの知ってる?この世とあの世が繋がる時間」
私「だから話そらさないでって……」
男子「僕をこの時間以外に見たことあった?」
私「そんなのあるに決まって……」
男子「ないよ。だから今途中で言うのやめたんだよね?」
私「それは……」
男子「僕はこの世のものじゃない。本当は君にもあの日話しかけるべきじゃなかったんだ」
私「何を言っているの?だって今目の前にいるのに!触れることだって……」
男子「僕達は手を触れたことないんだよ。ほら、触ってごらん?」
私「……うそ……」
男子「ゴメンね……話しかけるべきじゃなかったのに、どうしても君と話がしたくて気持ちが抑えられなかった。僕にこんな感情があるなんて……ね」
私「最後みたいな言い方しないで!明日も来るし、明後日も……ずっとここに私来るよ」
男子「もう僕が辛いんだ。君と手を繋ぐことも、抱きしめることも出来ないことが、辛いんだ」
男子「ね、笑って?最後に見る君の顔が泣き顔なんて嫌だから、笑顔見せて?」
私「……こんな時に笑えない……」
男子「ゴメンね……好きだったよ」
額がフワッと暖かくなった。泣きじゃくる私にそっとキスをしてくれたのだろうか…。
次の日もまた次の日も、彼に会うことはもうなかった。
もう今日からずっと私はここにいるよ?
逢魔が時はまた今日もやってくる……
(物音)
???「はい、この本取ろうとしてた?」
私「……あ……」




