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断罪されし侯爵令嬢は猫まっしぐら

作者: 双月一星

生暖かい目でご覧の程を……

(ω≦アノシ

今日も見上げてくる彼らが可愛い愛しい尊い


甘えたがりやツンデレ、一匹狼な子もいる

私は空調整備魔法で適正な温度調節をすると離れのその部屋を出る


今日は卒業パーティがあるのだ

とりあえず出るだけ出て早めに帰ろう

お水もご飯もちゃんとあるけど、一匹お腹の大きな子がいて、心配なのだ


前世も今世も私はお猫様に尽くす猫下僕、猫吸い令嬢だった



記憶は定かではないが、恐らく夜中の保護猫活動中に車にひかれたのかもしれないなと、推測する

探してる間ならいいが、お猫様が巻き込まれてないか心配だ


それはさておき、婚約者が迎えに来ない

お猫様>婚約者な私ではあるが、エスコートがないのはちょっと寂しい


妹は先に出掛けたという

妹は中々に可愛い娘なのでエスコートも引く手あまただっただろうなぁと思う

しょげてても時間は過ぎていくので、用意をしてパーティ会場に向かう



パーティ会場へ入ると、やっぱり怪訝な顔で見られる

エスコートなしで一人での入場、気にならないわけはない

とりあえず笑顔を貼り付けてしずしずと歩いてく


キラキラシャンデリアに美味しい料理、きっとお猫様もおきに召すに違いない

(でも料理は食べちゃダメなもの多いけどね)


そんなことを思いつつ、婚約者と妹の姿を見つけたので、近付いていく



が、変だ

婚約者は妹の腰に手をやってるし、妹も彼にしなだれかかっている

眼は潤み、少し赤らんでいる

(いわんこっちゃない、私の部屋に来なくてよかったのに……)


婚約者が突然声を大にし告げた


「王太子である俺はお前との婚約を破棄させてもらうっ!妹を虐げるような女と結婚したくないっ!!」


皆がその声に注目する

ある子息は驚き、ある令嬢は呆れ、あるものは生暖かい目で彼らを見つめた


「私はそんなこと、しておりませんわ」

私は反論する


「妹の姿を醜いといったそうじゃないか!」

「その子が私の部屋に入ってくるからですわ、部屋に近付いてはいけないといったのに」

そう、妹は猫アレルギーなのだ

「アレルギーで、眼などか痒くなり肌にも良くないからといいましたのに」


「がっ、まだあるぞ!妹のアクセサリーを隠したと聞いた!これはどうするつもりだっ!」

「ああ、今日つけてる耳飾りですね?一応消毒しましたので大丈夫だとは思いますが……無駄にキラキラしているせいで、ついお猫様が興味を持たれてお戯れになった結果、キャットタワーとタンスの隙間に入っただけです……あれほどお猫様がいる場所で着けて来ては駄目といったのに……」

(誤飲を防ぐため直ぐに対応しましたとも!)


「くっ!妹のドレスをめちゃくちゃにして引き裂いたとも聞くぞ!!この人でなしめっ!!」

(人でなし……私が人でないとすると、やはり猫下僕ということか……ふんす)

無駄に誉れを感じてしまった……

「それはお猫様のいる前でキラキラひらひらフワフワしたドレスを着てきた妹が悪いのですわ!私よりもお猫様のご寵愛を賜るとはっ!!」

実に悔しかった

とろりんテイストのペーストおやつより、まっしぐらにドレスに飛び付いてよじ登っていかれたのだ

伝家の宝刀の巧みなるじゃらし捌きさえ、完封だった

「部屋の前のお部屋には従者のお仕着せとかもありましたのに、着替えもしないで、お猫様の場にいくなど……毛だらけになりますのに……」



「とりあえず、婚約破棄だけ承ります」

手元に瞬間的に誓約書を呼び寄せる

彼の手元にあったのか、もう私が記入するだけになっていた

魔法で誓約書を空間固定させ、アイテムボックスからペンをとりだし、記入する


「気になる子も居ますので私は帰ります、後はアリア様お願いします」


アリア辺境伯令嬢に視線を送る

彼女は私と対になる立場にいるというか、婚約者候補の一人で、猟犬ブリーダーでもある


「(駄犬をお願いします、国一番の忠犬に仕付けて下さいね)」

「分かりましたわ」


家に帰る前に神殿と王宮に誓約書を届けておくかな

私は転移魔法陣を発動させるとその場から消えることにした


先ずは神殿に婚約破棄の誓約書を提出し、受理を確認した

そして王宮手前に転移して、王宮内に言伝をして、提出する

王様と王妃はパーティ会場に向かってる途中なので、お留守番の宰相様にお渡し、神殿にて無事受理された旨を伝えて家に帰る



やっと王家からの婚約を退ける事が出来た


恐らくお気付きだろうが、私は魔力チート持ち転生者である

各属性魔法をアレンジして使い、簡易的な結界や、生活魔法等も産み出している

勿論魔力も桁外れらしく、王家は私を取り入れようと目論んでいた


が、私は王妃という柄ではないし、今世もお猫様に全てを捧げたい

お猫様の為ならば、一夜にして城を築く事も可能である


可能である、が、お猫様以外に従事しろと言われても、モチベーションの低さから、突出した能力は発揮できない


後、こんな理由もある


私がどれだけ保護猫活動をしても、お猫様は増えていく

私も伝手を頼りお猫様の去勢手術等を施してはいるが、見つけられてない子達もいるだろう


もし、私王妃となったなら、恐らく猫を飼うブームが来てしまう事は想像に固くない

そしてブームというものは去っていくものである

出来れば生死を看取る方々に出会い愛されればいいが、おべっかの為だけに飼い、飽きて放置し捨てる方々もいるかと思う


その面で私が野生のお猫様を増やす縁になるにはいかないと思ったのだ


それでもなし崩しにズルズル結婚することになるのかなぁ、白い結婚になるのかなぁ、ぐらいに思ってた


で、今回の棚ぼたである

よくやった妹よ!

がっ、頭が足りない、というかその庇護欲そそる潤み顔の為にお猫様成分を摂取して、殿方を射止めようなどするとはゼツユルだわ……

お猫様を悪いように使わないでほしい


あと元婚約者様、元とは言えば、王宮に迷いこんだお猫様を愛でようとしたが、猫アレルギーに掛かられて泣く泣く手離し、私が保護する事になったのが最初なのにお忘れになったのだろうか?

あの時の仔猫の娘さんが、今、妊娠中なんですよ

茶番劇にお時間取らせないで欲しかったです


ああ、早くお猫様を吸いとうございます……



そしてその後


勿論妹が彼の婚約者になれる筈もなく

アリア様が新たな婚約者となり、彼を鍛え直すべく辺境伯の元へ共に向かわれたとか

今度は犬アレルギーにならないといいな、と思いつつ、アリア様の手練手管にご期待しております


妹には暫く厳しくマナーを仕付ける家庭教師がつけられ、私は家を離れて、もとい拠点を移して静かな場所で過ごしています


後は転移や結界等のスキルを複合させて、店と家を結ぶ猫カフェを始めました


ふれあいは出来ませんが、ガラスで仕切られた喫茶店からお猫様の愛らしいお姿を拝見しながら寛げるようにいたしました

こちらに出せるお猫様には、ナンバーとお名前をつけさせていただき、推し猫に貢げるキャットコインを始めました


其々に推し担がつき、中々に儲けが出ております


ご飯や色んな消費物の確保については、アイテムボックスを利用し、その費用はクラウドなんちゃら?で、集め、其々にお猫様の愛らしい動きを録画した魔法媒体や、絵姿、お抜けになった猫髭のお守り等をお渡ししております


勿論譲渡会も活発に行い、その譲渡会で現在の婚約者に出会いました

私の活動をご理解しつつ領地経営の手腕もある素敵な方です


そうそう、卒業パーティの後に産まれた子猫達も譲渡会で巣立ちました


その中で初恋の、もとい始まりの子猫、いや祖母猫?に似た子をうちの子にしました

白く艶めく毛並みに、オッドアイの瞳が煌めく美人さんです


そして今日も魔道媒体(前世でのドローン?みたいな浮遊物体?です)を利用しつつ、お猫様を保護しております


今度の子は黒猫のようです

不幸な子が増えないように、今日もお猫様に全てを捧げております


因みに王家は脅、説得し、なにかしらあった時は有償で術を施す事で折れていただきました



今日も一日一善お猫様にまっしぐらです!!



猫カフェについては


喫茶店店内、厨房があり、猫が渡れるガラス張りのキャットウォーク等を含めた仕切りがあり、そのなかで猫様達が、自由気ままに寛いでます。

結界や何やらを利用したものなので、見るだけなら猫アレルギーの方にも見てもらえる仕様となってます。

お部屋の奥に、ゲージやおトイレ等があり、店内からは見えないようになってます。

そしてその後奥の部屋に転移魔方陣があり、閉店後にはその陣を介しておうちのお部屋のゲージやお好きな空間におかえり頂いてる感じです。


以前の離れは主人公が更地にし、新しく同じような建物を建築しました。

本来やればがっつりチートで色々出来る子なんですが、全スキルをお猫様以外に利用する事はわずかにしかありません。


返礼品は、ご相談によっては推し猫様のみの映像のものも準備可能だそうです。


多分晩年までお猫様にお仕えし、お猫様を吸い元気に暮らすのだと思います。

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― 新着の感想 ―
[一言] 猫下僕道を歩むモノならば致し方なし!!
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