-この葛藤ってなんだ?編・夏-
海沿いを走る空いた電車内、少し開いた窓から潮の香りがする。
車両の端の4人掛けの座席に男女2人が並んで座っている。
車内は弱冷房。節電で照明は切られ、少し開いた窓から頬を撫でる控え目な風と太陽の光が入ってくる。
隣には田丸さんがいて…応援し疲れたのかいつの間にかぼくの肩で眠っている。
夢のような時間。こんな状況になったのはちょっと前の出来事から…
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大会終了と同時に本日の部活動も終了し、現地解散となった。
会場の正面から遠い1階の屋内階段前で田丸を見つけ、声を掛けるU木。
U木「来てくれてありがとう。ただ結構、早目に負けた。面目ない。」
田丸「…そんなことない頑張ってたと思うよ、ルールは良くわからなかったけど」
田丸の言葉を聞き、思わず笑みを零し、感想を言った。
U木「そう?なら、ボロボロになったかいがあった。」
田丸「そうかもねぇ。」
言葉を聞き、思わずU木のアザを突っつく
U木「痛ッ!!」
U木のその表情に田丸は笑う。
田丸「ふふふっ。」
ひどい目にあっている割には田丸の笑顔を見れたことに喜ぶU木。
U木「あのさ…、今日はもう予定ないんだけどよかったら、この後…」
田丸「ねぇ…、この後、一緒にあの大判焼き食べに行かない?今日は私がおごるから」
U木「!?、是非!!」
U木の反応に思わず笑いならがら答えた。
田丸「張り切り過ぎ」
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そして、二人で電車に乗っている。
幸せな時間と近くから香る微かな甘い香り。
彼女は今現在かなり無防備です。
今なら無造作に開かれた指に自分の指をこっそり絡めることができる。
これはチャンス。でも彼女はぼくを信頼してくれてるから無防備なだろ!?
でも、この手を握れば自分はもっと大胆な人間になれるかもしれない。
と自己暗示しつつ手を伸ばす。が、彼女が少し動いた。
手を自然な位置に戻す。
また彼女が動きを止めた。
再度トライ、また動いた。手を戻す。止まる…そんなことを繰り返していると駅に着いてしまった。
ダメだった…。
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彼に起こされた。
…実は途中から妙な気配を感じて薄目で彼を見ていた。
なんと微笑ましい葛藤なのだろ。
考えると彼は目を離しているすきに近付いて来くる達磨さんが転んだで遊んでいる子猫に似てた。
凄く愛らしい。
今日の出来事は手帳に残しておこう。
だから電車を降りた後、思わず彼に口には出さずに伝えてみた。
田丸「U木君って…(口パクで「カ・ワ・イ・イ」)…よね。」
U木「えっ?」
※今日は二人して大判焼きのブルーベリー味に挑戦してみました。味はともかく買い食い最高。
楽しんで頂けたら、幸いです。
この作品は別の作品のスピンオフです。
良ければそちらもご覧頂けば幸いです。
明日も同じ10時にアップします。
自己評価ですが最終回は中々の出来です(笑
道 バターを宜しくお願いします。
他にも作品をアップしています。
作者ページを見て頂きますとなんと!?簡単に見つかります(笑