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-この胸のざわつきってなに?編・夏-

朝の登校時のとある高校、女が一人、教室に入ろうとしている。



最近、私の朝の習慣に変化が起きた。

それは必ずあるクラスメートの男子に声を掛けられるようになったこと。


男子「おはよう」


田丸「おはよう…、ございます」


教室に入ると一番に彼と挨拶を交わすのが最近の日課。


その後、友達数人と挨拶して席に着く。


そして、いつもように親しいクラスメイトが声を掛けてきた。


戸丸「おはよ、今日もおどおどしてたねマルは。」


田丸「おはよ、…やっぱり男の人って苦手。」


彼女は戸丸さん、私は彼女をトマルと呼び、彼女は私をマルと呼ぶ。

明るく、時には鬱陶しく、一言多いムードメーカー的女の子。

彼女とは昔からの友達。


戸丸「ねぇ…あれって絶対アンタに気があるんじゃない?」


田丸「あれ?…毎朝の挨拶?…そんな感じもしなくもないね。」


戸丸「興味ないの?」


田丸「そんなでもないよ。」


戸丸「うーん…。」


休み時間、彼が話し掛けてきた。

授業で分からないところがあるらしい。

なんとか教えてあげれた。


田丸「で、こんな感じで解ける。」


男子「おぉ…ありがとう、田丸さん。」


田丸「んっ。」


彼は本当に嬉しそうに私にお礼の言葉をくれた。


私の心の中が少しざわついた。


その後、彼にちょくちょく勉強を教えるようになった。


彼(U木君)って意外と笑顔がカワイイ…かも。


~次の日の朝~


U木「おはよう」


田丸「おはようございます」


いつもの席に着くと同時にトマルが絡んでくる。


戸丸「普通…、マルなんかしたの?」


田丸「私からは別に何もしてないよ。」


戸丸「だよね。」


休み時間、私が本を読んでいたとき彼が話し掛けてきた。


最初は本の話、次にマンガの話、姉弟間での本の貸し借りの話、最後に姉弟の話…と立て続けに彼の話を聞いた。


U木「ホント、昔から姉ちゃんは男っぽいだよな。好きなマンガがホラーものだし、気が合うんだけど」


田丸「そのマンガ面白いの?」


U木「…あまりオススメしません。」


後でトマルに聞いた話だと彼のお姉さんは結構有名人らしい…。


また私の心の中が少しざわついた。


彼、弟なんだ…確かに弟っぽい。


~次の週の朝~


U木「おはよう」


田丸「おはよう」


いつもの席に着くと同時にトマルが絡んでくる。


戸丸「マル、最近学校来るの楽しそうだね。」


田丸「?、…そう?」


戸丸「まあ、自分じゃわからないかぁ〜」


田丸「?」


放課後、彼が一緒に帰ろうと誘ってきた。


さすがに最初は断ったけど、その後も誘ってくるので一緒に帰った。


彼はとても嬉しそうだ。


小学生の頃、男の子と集団で下校することはあったけど、なんか違う感覚。

帰りに彼がどうしてもというので、大判焼きを食べに行った。

そして半ば強引におごってくれた。


初めて買い食いというやつをした。


U木「美味い?」


無表情なまま彼女は黙々とモグモグと焼き菓子を頬張る。


田丸「…。」


呆れつつ、嬉しそうにU木がつぶやく。


U木「聞いてないのね。」


甘いものは好き…、正直悪くない体験。


彼の強引なところもそんなに悪くない…かも。


その後、SNSのIDを交換し、たまに彼の部活がない日には一緒に帰るようになった。


そして毎回、買い食い(大判焼き、タコ焼き、かき氷、etc…)して帰る。


初めの頃は毎回、彼が強引におごろうとするので、なんとか説得してワリカンになった。「元は親のお金でしょ?」が効いたみたい。


日に日に私の心の中のざわつきが大きくなっていくのを感じる…これってなに?


…この感覚は「カレ」に感じるヤツに似ていなくもないけど…、どうしても彼と「カレ」はイコールにはならない。


~一学期の最後日の朝~


U木「おはよ」


田丸「おはよ」


U木「後でちょっと時間ある?」


田丸「?、いいよ。また後で。」


今日は終業式。明日から夏休み。彼とも当分会えなくなる…なんかモヤモヤする。


いつもの席に着くと同時にいつものようにトマルが絡んでこない。


戸丸「…。」


田丸「トマル、無言恐い。」


戸丸「…付き合ってるの?」


田丸「えっ、ぜんぜんただの友達だよ。」


戸丸「…」


怪しまれた。


放課後、彼から部活の大会に応援に来てくれないかと誘われた。

最後にこう付け足して。


U木「田丸さんが来てくれたら、実力以上の力が出せると思うんだ。」


田丸「…。」


手を合わせ拝む様にU木君が言い、頭を下げる。


U木「頼むよ。この通り。」


田丸「頭上げて、…考えとく。」


彼はちょっとホッとした感じで、「ありがとう。」と言い。大会の日時と会場の場所をSNSのメッセージでくれた。


彼と別れた後、私はおもむろに手帳を開き、夏休み期間中のある日に重要な予定の印である赤い花丸と会場の名前、開催時間を書き込んだ。


何故か朝のモヤモヤはざわつきに変わっている。


彼のお願いする顔も悪くないかも…。



※田丸さんは表情も言動にも落ち着きがあるとよく言われます。

楽しんで頂けたら、幸いです。

この作品は別の作品のスピンオフです。

良ければそちらもご覧頂けば幸いです。


道 バターを宜しくお願いします。


他にも作品をアップしています。

作者ページを見て頂きますとなんと!?簡単に見つかります(笑

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