8話
両手を入れている聖水が、一瞬ぱあっと光る。
「お疲れ様でした。タオルをどうぞ。」
シスターから声がかかり、ほっとしながら、タオルを受け取る。
「それでは、隣の部屋に魔法の属性を調べる道具を用意していますので、ご案内いたします。」
シスターとマクロンが移動するのに、ついていく。
すぐ隣の部屋だが、こちらもシンプルな白い壁と、テーブルしかない。
先程の神様との会話からまだ頭の整理がつかないので、早く属性を調べてしまって、帰りたい。
「こちらになります。お座りになってお待ちください。」
2人のシスターが六芒星のような形から、中央だけ15cmほど、円錐のように窪んだ白い器を部屋に運び入れて、案内担当のシスターが、器に聖水を移した。
トポポポポという流水音がして聖水が移されると、その白い器からやわらかい光が放たれた。
魔法のあるファンタジーな世界とは言え、さっきまで手を入れていた水が何度も光る様は不思議な光景だった。
なぜか3人のシスターが、しばらく固まったまま、光を眺めている。心なしか、呆然としているように見える。
気のせいだと思いたい。ちょっとだけ褒められるような、まともな結果ぷりーず。
「マクロン様、なにがあったのでしょうか。」
「ええ。私も自分以外の魔法属性の判定に立ち会ったのは初めてなので、どうしたものかわからないのです。」
私が小声でこそっと質問すると、マクロンは困った顔をしながらも小声で返答してきた。
「・・・メイリーン様。こちらをどうぞご覧ください。」
落ち着かない気持ちで待っていると、小さく、ふり絞るような声で、先程の案内役のシスターから呼ばれる。
何か嫌な予感がしながらも、所作に品の良さが出るように意識しながら悠然と立ち上がって向かう。
視界の端で、2人のシスターが礼をして、部屋を退出したのがわかった。
意を決して私とマクロンがやわらかい光を放つ白い器の前に着くと、マクロンが驚いた様子で、ピシッと固まってしまった。
まだぼんやりと光り続ける聖水の入った器を見たところで正直、私にはよくわからない。それでも、一応覗き込んでみた。
光の色味はかなり薄っすらとしていて、何色かに見えるような、見えないような。
「・・・これは・・・・・・。」
「あの?マクロン様、一体どういうことですか?」
神様の話では、標準っぽく隠ぺいしてくれたはずなのだけれど・・・。見たことがないと言われてしまい、思っていたのと違う展開にどうしたものかと困ってしまう。
ギギギギギギと、きしんだ音が聞こえそうな動きで、マクロンがこちらに顔を向けた。
そして、ひと言。
「非常に、非常に稀なことに、メイリーン様は5属性を有していらっしゃるようです。」
ここからのマクロンは壊れがちに。
少年神はこれまで属性付与の経験もなく、知識も天使から聞きかじった程度なので、おちゃめなミスだったのだけど、人類的には大ごとに。




