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77話

まぶしいばかりに輝く美少女が、微笑みを浮かべながら、自分のもとにゆっくりと歩み寄ってくる。


そんな非現実的な演劇のようなシーンに心がしびれきってしまい、王子たちは膠着していた。


最も、一番固まっていたのはアウグスト王子だったが。



スチュワート侯爵の挨拶が続き、国王ヨハンが返答している。


フェルディナンド王子とエドゥアルト王子はじわじわと現実に意識を戻したが、アウグスト王子はまだ夢見心地だった。

すぐ目の前に立っているメイリーンに目が釘付けだった。



「ん?アウグスト、どうしたのだ?」



国王ヨハンが、ぼんやりとした顔で何やら固まって見えるアウグストの様子を不審に思って問いかけた。


しかし、夢見心地な状態のアウグストには声が届いていなかった。



「お兄様!」



隣に座るフェルディナンド王子に軽くゆすられて、アウグスト王子は、はっとなって意識を取り戻した。



「な、なんだ。」


「ごほん。アウグスト、スチュワート侯爵に失礼だろう。アンドレ、申し訳ないな。アウグストが不調の様なので今はこのくらいで。近々また招待状を出すゆえ、それを確認して欲しい。」


「かしこまりました。それでは、本日は御前を失礼いたします。」



そういって、スチュワート侯爵家の面々が去っていった。




「アウグスト、めずらしいわね。」


「ええ、お母様。少しぼーっとしてしまいました。もう大丈夫です。」


「そう?無理をしないでね。」


「はい。大丈夫です。」



アウグストはメイリーンと会話が出来ずに終わったことで落ち込んでいた。


そんなアウグストの様子を見て、同じメイリーンのファンとして、フェルディナンドは小声で話しかけた。



「お兄様、メイリーン嬢は社交シーズンにまた王城に来るので大丈夫ですよ。」


「な、なに、そうなのか。…わかった。」


「ええ。後でお父様に詳細を確認しましょう。」


「そうだな。そうしよう。」



あからさまに機嫌の良くなったアウグストを見て、くすっと笑いが漏れるフェルディナンドであった。

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