7話
教会は真っ白な建物で、装飾のない、平たんな壁が並び、三角屋根がついていた。
思いのほか質素なデザインだった。
この国では宗教に権力があるわけではないのか、それともこの領では盛んでないのか。
そんな疑問をいただきつつ、さすがに建物の前で長く立ち止まるのはいただけないので、マクロンの後に続いて歩いていった。
司祭とシスターに挨拶が終わると、マクロンが喜捨を渡す、そののちに、早速、洗礼の準備が整った部屋へと向かう。
廊下もすべて、白地の壁が続く。装飾品や、絵画、壁への彫刻などはない。
そういえば、7歳になるまで一度も教会に来たことがないのだ。それに、屋敷の図書館に、宗教についての本もあまりなかった気がする。
この国の教会の立ち位置がよくわからなくて気になったが、今日の目的は魔法を使えるようにするのだったと思い出して、また、思考を元に戻した。
「こちらのお部屋になります。」
案内のシスターから、部屋に通されて、洗礼の仕方をひと通り教わった。先程、マクロンが言っていたのと同じ内容だった。
マクロンが頷いたのを見て、私は聖水の前へと立った。
簡素な台に、白い石の桶が置いてあり、聖水が満ちている。こんなに質素なのに、一応礼拝のための部屋らしい。
聖水に両手を浸して、神様へとお祈りをしようと目を閉じた。
「・・・ん?」
非常に眩しい光が瞼に差し込んだ気がして、咄嗟に目を開けた。
真っ白な空間に、金髪で西洋風の顔立ちの少年が立っていた。
「え。もしかして?!」
「メイリーンさん、お久しぶりです。7年ぶりですね。フフ。」
少年のような幼く、透き通った声がした。
「またお会いできると思っていませんでした。あの時はありがとうございました。」
「フフフ。明るく健康そうなご様子でなによりです。
本当は見守るだけにしようと思ったのですが、教会にいらしていただいたので、お招きしてしまいました。」
いたずらっ子のように、フフフと笑いながら、少年はこちらを見ていた。今日もギリシャ神話に出てきそうな方法で大判の白い布を纏っている。
「さて、魔法ですよね。以前にお約束した通り、全属性を使えるようにしておきますね。」
「ええ。何から何までありがとうございます。ただ、全て使える人は多いのでしょうか。」
「うーん。普段は天使たちに配分を任せていますが、4つの属性くらいまでが多かった気がします。
・・・そうですね。さすがに少し目立っちゃいますよね。2つくらいは周りからは見えないように隠しておきますね。
・・・はい、闇属性と雷属性だけは隠しておきました。多分、闇属性はあまり使わないでしょう。
雷属性も、電気の概念のないこの世界では珍しいので、隠しておきますね。」
「ええっと、お気遣いいただきありがとうございます。」
マクロンは雷属性の話をしていなかったはずだから、何やらとんでもないことを言われた気がする。
「目立ちすぎても困るけれど、属性を発現させないと、マクロンから習えないから、とりあえずこれでいいの・・・かな?」
私がうだうだと悩んでいると、神様から声がかかる。
「では、メイリーンさん。引き続き良い人生を。機会があれば、教会にお祈りに来ていただければ、またお会いできます。たまには会いに来てくださいね?」
いたずらっ子のように瞳を輝かせながら、少年の神様が笑いかけてきていた。
「わかりました。またぜひお会いしてください。」
私も微笑みかえした途端に、先程の聖水の部屋と視界が戻った。
少年神は元気なメイリーンに会えて嬉しさが爆発した結果、フフフと照れ笑いしてしまう。
メイリーンは相変わらずうだうだ言ってる。




