67話
国王陛下ヨハンの心遣いで、王妃ゾフィーによるメイリーンの剣術の秘訣への追求や再び王城に来てほしいというお願いが一蹴された。
むしろ、それどころか褒美をやるからゆっくり考えておいてほしいとメイリーンは言われたのだった。
普段はぽやぽやとした思考のメイリーンも、さすがに国王陛下からこのような手厚いもてなしを受けるなど身に覚えがないため、その理由を考えるようになった。
あまり王妃ゾフィーがはしゃぎ立てると、心無い貴族によって珍しい子どもとして社交界で見世物になる危険性もあった。
ここで国王陛下が止めてくれた意義はあまりにも大きい。
わたしが子どもだから?動く人形みたいで可愛いから?
いや、そんな単純なことなのだろうか?
もしかしたら、魔法の属性が関係しているのか?
たくさんの属性があるから、国益のために宮廷魔術師になってほしいのか。
しかし、それならば、父親であるスチュワート侯爵に伝えてもらば良いはずだ。
なぜ、このような少女と接点を持ち、たびたび褒美を出すのだろうか。
そう考えてみると、国王陛下の大層な衣装も気になる。
普段はどんな服装をしているかわからないが、内々の食事会にしては派手すぎる見た目に見える。
父親であるスチュワート侯爵の礼服よりも派手で高価に見える。
メイリーンは、思考の渦にはまり、炭酸水の注がれたグラスを一瞬だがぼうっと眺めていた。
「メイリーン嬢、食事の量が多ければ無理しないでくださいね。デザートがオススメなので、他は無理しないのがオススメですよ。」
「フェルディナンド王子殿下、ありがとうございます。デザートのメニューをご存知なのですね。」
「ええ。おいしい桃を使ったデザートなんです。」
「まあ。私、桃は大好きです。」
ばあっとメイリーンの目が輝き、にっこりと満面の笑みを見せた。
その様子に一同は可愛いと一瞬きゅんと心を高鳴らせるのだが、さすがは王族と上位貴族、顔には臆面も出さない。
ただし、アウグスト王子は内心激しく動揺していた。
そして、小声で呟いた。
「か、かわいい…。」
そのほんの小さな呟きは国王ヨハン、王妃ゾフィー、宰相ディーン、スチュワート侯爵という地獄耳の大人たちにばっちりと拾われてしまった。
ヨハン、ゾフィー、ディーンが素早く視線を絡み合わせて意味ありげにうなずきあい、一方でスチュワート侯爵は聞かなかったことにしようと視線を斜め下にさっと逸らした。
そんなことは全く知らないメイリーンとフェルディナンド王子は本日のデザートの話から、日頃食べる好きなデザートの話に移り、食事会が終わるまでデザートの話だけで大いに盛り上がったのだった。
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