64話
高い天井は彫刻と絵で彩られて、そこから下へと続く壁紙は白地に金色で草花の模様が描き込まれており、華やかだ。
そして、ウッド調の家具には釘による継ぎ目を隠す意味もあるのか、ところどころに金の彫り物がしてあり、豪華な出来栄えであった。
これが王城の、王族の使う食堂なんだ…。
メイリーンは入室と同時に目を丸くして驚いていた。
そして、その様子を隣にいる父親のスチュワート侯爵は温かな目で見守っていた。
メイリーンが驚いたまま一瞬立ち止まってしまったが、王城のメイドは恥をかかせぬように、少し間を置いてから席に案内してくれた。
午前中の剣術はとても訓練にならず、メイリーンの独壇場となった。
三人の王子たちが代わる代わるにメイリーンに質問した後に、もう一度、宝剣を持って型をしてほしいという話になったのだった。
メイリーンとしても、宝剣で型をするのは楽しかったのだが、王城に来たからには対戦をしたり、騎士団の勇ましい姿を見たりとしてみたいことがあったのに、結局屋敷で出来るような型を見せるだけの時間になったことがいささか残念だと思っていた。
そして、剣術の訓練が終わった後は、王族との昼食会である。先程知ったのだが、宰相のディーンもやってくるらしい。
メイリーンは客室を借りて、すでにドレスに着替えていた。
メイリーンとスチュワート侯爵は、隣同士の席に着いた。
誰かが来る前にと、スチュワート侯爵がメイリーンに話しかけた。
「メイリーン、先程はよく頑張ったね。疲れたかな?」
「ありがとうございます。まだまだ疲れていません。対戦ができなくて残念でした。」
「はは。可愛い娘がこんなに好戦的だとは思わなかったな。今日のご褒美に、今度強い相手と試合ができるようにセッティングしてみるよ。」
「お父様…!ありがとうございます。」
「ははは。どういたしまして。これくらい、お安い御用だよ。」
メイリーンは思わず感動してお礼を言った。気分がかなり良くなって頬が緩む。
そんなメイリーンを見たスチュワート侯爵は内心かなりデレデレなのを隠して、優しく微笑んだ。
そうこうしているうちに宰相ディーンが入室したので、スチュワート侯爵とメイリーンは立ち上がり、定例の貴族的な挨拶をした。
「それで、メイリーン嬢は大活躍だったそうだね。」
「なんとも、それは…。ははは。」
目上の人に対して謙遜しがちな真面目でお堅いスチュワート侯爵が、明らかに上機嫌で嬉しそうな態度をしていて、宰相ディーンは刮目した。
「さすが、スチュワート侯爵の自慢の娘だな。」
「ははは。そんな。ははは。」
珍しいスチュワート侯爵の様子に宰相ディーンが面白がっていると、侍従が現れて、王族が向かっていると告げた。
気の緩んでいた一同に少しは緊張感が戻ったのだった。
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