58話
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メイリーンと父親のスチュワート侯爵は、訓練場脇の庭に臨時で作られた天幕のようなスペースで紅茶を飲み、王子たちの到着を待っていた。
この日のための臨時の設えとは言え、テーブルウェアや茶器などにも上等な品々を使い、テーブルには立派な薔薇が飾られていた。コンセプトとしては、お金持ちな貴族の庭遊びといったところだろうか。
なんでもかんでもスケールが大きくて、メイリーンは映画の世界にいるようなそんな気持ちで天幕の中を眺めていた。
先程の、アウグスト王子の執事が戻ってきて、侯爵に訓練の付き添いと昼食の同席について王子の承諾があったことを伝えていた。そして、まもなく王子たちが訓練場に現れるので、天幕から移動してほしいと言われた。
訓練所に移動したメイリーンと侯爵だったが、そこには一人の上背のあるがっちりした男性が立っていた。
「これはこれは、スチュワート侯爵、お久しぶりでございます。」
「おお、カラーナ騎士団長、久しぶりだな。壮健な様でなによりだ。」
「ええ、スチュワート侯爵もお元気そうでなによりです。今日は訓練指導として来ています。よろしくお願いしますね。」
訓練用らしい騎士服を着た男性は騎士団長らしい。生まれて初めて見た本物の騎士を前にミーハー魂を刺激されたメイリーンは少し興奮していた。
父親の振る舞いから見て、顔見知りで、爵位は侯爵より少し下のようだった。
こっそり鑑定しておき、暗記する。後で確認することにして、すぐに意識をその場に戻した。
「おや、こちらが噂に聞くメイリーン嬢ですね。初めまして、レディ。」
「はじめまして、カラーナ騎士団長様。本日はよろしくお願いします。」
「ほう。噂に違わぬ、美しいレディですな。ははは。」
褒めつつも豪快に笑う騎士団長はなんだか朗らかな性格のようで、メイリーンはほっとしていた。
「そういえば、メイリーン嬢も訓練に参加されるということですか?」
「はい?そのつもりです。」
小首を傾げて答えたメイリーンの様子を見て、小さな子供ならではの好奇心で、あまり武芸には親しんでいるわけではないだろうと騎士団長は思った。
そして騎士団専属の侍従たちに持って来させた訓練用の模造剣をいくつか並べさせて、可愛らしいお嬢様の戯れにと、メイリーンに選ばせた。
メイリーンは、しばらくキョロキョロした後にレイピアのような細身の模造剣を選ぶと、近くに人がいないのを確認してから軽く振った。
メイリーンとしては、軽く、振ったつもりだった。
その様子を見て騎士団長は驚いて、目を見開いた。
「なんと。幼い見た目と違い、すでに型がわかっておられる。軸がぶれていない。」
「カラーナ騎士団長、これでもメイリーンはまだ始めて三ヶ月だよ。素振り以外はそこまで練習していないからそんなに出来ないはずだ。だから、怪我だけはさせないように頼む。」
「え、ええ。かなり手慣れた様子で驚きました。しかし、三ヶ月ならまだ基礎的な部分でしょうが…。いや、きちんと安全確保に目を光らせましょう。」
カラーナ騎士団長がメイリーンの幼い見た目と精巧な素振りとのギャップに驚いていると、ようやく三人の王子たちが訓練場に入ってきた。




