56話
アウグスト王子視点です
いつもと同じ朝なのに、なぜだかいつもより視界が明るい気がしてしまう。
いつもと同じメニューなのに、なぜだかとてもおいしい。
いつもと同じ紅茶なのに、なぜだかとても香り高い。
アウグスト王子は朝食を終えるまでの間中ずっと、いつもの朝よりも味覚や嗅覚などが冴え渡る感覚を覚えていた。
それもそのはず、今朝はいつもより早く目が覚めて、自室でウォーミングアップのための体操をしていたのだ。血の巡りが良くなったおかげで、頭は覚醒しており、体はすでに万全の状態だった。
メイリーン嬢が来る前に疲れてしまってはいけないので、朝食後はゆっくりとお茶を飲んで休むつもりだったが、どうしても落ち着かずにそわそわしてしまう。
同じ状況なのか、早々に訓練着に着替えた弟たちがアウグスト王子の部屋に集まっていた。
いつもの朝食後にはこんな行動は取らない弟たちなのに。
エドゥアルト王子はソファーに座るやいなや気になっていることを問いかけてくる。
「お兄様、メイリーン嬢は宝剣を持ってくるでしょうか。」
「さあな。エドゥアルトが振りたがる気持ちはわかるが、傷でもつけたらメイリーン嬢やスチュワート侯爵に迷惑だからやめた方がいいと思うよ。」
「そうですか。迷惑をかけるわけにはいかないですね。そうだっ!持たせてもらうくらいはいいですよね。」
「まあ、それくらいならいいんじゃないか。ただ、訓練の後にしてくれよ。」
「やったー。わかりました。」
エドゥアルト王子が喜んでいるとフェルディナンド王子がその隙にと話しかけてくる。
「お兄様、この前相談した件、騎士団長は来てくれますか?」
「ああ。フェルディナントの願いは伝えずに、我々の自己研鑽のために依頼したところ、快諾してくれたよ。」
「良かったです。これで、宝剣を使った姿が観れるかもしれませんね。」
「う、うむ。いや、相手は八歳の令嬢なんだから、無理強いだけは止めるようにな。」
「はい。もしメイリーン嬢が嫌そうにしてたら今回はあきらめます。」
「聞き分けが良くてなによりだ。王族の権威はそんなところに使うわけにはいかないからな。」
その後もあれこれとひとしきり盛り上がった後、中座してアウグストも着替える。
そして、メイリーンと侯爵が訓練場に到着したとの連絡を受けて、三兄弟は訓練場へと向かった。
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