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31話

スチュワート侯爵家の王都の屋敷は、いつもよりさらに豪華な花がいたるところに飾られて、甘い花の香りで満たされていた。


侯爵夫人であるハンナが主催するお茶会にくるゲストのために、屋敷のいたるところまで品良く清潔になるよう手が施されている。


このお茶会は貴族の昼間の集まりであり、およそ3時間程度の集まりらしいのだが、その開催にあたり、準備の時間は何倍もかかっている。


屋敷のメイドや料理人はもちろん、侯爵夫人は主催者としてあらゆることを精査、指示した。

侯爵家という高位の貴族として、当主夫人として、何ひとつがその名に恥じない、高品質のおもてなしが求められるのだ。


この準備を他の社交と並行しているので、この日にいたるまでの侯爵夫人は体力はかなり削られている。

毎晩のように、お茶会が終わったら1日でいいからゆっくりしたいと何度も言っていた。


そしてメイリーンもお茶会用の服や装飾品、礼儀作法の習得、ゲストの名前や特徴の暗記を行なっている。

最初は侯爵夫人が付き添っていたが、途中からはシャーリーと2人で頑張っていた。メイリーンとしては、お茶会は逃げられない将来の貴族の義務だと思っているので、真剣に取り組んだのだった。


侯爵家の車寄せに馬車が到着して、何やら人が降り立っている様子が二階の窓から見えた。


メイリーンは、侯爵夫人に呼ばれるまで待機している。

ゲスト全員が揃ったところでお茶やお菓子がメイドたちによりサーブされて、場が整ったところで侯爵夫人が挨拶を行い、その流れでメイリーンの紹介がある予定だ。



「本日はようこそお越しいただきました。皆さまのような第一線の華やかな方々が我がスチュワート家の屋敷を彩ってくださることを光栄に思いますわ。短い時間ではありますけれど、お茶とお菓子をいただきながら、皆さまとお話し出来たらと思います。」



侯爵夫人がにこにこと微笑みながら、まずは挨拶と感謝の言葉を述べる。参加者も話を聞きながら、穏やかな笑みを浮かべている。

どのご婦人も王城のパーティードレスとは違い大人しさはあるものの、一級品の生地をふんだんに使ったドレスを纏っていて、華やかでたおやかだ。



「そして、先日の新年祝賀パーティーで社交デビューを果たしました、我が娘、メイリーンを皆さまにご紹介いたしますね。」



そういって侯爵夫人はメイドに目配せをすると、メイドはしずしずと扉の前に移動する。そして、扉を開くと同時に優雅にカーテシーをするメイリーンが登場する。

焦らずゆっくりと部屋に入り、微笑んでから挨拶をする。



「皆さま、お初にお目にかかります。スチュワート家第一子、メイリーンでございます。皆さまのお目にかかれて大変光栄でございます。今後はどうぞよろしくお願いいたします。」


「まあ、なんて可愛いらしい。」


「幼いのにご立派で完璧な挨拶だわ。」


「ハンナ様によく似て美しいこと。」


「素晴らしいわ。」



メイリーンを見て口々に称賛する面々に、侯爵夫人はほっとした。

そこからメイリーンが席につくと、しばらくはひとりひとりを紹介して、お茶をいただいた。

お茶会の前半はメイリーンが主役なので常に話を振られている。そのため、お菓子を食べる暇はなく、お茶だけを飲んで、喉を潤すに留めていた。7歳に思えない、大人な対応である。


ラーズ公爵夫人、ウィーリー子爵夫人に会うのは2回目なので、少し気が楽だったが、初対面の方々と話す時は少し緊張しながらも乗り切った。


メイリーンは貴族のサロンを実体験して、思ったよりも優しい雰囲気で良かったとほっとしていた。


それにしても、集まってアフタヌーンティーをするだけなのに豪華ですごいなあ。訳わからないくらい、フワフワのヒラヒラでゴージャス。王城のパーティーのほうが派手だったけど、お茶会もなかなかすごい。リアルな人形遊びってくらい着飾ってるから見てて楽しい。

お母さまを見てると開催する側はあんまりやりたくないけど、お呼ばれはまたしてみたいかも。


メイリーンはお役目を終えるまで、意外とお茶会を楽しんだのだった。



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