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30話

祝30話。

王城でのパーティーで無事に社交デビューを果たしたメイリーンは、3日ほどのびのびと過ごした。


実家帰りの最中であるマクロンの講義は当然ないので、お茶を飲んだり、読書をしたり、シロちゃんをもふもふしたり、メイリーンは自由にしていた。


メイリーンの両親である侯爵夫妻は、相変わらず社交に忙しく、王城でのパーティーが終わったことにより、さらに予定が詰まったようであった。

昨年までの王都行きは両親だけであったので知らなかったが、王都に滞在中の間だけとは言え、1日にいくつも予定を入れているため、毎晩ぐったりとしている両親の様子を、メイリーンは気の毒に思って見ていた。


メイリーンは、スチュワート侯爵家でもパーティーを開くのかと思っていたが、今回の滞在では侯爵夫人による近しいご婦人とのお茶会のみということだった。


王城でのパーティーに幼い子どもを指名したという異常事態と、メイリーンにいきなり侯爵家パーティーのホスト役を担わせたくないという考えから、侯爵は対策が取れないことから自邸でのパーティー開催は避けたのであった。


そして明日、とうとう自邸でのお茶会が開催されるのだった。

お茶会という名前ではあるが、実態としては1つのサロンであり、貴族のコミュニケーションや情報交換の場だった。

よって、社交デビューの済んでいるメイリーンは、他家のご婦人に挨拶を行い、顔を覚えてもらうことになる。


先日の王城パーティーで会っているラーズ公爵夫人、ウィーリー子爵夫人が参加するらしいが、他に5人はいるという参加者についてはよく知らないため、家名と名前を本人の特徴とともに覚える必要があった。


また、挨拶の仕方などの礼儀についても、領地にいる時に母親である侯爵夫人から教わってはいるが、日が経っているため、シャーリーとおさらいをして思い出した。

7歳にしては重たい課題なのだが、精神的には大人であるメイリーンにとってはそこまでの負担でもなかった。


メイリーンはそれよりも、いつもと違う一段と気合が入ったお菓子が振る舞われると聞いて楽しみにしている。


7歳児なので勝手に王都の観光に行くことも出来ず、屋敷でまったりしているだけの3日間だったので、豪華な洋菓子というちょっとした刺激は嬉しいのだった。


いささか疲れの見える侯爵夫人とともに、お客様にお出しするお菓子の最終チェックのため、食堂で待っていると、料理長が侯爵夫人から三歩ほどの距離に立ち、侯爵夫人に説明する。メイドたちがお菓子とお茶をサーブしていった。



「こちらが今回のお茶会でお出しする中でメインとなるカッティングケーキでございます。表面はホイップクリームとフルーツ、中身は生地にナッツとドライフルーツを混ぜ込んだものでございます。お皿にはこのように、はちみつと、追加のフルーツを載せて、華やかに仕上げています。」


「わかりました。華やかな見た目で良いですわね。」


「ありがとうございます。ぜひご試食ください。」



メイリーンも説明をふむふむと聞きながら、まずはひと口分を口に入れた。

ケーキの生地は若干パサついて崩れやすいが、ホイップが合わさることでまろやかな口あたりに変わる。つけあわせのフルーツによって違った風味が楽しめるのもきっとポイントなのだろう。


侯爵夫人がケーキを褒めているのを聞きながら、メイリーンはもぐもぐと味わい続ける。

大人が集まる会であるし、何より初めて参加するのだから、メイリーンに何の異存もあるわけがない。



「おいしいです。わたしもいつかこんなに可愛いお菓子を作ってみたいです。」


「ありがとうございます。ご要望がありましたらいつでもお応えいたします。」



あざといが、子供らしさを前面に出して、ちゃっかりと自分も料理をしたいアピールを添えて答えたメイリーンだった。

料理長の回答には、さらににっこりと笑顔を綻ばせた。


もちろん周囲はメロメロなのだからどちらもまったく困った人たちである。

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