27話
初めての王城、初めてのパーティーで社交デビューを飾るメイリーンとそれを見守る両親は、1時間ほどかけて、数組の貴族家の当主夫妻に挨拶し、交流を行った。
そして、ようやく両親とメイリーンだけでしばし冷たい飲み物と軽食で休憩を取っていたところ、不意にオーケストラの生演奏が大きくなり始めた。
メイリーンの近くに控えていたシャーリーが、飲み物のグラスを受け取ってくれた。他の貴族家のお付きの従者たちもささっと動いているのが見えた。
荘厳なクラシック調の曲で、聞いたことがないのに、どこか威厳を感じるメロディーだった。
「メイリーン、今から王族のお歴々が登場なさるから、練習した通りにね。」
「わかりました。お母様。」
母親である侯爵夫人から説明を受けて、再び緊張感をともないながら、王族専用の扉に視線を向ける。
音楽が徐々に徐々に盛大になり、山場を迎えたところで扉がゆっくりと開いた。
扉を恭しく開ける従者の後に、国王陛下、王妃様が並んで登場した。
国王陛下は銀色に近い金髪で30代後半から40代前半くらいに見えた。ある程度整った西洋風の顔立ちに、威圧的とも取れる厳かな表情をしている。
王妃様は国王陛下より若干若く見える麗しい美女だが、たおやかというよりは威厳に満ちている。髪は少し黄色がかった金髪だった。
そのお二方の後ろには、王子が3名続いていた。
全員金髪で、国王陛下と同じ髪色だったが、それぞれの年齢は事前に聞いていた通り、10歳前後のようだった。王族には一般的な社交デビューの時期など関係がないようである。
王族を席まで先導する侍従は明らかに格が高そうな貴族で、仕立ての良い立派な服を着ていた。
ホールの貴族用の入り口から最も遠い壁際に5段ほどの階段を登った先に王族用の席が設けられていた。壁に沿って半円形の床に、王と王妃を中央に、その隣に王子の席があった。
また、別の王族席もあり、そこにはすでに国王陛下の母親である太后と思われる人物がいた。最近は足が痛むらしく、先に着席していたようだ。少し神経質そうだが、やはり威厳のある佇まいをしていた。
王弟などの国王陛下の兄弟はすでに臣籍降下、または降嫁しているので、王族席にはいない。
国王陛下が現れた段階から周り同様にメイリーンもカーテシーをしているので、国王陛下が席につき、宰相が許可してから姿勢を直してからすべてを見ることができた。
宰相がこの1年の国勢の成果と課題について朗々と語っており、予定ではこの後に国王からのお言葉があるようだった。
束の間の休息として、メイリーンは姿勢を崩さないようにしながらも、ちょっと気を抜いていた。
はあー。5分もなかったけど長く感じたわー。思ったよりもさらに物々しい感じだったなあ。音楽も鳴り響いててthe荘厳なセレモニー!って感じ。
マクロンみたいに王宮魔導師として王城に勤めたらわたしなんてすぐに疲れそうだからパスしたいなー。
それに、王族もやはり美形揃いみたいで眩しい。いかにもな衣装の豪華さにまったく負けてなくて、全員がモデルみたい。まあ、わたしの家族も美形すぎるからあんまりひとのことは言えないけどね。
ふんふんと内心頷きながら、王座席を見ていると、王子たちからじっと見られていることに気がつき、すぐさま視線を下へと持っていく。
思わず血の気が引いて、心臓がギュッと締め付けられるようにザワザワと気持ちが騒めき立つが、ほどなくして、先程まで珍しい子どもの列席者として見られていたことを思い出し、なんとか心を落ち着かせようと試みたのだった。
幸いなことに、宰相の後に予定されていた国王陛下の挨拶が短く終わり、盛大な拍手の後、再びパーティーの賑やかさが戻ってきたのだった。
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