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24話

王都の屋敷に着いてから、侯爵夫妻は久しぶりの社交に勤しんでいたが、メイリーンはシロちゃんとともに屋敷や庭を散歩したり、部屋でお茶をして過ごしていた。

まったりとした日々が10日程過ぎた後、とうとうメイリーンが王城へ向かう日になった。



シャーリーと王都の屋敷のメイドたちが熱心にメイリーンを着飾っていく。メイリーンはフランス人形のような美少女なので、派手な色や装飾に負けるどころか圧倒して着こなしてしまう。


しかし、メイリーンは前世の記憶があるため、そんな奇抜な格好はできず、あくまで清楚なお姫様をイメージして準備してもらった。

それでも、7歳児が大粒の宝石のネックレスをつけている状況には引いていたが。


まあ、侯爵家の威厳が保たれるなら、着飾る必要はあるよね。と、諦観の念を持つことにした。



「メイリーン様、お支度ができました。仕上がりはいかがでしょうか。」



シャーリーが鏡を渡してくれた。

そこには、見慣れたはずのフランス人形然としたメイリーンが、さらにパワーアップして映っていた。



「素晴らしいわ。ありがとう。」


「ひとえにメイリーン様のお美しさがあってのことです。」


「まあ。フフフ。」



最近のシャーリーはベタ褒めなので、メイリーンはまあ、ウフフ、などの言葉で受け流すことにしている。正直、なんて答えるのがベストかわからないのだ。

ありがとう、と答えるのも何か違うと思うけれど、当然の如く振る舞うのも少し違うと思う。


前世ではストレートに本人を褒めるような機会がなかった気がする。買った服がよく似合っているみたいな褒め方なら、どこどこで買ったんだよとか、セールで運良く買えたのとか、何か言いようがあるのだけど。

学生時代まで遡ればそんな記憶があった。社会人になってからは量産品をまとめて買って済ませていたので、服選びらしきこともあまりせず、段々と服への愛着もなくなっていった。


過去への回想をしていると、もふもふフェンリルのシロちゃんがこちらをじっと見ていたので、しばらく2人にしてほしいとお願いして、シャーリーや他のメイドには退室してもらった。



「フフフ、シロちゃん、わたしの格好はどうかしら?」


「すっごく素敵!フワフワ、キラキラしてるね!とっても可愛い!」


「わーい!ありがとう。」



シロちゃんが短い尻尾をブンブンと勢いよく回してこちらをキラキラした瞳で見ている。興奮しているのか、グルグルとメイリーンの周りを駆け始めた。



「もう〜、シロちゃんってば、落ち着いてよね。間違ってひっかけて破いたら大変なんだから。」


「きゃー!それは大変!!!」


シロちゃんが猛ダッシュでメイリーンから離れていき、部屋の隅でプルプルと震えた。可愛い。



「新しいことに挑戦するから疲れて帰ってくるかもしれないけど、できたら後で話を聞いてもらいたいなあ。」


「うん。もちろん!メイリーンと一緒にいれないのはさみしいけど、フワフワの布を爪で破いたら困るから待ってるね。後でお話ししようね。」


「ありがとう。何時に帰るかわからないから、シロちゃんはたっぷり寝ておいてね。」


「うん!わかったー!」



シロちゃん、可愛すぎなんですけど。

なんとなくだけど、侯爵夫妻もわたしのことこんな風に思ってくれてるのかな。


シロちゃんに別れをつげてシャーリーを呼んで部屋を出た。

とうとう王城へ行くのだ。なにが起こるかわからないけど、なにも起こりませんように。

次回から朝10時投稿に変更していきます。2〜3日に1回を目標に・・・投稿していきますね。


お読みいただきありがとうございます。

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