20話
引き続き、ドレスやよそ行きの服の仕立てを行う予定だが、ドレスやその関連の品は母親である侯爵夫人が出してくれた助け舟に乗って、事なきを得ていた。
御用商人やお針子たちが細かい確認や次の仕立ての準備をする間、メイドのシャーリーに淹れてもらったおいしい紅茶で一息つくことにした。
慣れないことは疲れるもので、たったの1時間でもかなり疲労が溜まっている。もはや見たことないような高額のオーダーメイドなんてするよりは、マクロンと魔法をぶっ放しているほうがよっぽど気楽な気がしている。魔法で壁を派手に破壊すればするほどにマクロンに喜ばれるのだから、とにかくコスパが良い。せっかくイケメンなマクロンがほんのちょっと変・・・いや、たまに恍惚とした表情で上の空になっているのを無視する必要はあるが。
先に席についている母親たる侯爵夫人に先程の見立ての礼を伝えて、メイリーンも悠然とした所作で席につく。
7歳児にしてはやりすぎなのだが、親バカである侯爵夫人は「うちのメイリーンちゃんってば、なんという完璧な淑女!!!そして天才だーーーーー!」と内心かなり悶えている。大変にメロメロのメロメロである。
侯爵夫人はその生家からして高位の家族なので、内心のあれこれなど、顔にはおくびにも出さないくらいは朝飯前で、ぱっと見は美しく振る舞い、楚々として紅茶を嗜むだけである。
「メイリーン、初めての王城、初めての新年祝賀パーティーですけれど、先ほどの見立てで間違い無いと思うわ。」
「お母様、ありがとうございます。わたくし、そのような場のしきたりがわからないものですから、家名に恥じぬようにお母様にぜひ教えていただきたいです。」
「まあ。メイリーン、素晴らしい心がけだわ。わたくしの力の及ぶ限り、全力で応援しますから安心していて大丈夫よ。」
「ありがとうございます。」
母親である侯爵夫人に万全の援助を依頼して、言質を取ったことでほっとしたメイリーンの清々しい笑顔をバッチリと見てしまった侯爵夫人とシャーリーだった。
侯爵夫人は笑顔を崩さず、内心では「えーーーーーーー!かわいすぎる!うちの子ってば天使なのーーーーーー?!」とキュン死にしてるのに対して、シャーリーは幼女の渾身の笑顔にあっさり討ち取られて、たっぷり10秒ほど呆然と見とれてしまった。
「お母様、王城では他の貴族のおうちの方と友達になれるでしょうか。その、今まで屋敷にいる人しかよく知らないものですから、他の貴族の子にわたくしと違うところがあれば教えていただきたいです。」
メイリーンの質問は、前世の常識で成り立つ自分と、貴族社会の常識で育った子供とのギャップを埋めたいとの意図があるのだが、母親としては自信のない不安そうな態度に見えたようで、変なスイッチが入った。親バカ大発動である。
「まあ、うちのメイリーンのほうが比類なく圧倒的に優れているのだから、そんなことは考えなくても良いのよ。立ち振る舞いや頭の良さ、見た目の美しさ、果ては魔法の才能!一般的な子供には何一つない立派な淑女よ!
だいたい、一般的な子供は魔法を使う許可も出せないから、12歳くらいまでは触れることもないわ。なのに、メイリーンは中級魔法までしっかり制御できるのよ。そんな立派な魔導師なんて子どもではありえないどころか、大人ですら国内でほんの一握りよ。一般の子どもなんて相手にならないわ。
それにそれに、カテーシーどころか黙っているべき場がわからないような躾が終わっていない小さな子どもは王城になんてとても立ち入らせないわ。親としては怖いですからね。メイリーンならもちろん大丈夫ですけどね。おほほほほほ。」
今まで見たことのない親の態度ほど怖いものはない。
なぜか本人を前にして親バカを大発動させた侯爵夫人はご機嫌で饒舌な喋りを披露した。
それによって、メイリーンは大混乱して次の会話に何を絞り出そうか訳が分からなくなった。
「・・・・・・あの、そうしますと、新年の王城では子どもはいないということでしょうか。」
「そうねぇ。新年祝賀パーティーに子どもが呼ばれるなんて聞いたことないけれど、もしかしたらメイリーンほどではないものの少しは賢いような子どもが呼ばれているかもしれないわね。王族の友人候補かしら。」
・・・・・・王族の・・・友人候補・・・?
お読みいただきありがとうございます。
ぜひ↓の☆☆☆☆☆より評価をお願いします!




