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17話

今日から2〜3日おきの更新目標です。

紅茶が淹れられると気品豊かな香りがあたりに立ち込め、洋菓子の甘い香りとあいまって、メイリーンの部屋いっぱいに広がった。



紅茶をサーブした後、メイドには下がってもらい、今はシロちゃんとメイリーンだけで、お茶を楽しんでいる。


シロちゃんはお椀のようなサイズの陶器に入ったホットミルクを飲んでいる。もちろん礼儀作法など気にしないので、メイリーンもリラックスしてこの世界で初めて、素で話している。



「・・・っていうことがあって、神様によってこちらの世界に生まれ変わらせてもらったの。」


「へぇー。メイリーンはカイシャ?とコンカツ?が嫌だったんだねー。」


「そうなの。自分なりにそこそこ頑張っているつもりだったけど、毎日とても気力を消耗していてなんだかうまくいかなかったのよね〜。周りが出来ていることでも、私には根本的に向いていないっていうか。頑張れば最低限はできたから、一応やり続けてみたけどね。」


「よくわからないけど、なにかメイリーンに向いていることが見つかるといいね。」


「うん。神様に、自分のやりたいことや、思ったことを大事にするようにしてみたらってアドバイスもらったから、そうしてみようと思うよ。今回はまだ7歳だから時間もあるし。」



メイリーンはソファに座って足をぶらぶらさせて、ついでにクッションをもてあそびながら答える。お茶の時間が終わったら、今度はもふもふのシロちゃんをブラッシングしたい。想像するだけで癒される。



「神様に料理スキルをもらったから、いつか魔法を使いながら料理したら楽しそうだなあ。今ならクリームブリュレのようにスイーツの表面を炙るのだって魔法で出来ちゃうし、出来上がったクリームブリュレを丸ごと凍らせて食べてもおいしそう。ああ~、ただ、いつになったら人目のないところでチートスキルを試していいかよくわかんないや。というか、この世界の基準がいまいちわからないから、市井の生活水準を知るまで自重しないと。」



メイリーンはクッションを抱きかかえながらソファの背もたれに寄りかかって、ブツブツと独り言を言う。


ふと気が付くと、シロちゃんはホットミルクを飲みきって眠たくなったのか、カーペッドの上で丸くなって寝てしまっていた。


先程までシロちゃんに話していた、前世での思い出や神様との出会いについては7歳になるまでにだいぶ気持ちの整理がついている。


家族や友人に会えないさみしさはあったが、彼らに嫌な思いをしないように神様が何らかの手を打っているらしいので、自分を新しいフィールドに連れて行ってくれたことに感謝している。


問題は、これからの人生をどうしていくかだ。元々が高位の貴族であることに加えて、魔法の4属性持ちに、聖獣フェンリルが現れたこと、これが大きな影響を与えるのは必至だ。


まだ成人前で社交界や貴族の常識に疎いので、どういった慣例があるかはわからないが、王族が後継ぎを決めないという状況からも、権力争いに巻き込まれる形で婚姻が決まるのではないかと思っている。

婚姻相手によっては、後々に後継ぎになった王子やその派閥から疎まれるなど、やっかいなことにもなりかねない危険性もある。


侯爵家の一人娘である現状からして、ゆくゆくは婿を取ることになりそうなので、出来るだけ賢く立ち回れる相手を父親の侯爵に見つけてきてもらいたい。

あるいは、成長して自分で探せるようなツテができるまで、婚約者が決まらないことを願う。

以前に、自分で婚約者を探したいことを侯爵に伝えるか迷ったが、貴族として相手を選ぶための基準がわからなかったので、ひとまず保留にしている。


面倒ごとを避けるためには、知識と知恵をつけて、海千山千の貴族社会をかいくぐっていくしかない。それに、味方が必要だ。

どこかで有力貴族の味方を得る機会を得たいものだ。


・・・と、ここまでだいぶネガティブな方向へと思いをはせたものの、状況を整理したところで、情報不足で特になにも判断がつかないことがわかったのだから、しばらくは子供の時間を楽しむしかないと思ったので、なにか楽しいことも考えようと気を取り直した。


シロちゃんを見てみると、丸くなったままぐっすり眠っているようだった。今日はマクロンの週に1度の休みで講義や魔法の訓練はないし、メイドには部屋に入らないように伝えているので、まだまだ時間はある。


可愛いなあとシロちゃんを見ながらほっこりする。せっかくできた友達だから、このまま一緒にいたい。貴族以外でお友達が出来て嬉しい。


両親のことは好意的に思っているけれど、どこか前世の自分の意識があって、素直には飛び込めないでいる。


神様がどこまで考えてくれたかわからないものの、メイリーンにとってはシロちゃんの登場はありがたかった。


シロちゃんはなにが好きで、なにをすると喜ぶだろうか。

好みの食べ物があれば作ってあげたいし、それをきっかけに前世の料理を作れないだろうか。

フェンリルのシロちゃんの入れ知恵を言い訳にすれば、多少異色の料理でも受け入れてもらえそうな気がする。


ただ、まだフェンリルのことは内緒らしいから、どうやってこっそりと厨房を借りるかが難しいかな。

今一番、なにが食べたいかな・・・と考えに考えていたら、7歳のメイリーンは次第にうとうととして、ソファで眠ってしまったのだった。

お読みいただきありがとうございます。

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