12話
教会から帰宅してすぐに、両親へ洗礼の結果を報告すると、大興奮で喜んでくれた。
父親も母親も、興奮して頬を上気させながら、すぐに知りあいの貴族に自慢したいと口を揃えて言い始めて頭痛がしてきたところで、私はマクロンに目配せをして、沈静化してもらった。
魔法の4属性という非常に稀な条件から、早々に親元から引き離される可能性や、婚姻が殺到する恐れがあること、そして何よりも私が穏やかにいつも通り過ごしたがっていることを伝えたのだ。
マクロンの説明を聞きながら、徐々に徐々に興奮状態から抜け出した両親たちは、「メイリーンのためですもの、今まで通り過ごしましょう」と母親が言い出し、父親も納得していた。
「それにしても、素晴らしいわ。今夜は盛大にお祝いしましょう。」
母親がメイリーンを抱きしめながら、提案してくれた。
母親の香水なのか、花のような良い香りに包まれて、とても気恥ずかしい。
ただ、手放しで喜んでもらえるのは嬉しい。
この日の晩餐は、いつもより派手な飾りつけのフレンチっぽいコースが出てきて、大人たちは話が弾み、お酒が進み、コースの終盤には両親とマクロンはかなり酔って楽しそうだった。
翌日以降は、魔法の練習を始めた。
そして、練習の後にはティータイムや、貴族の関係性についてのお勉強もあった。
魔法は、魔力が尽きるまでは練習ができるらしく、私は割と魔力の量があったようで、魔力切れが起きることはなかった。
それよりも、力の込め具合が難しいため、その繊細さに集中力を持っていかれてしまい、気づけばいつも疲れてしまっていた。
マクロンは、「気長にやりましょう。」と、むしろストッパーになってくれていたので、魔法の練習は午前午後に2時間ずつくらいで終えていた。
今のところは、初級編らしく、1つ1つの魔法の名前と効果を覚えて、それを頭でイメージしながら、魔力で具現化していくことをコツコツとやっていた。
中級、上級編になると、初級編で覚えた魔法をベースに威力を増していくようになるらしい。
「ウォーターボール」
私が唱えると、上に向けた手のひらから5cmくらい離れたところに、ピンポン玉サイズの水の球体が現れる。
まん丸の小さな水球には、自分で作ったと思うと可愛らしさすら感じてしまう。
その水球を維持したまま、前進するようにイメージを保ち、5m先のコップに落とした。落ちたとたんにコップに当たって、球体は崩れた。
かなり地味な作業だけれど、これが結構な集中力を求められてきつい。
「メイリーン様、よくできました。今日は終わりにしましょうか。」
気が付いたら、午後の2時間を遣いきってしまったらしい。
喉が渇いているような気もする。
私はマクロンを見て頷いてみせると、メイドにお茶の準備を頼んだ。
私が使えるとされている魔法は、火、水、土、風の4属性と、無属性だ。
前世の趣味の漫画の知識から、光や雷はないのかと思ったが、どうやらこの世界で原理がわからないものは無属性魔法に集約されているらしい。
ライトの魔法は聖魔法でも、雷魔法でもなく、無属性というらしい。
そして、この無属性という、どこまでを包含しているかよくわからない属性が、魔法を使える人の中でもっとも多い属性だそうだ。
属性の無いという意味での0属性がもっとも多いらしいので、平民からすると高位でない身近な魔法使いと言えば、0属性で無属性魔法が使えるよくわからない存在というイメージなのだとか。
火・水・土・風属性のように、魔力で物理的なものを生み出すことができると、格上の魔法使いということになるらしい。
ちなみに、最初の洗礼では、聖属性が使えることになっていたが、かなりの希少価値らしく、使えるとわかると教会に取り込まれる可能性があったそうだ。
一生、教会に良いように使われたかもしれないと思うと思わず身震いがしてしまう。本当に、少年神にはお世話になっているけど、今回は危ういところだった。
チートスキルを世に披露する前に、この世界の理を学ぶ必要があると痛感した。
周囲の目があるところで調子に乗るとえらい目に合いそうだ・・・。
その後は、マクロンとお茶を楽しみながら、貴族の派閥について教えてもらった。
国王には成人前の子供が3人いて、まだ後継者を決めていないから、貴族が割れているらしい。
私の家は中立派だからあんまり関係ないらしいのだけどね。
ただ、4属性持ちの娘がいることがわかったら、派閥へ取り込むための勧誘があるだろうから、成人するまではばれないように気を付けてとマクロンからアドバイスを受けて、本日のお茶の時間は終わりになった。
両親は夢みがちな性格。
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