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神器と少年

「ところで君、戦えるのかい?」

 宿屋の一室で僕と勇者、それにルートが同じテーブルで向かい合っていた。

「あ、剣ならあります」

そう言いながら勇者に腰の剣を見せる。すると勇者は目を丸くして驚いた声を出した。

「おいおい。これは神器じゃないか。どこで手に入れたんだ」

「神器?ってなんですか?」

聞き覚えの無い単語だ。まあ神からもらった剣だから納得はいくのだが、情報は多いに越したことは無い。

「ああ。神器とは、神々が作り出したもので、形は様々、武器であったり、防具であったり」

この言い方なら恐らく神器は沢山あるのだろう。神は何故このφと云う使えない武器を渡したのか。

「それで、神器の最大の特徴として、一定の形を保っていない事なんだ」

「どう云う事ですか?」

「それが、神器の多くは人の形をしているんだよ。そしてこの世界に紛れているんだ。もしかしたら君も神器かもしれないぞ」

「ははは、そんな訳ないですよ」

そのまま勇者との話は続き、話が終わるころには日が落ちていた。


 部屋にて、

 勇者は部屋も貸してくれた。とてもいい人だ。

『おいお前、』

「ツバキだ」

『ツバキ、あのルートと云う人が例の人物だ』

「え!?勇者の方じゃないのか?」

『ああ』

 神から提示された世界を救うと云う役目。その内容とは、自らが世界の危機を救う事ではない。例えばこの世界で言うと、この世界は一か月後に滅びる。詳しくは、この世界を救うはずの人物が殺されるのだ。つまり僕の役目はこの世界を救うはずだった人を救うことだ。ややこしい。さて、つまりこの世界ではルートがその人とのことだ。

「お前のその能力間違ってんじゃないのか?」

『いいや、俺の能力は百発百中だ』

「そうかよ」

明日からあの勇者との異世界生活が始まる。一か月後、それまでに原因を探さなければいけない。


 翌日

「そっちに行ったぞ」

街から数十分歩いたところの草原で、僕たちのパーティーは戦っていた。目の前にいるのはオオカミのような獣。実際にオオカミを見たことは無いのだが、恐らくそうだ。街はこのオオカミによって住民が襲われているので駆除して欲しいらしい。

「っく!」

オオカミが真直ぐに突っ込んでくる。右に避け、剣を構える。怖い。逃走スキルは戦いの途中では発動しない。まじで使えない。

「大丈夫か!ツバキ!」

「あ、はい!」

目の前のオオカミに神経を集中させる。オオカミはこちらを睨み、こちらもオオカミを睨み返す。


瞬間、


オオカミが突進してくる。それを右に体を捻ることによって回避する。そして右足をばねにし、


「はあああ!!」


横腹に一突き。


手には肉を切り裂く感触。


「うええ」


気持ち悪い。勇者の方を見ると、彼は自らの持つ剣で数十体にも及ぶオオカミを倒している。ルートは勇者の傍に立ち、回復魔法をかけている。

「あ、魔法あったんだ、この世界」

「おし!これで最後だ!」

横薙ぎ一閃、オオカミはその体を真っ二つにされる。流石勇者だ。ほんとに一か月後、この世界は滅びるのだろうか。

「よし」

「お怪我はないですか?勇者」

「ああ、ルートの回復魔法のおかげで傷一つないよ。それと」

勇者は僕の方に走り寄って来た。

「君は、大丈夫かい?」

「あ、はい。おかげさまで」

異世界に来てからの初戦闘。この剣のおかげかは知らないが、何とかなった。まあ、戦闘の怖さはあるけど。

それから一週間、僕らは特に変わったこともなく、こんな風に毎日を過ごした。

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