8 決裂
近づいてきた二人が逃げていったのを見たナイルは、癖の独り言を言った。
「SAN値直葬されたか…ならばこの姿は変えないとな」
急に二人が逃げだし混乱している調査隊の前で、言語化し難い化け物の姿から、人間に似た姿となった。
ただそれは人間ではなく、側頭部から10cm程の角、蝙蝠のごとき翼、そして黒いゴムのような質感の尻尾が生えた、悪魔のごとき姿である。
そしてその手には、独特な形状の金属板を先端に持つ、取っ手のついた金属の棒…シャベルを持っていた。
ー万物穿チ潰シ絶ツシャベルー
オリハルコン100%のシャベル。最高品質にかなり近い品質を持つ。
アイテムスキル
超掘削:万物 万物を物凄く掘りやすくなる。
超切断:万物 万物を物凄く斬りやすくなる。
超粉砕:万物 万物を物凄く砕きやすくなる。
その価値を見分けれるものがいたら、シンプルながらもあまりにも強大な力に恐れ戦いただろう。
落ち着きを取り戻し、洞窟の化け物をはっきりと見れる距離まで近づいた調査隊は、最大限の警戒をしつつ観察を始める。そして悪魔のごとき姿を見て、会話を試みた。
悪魔は、邪悪な力を操る種族だが必ずしも性格が悪い訳ではなく、中立もしくは友好的な個体が無視できない程度にはいるからだ。あくまで“邪悪な力を使う”だけなのだから。
「名を聞こう、悪魔よ。そして、そなたの目的を聞かせてもらおう」
逃げたした二人の代わりに声を投げ掛けたのは国王であった。
声をかけられたナイルは、楽しさと嬉しさが混ざった笑顔を浮かべた。前世では厨二病等と性差別や人種差別に匹敵する理不尽な呼び方をされるであろう話し方で応えた。
「私の名前はナイル。軍小なるものたちよ、私は偉大なる存在が御創りになられた“混沌”である。目的か。それは財宝を集めることだな」
「そうかナイルよ。偉大なる存在が~などと言っておったが、まさか神がお前のような邪悪な存在を御創りになられたとでも言うつもりか?それと、軍小ななどとも言っておったが、あまり人間様を嘗めるなよ?」
「う~む。神…ね。あの御方は邪神などとも呼ばれていたな。それは置いておいて別に私は邪悪な存在ではないだろう?それと、事実として人間を嘗めても問題ないだけの力があるから問題ないさ」
「ほう。そのシャベルで戦うつもりか?ハッ、シャベルで?こっちにも対悪魔の戦闘方は確立している。恭順の意を示すなら良し。
示さないのであれば…これ以上の会話は必要ないと思うが?」
「シャベルを嘗めるな。シャベルは切る、叩くと言った攻撃や、塹壕や蛸壺、トンネルさえも掘れる最高の近接武器だ。直ちに訂正し謝罪しろ」
最後のナイルの言葉に返事はなく、ただ攻撃だけが彼に降り注いだ。
アイテムスキル:アイテムに付与されているスキル