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12/10^16のキセキ〜異世界で長生きすればいいだけ……だけど妹たちに手を出すなら容赦しない!〜  作者: 嘉神かろ
第五章 時は隔てる

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第九話 ジネルウァとの再会

短めです。

5-9 ジネルウァとの再会


「ね、ねぇ、二人とも? 魚、好きよね? 東へ行けば魚が沢山漁れる国があるわよ?」

「はぁぁぁぁ…………。まったく。もう一年は先延ばしにしてるじゃん。往生際が悪いよ!」


 そんなこと言われましても……。


「姉様」


 私の天使(ブラン)なら分かってくれますよね!


「諦める」

「……」

「あら? マスター? ……目の前で手を振っても反応がありません」

「そんなにショックなの!?」

「……はっ!」


 何故、私がこのまま進むのを渋っているのか。それは、次の目的地が『吸血族』の国だからです。散々抵抗したのですが、もうですよ……。


「いや、だって、ね?」

「告白されて意識しだした結果会うことすら恥ずかしくなるって……お姉ちゃん、ホントだったら高校卒業する歳だよね?」

「ほら! こっち来るまでは男だった訳だし!」


 前回はスズの事があったので、その辺はあまり考える余裕がありませんでしたし。そりゃあ正面からプロポーズ……(カァ……)……プロポーズされたので! 査定の様な事はしましたが。模擬戦を受けたのだって、スズを助けるのに最適解だったから以外にありませんし。


「ダウト! 絶対自分が戦いたかったのもある!」

「な、何のことかしら?」

「じとー……」


 スズ、口で言ってます……可愛い。


「なっ! んんっ……。まぁいいけどさ、プロポーズされたって考えて顔真っ赤にしちゃって。お姉ちゃんももう乙女だね!」


 にししっとスズは笑います。反撃ですか? 反撃ですね? 顔赤いですよ?


「マスター、スズ様。イチャイチャされるのは構いませんが、間もなく到着ですよ」

「はーい」

「……コスコル。あなたにはイチャイチャ云々を言われたくなかったわ…………」

「ははは。それもそうですね」


 くっ、この爽やか聖騎士め!


 茶番はこの辺りにしておいて。


「茶番?」


 茶番はこの辺りにしておいて。


 前回は『大地の裂け目』から行くルートで『吸血族』の国に入りましたが、今回は地上にある街から入るルートです。

 というか、本来はこっちが正規ルートですね。あっちは『吸血族』用の、謂わば勝手口ですから。


 今回は、眷属と血約者(けつやくしや)とは言え、他種族が多いですからね。一応正面玄関から入るのです。


「我らが同胞(はらから)よ。歓迎する」

「お疲れ様」


 勝手口の時とはセリフが違いますが、此処でもちょっと特別扱いですね。


「さて、普通なら人を訪ねる時間ではないのだけれど、相手は夜に生きる種族よ。このまま王宮を目指しましょう」


 私を同胞と言ったことから察せるように、門番は『吸血族』でした。つまり今は夜です。


「うん。わかった」

「りょーかーい」


 眷属二人はお辞儀して続きます。……優雅です。


 なお、馬車は既に預けてあります。〈ストレージ〉に入れてもよかったのですが、折角なのでお金を落として行くことにしたのです。

 しかし、このお金が世界共通と言うのは本当に謎ですね……。


「それで、どこから行くの? その……」

「下の街よ。『吸血族』の国は街が此処と地下の一つしか無いから、『上の街』と『下の街』で事足りるの」


 (ちな)みに、『吸血族』の国と先程から言っているように国名もありません。『吸血族』自体が少ないのと『始祖』を崇めるが故に、他に国を作ろうしないので十分なのです。だから『吸血族』には地名をつける習慣がないのだとか。


 閑話休題。


「……姉様。諦めた?」

「アッサリ王宮目指しちゃうもんね」

「……もう、来たことは伝わっている筈よ。宿なんて取ろうものなら、直ぐに迎えが来るわ…………」

「あー早く会いたくて?」


 ……。


「??」

「図星だってさ」


 ……ノーコメントです!




「――て感じだったんだよね」

「ふふふ。アルジェの意外な一面だな。良い話が聞けた」

「ジル義兄さん、今度はお祖父ちゃんの話聞かせて!」

「……姉様、大丈夫?」

「…………少し、休ませてください」


 はい。スズがジネルウァ様に私のありとあらゆる事――此処に来るまでの話から前世での話まで――話すものですから、精神ダメージ甚大です。恥ずか死にそうです。

 口調? そんな物気にする余裕がないです。ジネルウァ様もハイドさんも何も言いませんし、問題ありません。


「……顔から湯気出てる。姉様、可愛い」


 はぅ!?

 何ですか今の天使の、いえ座天使(上から三番目)級の微笑みは!? こんなブラン(天使)が居たなんて……!!


「あ、倒れた?」

「あー、うん。気にしなくていいよ、ブランちゃん」

「相変わらず、妹にメロメロの様だな」

「うーん、向こうにいた頃より重症化してる?」

「ジル義兄様。妹、()

「おっと、そうであった」




◆◇◆

 ……ここは?


「あ、お姉ちゃん起きた」

「スズ……」

「ここはジル義兄が貸してくれた部屋だよ」

「……ああ。そう言えばブランの可愛さにやられたんだった」


 というか、ジネルウァ様を義兄と呼ぶのは気が早いと思うですが……。


「気が早い、ね〜。っと、これ以上は危険危険」

「……はぁ。後でジネルウァ様には謝らなくちゃね」

「そうだね。相変わらずって言われてたよ」


 うっ……ま、まぁ、いえ、やはり何でもないです。


「それにしても、なんかシスコンが重症化してない?」

「仕方ないじゃない。突然死んで、スズや父さん母さんと引き離されたんだもの」

「まーね」

「そういうスズは、変わってないわね?」

「そりゃそうだよ。お姉ちゃん……お兄ちゃんが消えたって気づく前にこっちに召喚されたんだから」


 ここにも、タイムラグ…………。


「そう……ブラン達は?」

「ブランちゃんはジル義兄さんと稽古してるよ。アリスとコスコルもそっちに行ってもらってる」

「ならそっちへ行きましょ」

「ん、おっけー」


 さて、ジネルウァ様は前言ったこと、どれくらい直せてますかね。……今はあの事は考えない様にしましょう。その方が、良い筈です。


 そう言えば、ブランもジネルウァ様のこと義兄様って呼んでましたね……。よし、千年位はフルボッコにしましょう。そうしましょう。まだそう呼ぶのは認めません!



外堀は完全に埋まってますね

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