第4話 『吸血族』の地下王国
遅くなりました!
今回も段落つけてる時間無いので、前回含めもう暫しお待ちをm(_ _)m
4-4 『吸血族』の地下王国
エルフの女王、アルティカとのお茶会の後、私たちは城で一泊しました。
現在はアルティカ女王の後に連れられて、世界樹の根元へ来た所です。
「ここから跳べる、という事でしょうか?」
「ええ、そうよ」
【調停者】とエルフの王族の中でも極一部しか知らない秘密の抜け道。世界樹の根を経由した、空間跳躍だそうです。
正確には亜空間移動らしいのですが、まぁ大差ありません。
え? 世界樹の根と亜空間が繋がらない?
そう難しい話ではありません。
世界樹は、このアーカウラの核であり、一つの世界でもあるのです。
その世界樹の内に広がる世界とアーカウラ、その境に存在する亜空間に距離の概念はありません。
距離の概念がないという事は、目の前も百メートル先も千キロ先だって同じ点ということになります。
この事を利用するというわけです。
「それじゃ、ジル君によろしく言っといてね」
「わかりました、陛下」
「んもう、他に誰もいないんだし、おばあちゃんって呼んでくれてもいいのよ?」
ジル君というのは、現吸血族の王ヴァンピリエ九世の事。
彼もジジイと同じパーティにいたらしく、その仲間の一人が本名の『ジネルウァ』からつけたそうです。
え、女王が拗ねてる?
気にしない気にしない。
「それでは、お世話になりました」
「連絡は敢えてしてないけど、私の紹介状があるからすぐ会えるはずよ」
少し雰囲気を変えてアルティカ女王が続けます。
「……全部終わったら、またいらっしゃい? 私はアルジェちゃんを家族だと思ってるからね? もちろんブランちゃんも」
「……はい」
……今、私はどんな表情をしているのでしょう。どんな表情をすればいいのでしょう。
そんな事を考えている内に、視界は光に閉ざされ、感じるのは右手に伝わるブランの温もりのみになっていました。
◆◇◆
感覚が戻り、目を開けるとそこは、深い深い大地に刻まれた裂け目の底。背後では世界樹の根が淡くひっかっています。
へぇ、根も光るんですね。
「ブラン、見える?」
「うん、大丈夫」
他に明かりはありませんが、私たちは種族柄夜目が効きます。この光の届かない地の底でも視界は十分です。
ブランがついてくるのを確認して、今いる洞穴の、私がギリギリ通れる程度の大きさの出口へ進みます。
「姉様、ここは?」
そういえばブランにはまだ教えてませんでしたね。
「ここは『大地の裂け目』の底、位置的にはテラリアの南西部ね」
テラリアとは、セフィロティアの南にある大国、『海洋国家テラリア』の事です。落ち着いたら行くつもりです。
「ここに、『吸血族』の国があるの?」
「もう少し離れてるけどね。さぁ、飛んでいくわよ」
「あ、姉様……! うぅ……やっぱりこれ、恥ずかしい。でも、嬉しい(ボソッ)」
地面は歩きにくいので、翼を作り、ブランをお姫様抱っこして空を行きます。
…………恥ずかしがって真っ赤になる超絶可愛いブランを見たくてやってるわけではありません。ありませんったらありません!!
……んんっ。
頭上を見れば、小さく地上の光が見えます。
光の十分に届かないというのは、夜目の効かない他種族にとっての話ですね。
熟れたリンゴのように顔を赤らめつつ、尻尾をフリフリするブランを眺めること二時間半、ようやく目的地が見えて来ました。
「ブラン、着いたわ」
「……ん」
はぅ!?
そんな哀しそうな顔をしないでください!
いつでも何処でもどんな時でもやってあげますよ!?
激しい葛藤に抗い、ブランを降ろしてその岩棚に降り立ちます。手は離しません。離しません。
そして、その世界樹の根があった洞穴よりも明らかに広い洞窟へと歩を進めます。
「これは、なかなか複雑ね」
「うん、しかも色んなところに通じてるみたい」
風なんかから判断するに天然の迷路要塞です。
これじゃあ攻めようがありませんね。
まぁ、そもそも他種族にはあまりメリットのない場所ですが。
入り組んだ道を、女王に貰ったメモを頼りに進みます。
…………上上下下左右左右BAって、最後二つなに!?
しかもこれ、なんか見たことありますよ!?
………
……
…
「まさか、最後にクイズ形式の仕掛け扉なんてあるとはね……」
「ん、変な問題だった」
「ブランは気にしなくていいの」
現王の性癖をクイズにするとか、頭わいてるんですかね? 『吸血族』は……。メモのBAはこれらのことでした……。
真面目な話をすれば、彼らの誇り高くあろうとする種族性的には性癖すら誇るものなんでしょうね。私は嫌ですが。
ん?
こんなんで行商人なんか来れないだろうって?
確かに、この国の中心部はそうでしょう。
そもそも、このくらい深い地の底で商売出来る種族は少ないです。
もちろん明かりはありますが、多くの種族にとって十分なものではありません。
ですから、小国家群の中に取引用の街があり、外交も含めて外との関わりはそこで行われています。
「よく来ました。外に生きる同胞よ」
門番、一応いるんですね。
セリフは決まってるんでしょう。
ブランと手を繋いだまま、通路から出ると、そこに広がっていたのは歴史を感じさせる街並みです。
豪華ではありませんが、なんというか、永い時の重みを感じます。
「はい、これ」
「……ふむ、確かに」
うーん、アルティカ女王からの手紙、扱いは私書になるんですけど、ここで渡していいんですかね?
「どうしました?」
「……ヴラディエト王への私書をここで渡していいものかと思ってね」
「……差出人を伺っても?」
「セフィロティアのアルティカ女王よ。ほら」
いけますかね?
「……これは、確かに本物ですね。少々お待ちを」
あ、なんかいけそう。
水晶型の通信の魔道具で何処かに連絡を取っています。
「こちらでお預かりします」
「それじゃあよろしくね」
さ、後は宿で待つのみです。
見張りだか護衛だかがつきましたから、その内連絡がくるでしょう。
さてさて、どれくらいたちましたかね?
ここは時間の感覚がわかりづらくて困ります。
日の出、日の入り、深夜の鐘しかないんですよ。しかも人力。
リベルティアは大国なだけありましたね。どの街にも正確に時間を図って鐘を鳴らす道具がありますから。
ともかく、こちらに近づいてくる気配を感じました。
仕方がないので膝の上のブランを解放して、手を繋ぎ、宿の外に出ます。
「アルジュエロ・グラシア様、ブラン・グラシア殿ですね。陛下がお呼びです。付いてきていただけますかな?」
「もちろん」
やってきたのは、執事然とした老紳士。
さ、行きましょう。
ブランを膝上に乗せ、乗せられた馬車の窓から改めて街を観察します。
建物は石造り。当然ですね。木材が手に入りやすい場所ではないですから。
色は石の白色そのままですが、様々なレリーフが刻まれていて地味ではありません。
お、あの家の、良いですね。
ゴミは見受けられません。
この世界だとかなり珍しい光景です。
住民は、女性も含めてズボンが多いです。
これも珍しいのですが……、あぁ、飛ぶことが多いからですか。なるほど。確かにそこかしこで飛行してる人を見かけます。
……ん?
私って、スカート……。
まさかこの為のタイツ?
……管理者さん、メチャメチャグッジョブです……!!
さ、城が近づきました。
目的の情報を聞きだせるのは確定です。
あとは、ジネルウァ様がどんな方か、ですね。
アルジェさんのあの行動の訳は、次回書こうかな。





