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12/10^16のキセキ〜異世界で長生きすればいいだけ……だけど妹たちに手を出すなら容赦しない!〜  作者: 嘉神かろ
第3章 二つの輝き

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第25話 狂気と舞う死

告知のための臨時更新です。

3-25 狂気と舞う死


 そこにいたのは、黒いボロ切れのフードを纏った死神(デス)を二体侍らせる者。


 禍々しい装飾品に飾られた、不死者の王。


 不死王(イモータルキング)


 死そのものであるS+ランクの天災級の中でも伝説クラスの魔物と、死を超越した神災級の魔物。


 迷宮産として僅かに格が落ちるにしても、Sランク二体とSSランク。


 その圧力(プレツシヤー)で少しだけ冷静になれました。


 体が震えます。


 絶望的? 恐怖?


 いえ、違いますね。


 コレは“歓喜”です。


 最悪、ここにある物がつまらないものでも、アレらと戦えば、私はもっと、強くなれる。


 紗に近づける。


 だから……。



♰♰♰


 大剣に神聖属性の魔力を纏い、薙ぎ払う。

 死神(デス)が片方前に出て、鎌で受け止めた。


 だから腕力に〈限界突破〉による強化を集中して強引に吹き飛ばす。アリエルの真似だ。


 ブチブチと筋肉がちぎれる音が聞こえる。


 ――関係ない。もう〈高速再生〉が働いた。


 不死王ともう一体の死神が魔法を詠唱している。

 [吸収(ドレイン)]系統の最上位、[絶死]だ。


 ――吹き飛ばしてやる……!


 〈時魔法〉の[時間加速タイムアクセラレート]を発動。


 持ち時間は三秒。


 もう[絶死]は発動している。


 〈光魔法〉にある[裁きの光(ジヤツジメントレイ)]を、魔導スキルで効率化しつつ放つ。


 相殺成功。


 さっき吹き飛ばした死神が突っ込んでくる。


 振り下ろされる鎌は左腕でうけ、踏み込む。


 ――腕一本……。


 流石天災級。判断が早い。

 鎌を手放して致命傷を避けてきた。


 奪った鎌を再生した左手に持つ。

 大剣は刀に。


 〈縮地〉で死神の、奪った右腕側へ。


 左から斬り上げる。

 そのまま回転を活かして大鎌を振るう。


 [短距離転移(シヨートジヤンプ)]で避けられた。


 ――でも、魔力はかなり削った。


 死神には称号や装備での軽減もなく、魔力も私より少ない……後方に気配!?


「ガハッっ!?」


 背に衝撃が走った。

 吹き飛ばされるが、身をひねって着地する。

 落とした鎌は、既に死神が持っている。


 ――空間に歪み……。


 不死王も[短距離転移]したようだ。

 杖で殴られたのだろう。


 ――やってくれる。なら!


 今度は死神にも意識を残しつつ、不死王へ駆け寄る。


 闇の槍を乱射してくるが、急所に当たる者以外は無視して走る。


「フッ!」


 唐竹割りに振り下ろす。

 また死神に邪魔された。


 押し返される力に合わせ後ろへ飛ぶ……途中で[短距離転移]。


 不死王に背後から刀を振り下ろす。

 直前で気づかれて躱された。


 そして、私の首元に鎌。


「っ!」


 しゃがんで躱す。

 何かに右腿を貫かれた。

 地面から生えるのは石の槍。


 ――また不死王かっ!


 強引に槍を砕き、振り下ろされた鎌をさけ――


チリンッ

【〈限界突破〉がレベルMaxになりました。

〈限界突破〉を進化します。


 成功しました。

〈制魂解放〉を取得しました。 】


 その声と共に、〈限界突破〉の効果が切れ、動作が鈍る。


「くっ……!」


 左腕を持っていかれた。


 ――まさか、スキルの進化で死にかけるなんて、ね。


 それに幻想級のドレスをああも容易く斬られたのも想定外だ。


 血が、モノクロのドレスを彩る。


「[再生(アナゲンネーシス)]」


 何故か古代ギリシア語の〈神聖魔法〉[(αναγε)(ννησις)]を唱える。


 無くなった腕とドレスが再生する。


 詠唱の気配を感じた。

 今度は三体同時の魔法のようだ。


 ――アレは……嘘でしょ!? 神災級と天災級二体でとは言え、迷宮の魔物がそんな魔法を使う!?


 魔力を馬鹿喰いするが、仕方ない。


 [時間加速]を使い、マナポーションを飲む。


 時間は、限界ギリギリの三十秒。


 アイツらが使おうとしているのは闇と光の複合魔法、その最上位にして唯一の魔法。


 [虚無(イネイン)]。


 万物を根源的無へと帰す魔法。


 この限定空間では、避けることはできない。


 アレをどうにかする方法は二つ。

  一つは、アレが消しきれないエネルギーをぶつける。

 だがコレは今の私では不可能。


 なら、二つ目。

 絶対的な破壊の概念を持った攻撃で[虚無]そのものを破壊すること。


 私の持つ手段でそれが可能なのは一つだけ。


 でも、三体分のアレを消すには三十秒近くかけて魔力を練りこまなければならない。


 だから[時間加速]を使った。


 やや足りない魔力を、〈制魂解放〉で無理矢理引き出す。


 そして、時間が元に戻る。



「――[破壊(ディアプトラ)]」


破壊(διαφθορα)”の名を冠する〈神聖魔法〉だ。


 輝ける闇が、虚無なる闇と衝突する。


 “虚無”を“破壊する”という矛盾が、本来発生するはずの正負両方のエネルギーを“なかったこと”にする。


  神話級の魔法がぶつかり合っているはずなのに、恐ろしく静かだ。


 そして何も見えない。


 いや、全ての音や、光すらも、因果律の向こう側へ取り残されているのか。


 やがて、視界が戻る。


 互いに魔力はすっからかん。


 ――なら、次はコレでしょう。


 突然、体を脱力感が襲う。


 少し遅れた。

 敵の[魔力吸収(マナドレイン)]の魔法に対して、私も〈吸血〉の魔力吸収能力を発動させる。


 吸収力は互角。


 ――でも、自然回復力は私が上よ?


 然、私の方が早く回復する。


 〈並列思考〉を最大数展開、並びに、他の二つの演算スキルの出力も最大にする。


 ――[虚無]は無理でも、核爆発くらいは起こせるのよ。


 〈制魂解放〉であらゆる能力値を強引に引き上げ、白色になったソレを解き放つ。


「消し飛びなさいッ!」


 それは私の叫びに乗り、ただ一方向に向けて放たれた。


 光と熱の奔流は、死を飲み込み、不死の王に食らいつく。


 死神は消し飛んだが、不死王はなけなしの魔力で結界を張り、身を守っているようだ。


 しかし長くは続かない。


 王の杖が折れ、ローブを焼き、王冠を蒸発させた。


 それでもまだ、生きている。


 〈制魂解放〉と魔力、気力の操作で身体を無理矢理動かし、宙へ舞う。


 星の輝きが消え、星の裁きに膝をつく王の頭上、刀を大剣に変え剣先を下に向けて、自由落下を開始した。



いずれ投稿予定だった長編の序章部分を短編として先行投稿しました。

この作品とはかなり文章が違います。

よかったらどうぞ。


▼『仮題)愛しき世界に捧ぐ』

https://ncode.syosetu.com/n8789fo/

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