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12/10^16のキセキ〜異世界で長生きすればいいだけ……だけど妹たちに手を出すなら容赦しない!〜  作者: 嘉神かろ
第2章 千の時を共に

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第4話 試験へ

2-4

 おはようございます。清々しい朝ですね!

 今日は昇格試験の日です。

 Cランクへの昇格ですので、私が人を殺せるか、という試験になります。大抵の場合盗賊の討伐になるらしく、時々一線を超えてしまった元同僚の処分なんてものがあるくらいとのこと。


 まぁ心配はありません。確信を持ってそう言い切れる理由がありますから。


 それはともかく、心配なのは他のメンバーとうまく連携を取れるかです。

 試験の性質上幾らかを纏めてやらなければ、とてもではないですが討伐対象の数が足りません。そのため複数人で試験を受けることになります。

 つまり他の受験者とパーティを組むわけですが、私はパーティ規模の集団戦は経験がありません。スタンピードでは軍隊規模の集団として行動してましたし、途中から突出して個人で戦っていました。

 こればかりはやってみなければわからないことですね。相手の性格というものもありますし。


 ということで、やってきました冒険者ギルド。まだ二の鐘もなっていないような時間ですが、ギルド内には既に多くの冒険者の姿が見られます。


 並ぶのは仕事が早いリオラさんの列です。十人以上並んでいましたが体感五分もかからず私の番がきました。


「おはよう。リオラさん。昇格試験受けに来たわ」

「おはようございます、アルジェさん。はい準備できてますよ。他のメンバーとの顔合わせを行うので二階の第三小会議室までお願いします」

「わかったわ。ありがとう」

「いえ、頑張ってくださいね!」


 私は軽く手を振って件の会議室に行きます。

 これから行く第三小会議室はギルドにいくつかある会議室の一つです。小会議室は第一から第四の四つ、大会議室は第一と第二の二つがあります。

 前者は主に一から三パーティが内密な話を行なったり依頼の成果の分配などについて話し合ったりするのに使います。今回のように依頼を共にするメンバーとの顔合わせでも使いますね。

 後者は何かしらの講習が行われる時やもっと大人数を動員する依頼があった時、それからギルドの定例会議などを行うときに使うとのこと。

 “大人数を動員する依頼”というのは戦争やSランクオーバーの魔物の討伐作戦などになります。最近では劣飛竜(ワイバーン)(ワイバーン単体ではAランク)の群れの討伐があったとか。


 まあもう終わった話です。今重要なのは、この扉を開いた先にいる数人とうまくやれるかですね。

 そう思いながら扉を開くと、そこにいたのは三人の男女でした。


 まず、ちょっと頼りなさそうな『人族』らしき男性。名前はタミル。法衣を着ていますから〈光魔法〉を専門にした“治癒神官(クレリツク)”でしょう。光属性の魔力もみえますし、〈鑑定眼〉にも〈光魔法〉がみえます。〈光魔法〉は殺傷能力の低い魔法(レーザーは〈光魔導〉によるオリジナルなので別)ですが、他に〈水魔法〉も持ってるみたいですし、何気に〈杖術〉ももってます。それに昇格試験の推薦を受けてるんですから能力があるのは間違いないはず。神官と付きますが、以前言った人族至上主義の宗教の関係者とは限りません。


 次に胸鎧(ブレストアーマー)姿の目つきの鋭いカイルという男性。見た目は普通の人族ですが、〈鑑定眼〉では『半龍人族(デミドラゴニユート)(龍人/人)』となっています。スキルは〈身体強化“気”〉をもってます。やはりありましたね。“気”とはプラーナとかチャクラとも呼ばれるアレでしょうかね?

 武器はバスターソードと呼ばれるもの。プライド高そうですね。


 最後に『猫人族(ウェアキヤツト)』の女性。フィオという名前です。防具は基本布製で皮製の胸鎧をつけています。〈気配察知〉に〈忍び足〉、〈聴覚強化〉それに〈気配薄化〉をもってますから、どう考えても斥候ですね。


 〈忍び足〉と〈気配薄化〉は〈隠密〉の下位スキルらしいですね。〈忍び足〉は“足”とありますが足音だけでなく自分の立てる音全てを小さくする効果があります。〈気配薄化〉はそのまま。この2つをlv5まで上げると統合されて〈隠密lv1〉になるとのこと。二つのスキルlv5より若干〈隠密lv1〉の方が効果が高い、らしいです。今鑑定して初めて知りました。


 ともかく、猫らしいしなやかなラインの身体と猫目の人です。武器は細身の双剣。


 スキルレベルは全員高くてレベル3。Cランクの昇格間際とはいえDランクはせいぜいこんなものです。むしろレベル3があるだけ優秀な部類ですね。


「ちっ、また女か」


 そんな差別発言するのはやはりデミドラゴニュートの男。


「まあまあカイルさん。ここに呼ばれるって事は実力は確かですよ。そうカリカリしないでください」

「ふん」

「そうよ! 少なくとも彼女、あなたより強いわ!」

「あ゛ぁ? こんな小娘が俺より強いだと? 適当なこと言ってんじゃねーぞ猫女」


 いきなり雲行きがあやしいのですが……。

 とりあえずタミルさんは苦労人っぽいですね。あ、タミルさんが敬語なのは多分クレリックだからでしょう。聖職者ですからね。冒険者で敬語を使ってて唯一舐められない職です。


 なにか言ってやろうかと思ったところで、私の後ろのドアが開きます。入ってきたのは『森妖精族(エルフ)』の男性です。


「揃ってますね。私は今回の試験で試験官を務めます、テラです。早速今回の試験内容について説明しますね。まず目標は盗賊団の殲滅です。捕まっている人間がいる場合はその救助もお願いします」


 相手は盗賊団ですか。例にもれず、ですね。


「場所は『竜魔大樹海』の表層にある洞窟です。盗賊たちのアジトです。ここから北西に二時間ほどの位置ですね」

「随分近いのね」


 私が内心呆れながら言うと、テオは苦笑いと共に答えてくれます。


「ええ“灯台元暗し”というやつです。これまでもっと奥にあると思われていたんです。それが今回のスタンピードがきっかけでたまたま発見されたんですよ。発見者はEランクのパーティですぐに引き返して報告してくれました」

「そういうこと」

「まあそういうわけで、今回の昇格試験に利用することになったんです。何か質問はありますか?」


 さっきの話、それなりの時間その盗賊団について調査していたということでしょう。ならもっと情報があるはずです。


 なるほど、すでに試験は始まっているということですね。これは“Cランクたる実力”の一部ですか……。

 私がテオにじと目を向けると、ニッコリ微笑まれました。くっ! 流石エルフ、イケメンめ……!

 ではなく、私が聞いてもいいですが、今の感じ、これ以上評価を上げる必要はありませんね。他の人がどんな感じか、お手並みでも拝見しましょうか。


 さっそくフィオが質問するようです。


「盗賊団の規模はどれくらいなの? それから周辺の地理情報も知りたいわ」


 斥候らしい着眼点ですね。


「だいたい二十人前後です。まあ頭目以外大した実力はありませんが。地理は……そちらで調べてくださいね」

「……そう」


無いとは言わないのですね。なるほどなるほど。フィオとタミルは同じことを考えてそうです。カイルは……イライラしてますね。そんなものいらない、とか?


「では、捕まっている人間がいるかという情報はありますか?」


 聖職者として外せない質問でしょう。


「それは行ってみなければ今どうなっているかわかりませんね」

「わかりました、ありがとうございます」


 調査時点ではわかっているけど今はわからない、と。まあどっちにしろ確かめる必要はあります。


「洞窟内はどうなってるの? って聞いても教えてくれなさそうね」

「ええ、調べてください」


 ニコニコしたままテオが答えます。とその時です。


「いいからさっさと行くぞ! 盗賊団如き正面から潰せばいいだろう! だれか捕まっているとしても早い方がいいしな!」


 あらら、とうとうカイルがキレましたね。後半だけは賛同しておいてやりましょう。


「後半は賛成よ。でもこれくらいなら誤差だわ」

「そうよ! 脳筋は黙ってなさい!」

「んだとゴルァ!?」

「まあまあお二人とも落ち着いて」

「はあ、まったく。それよりもう質問はないの? ないなら自己紹介くらいしておきたいのだけど」

「……ちっ。カイルだ。ツノはないが、『デミドラゴニュート』。武器はコイツだ。基本身体強化しての前衛だな」


 あら? 思ったよりすんなりしてくれましたね。ただの脳筋ではないようです。


「フィオよ! 見ての通り『猫人族』で斥候。索敵と洞窟内の調査は任せてちょうだい!」

「タミルです。私も見たとおりですね。『人族』でクレリックをしてます。〈光魔法〉の他に〈水魔法〉も使えます。〈杖術〉を嗜んでますので接近戦も多少はできますが、あくまで多少ですね」

「私はアルジュエロ。ちょっと長いからアルジェでいいわ。『吸血族』よ。武器は大剣で今は〈ストレージ〉にしまってる。あと魔法も使える」

「おや? 『吸血族』の方でしたか。という事は『真祖』ですね」

「ええそうよ」

「え! すごい! 私初めてみたわ! へえ」


 やはり『真祖』は珍しいのですね。フィオなど目をキラキラさせてみてきます。カイルも驚いているようです。フフフ。


「それでは行きましょうか。もし万が一があっても安心してくださいね。私一応Bランク程度の実力はありますので。もっとも、その心配はなさそうですけどね」


 テオはコチラをちらっと見ながらそう言います。彼がBランクというのは疑いようがありません。レベル5のスキルをいくつも持ってますし、レベル6までありましたから。そもそもCランクの昇格試験の試験官ですからそれ以上の実力があって当然です。……〈鑑定眼〉を向けたときに意味深に微笑まれたのは気のせいだと思いたいです。〈鑑定〉と違って魔力で気づかれない筈ですから。


「やっとか」

「ふふ、回復は任せてくださいね」

「よーし! やるわよー!」


 みなさんやる気十分です。まずはさっさと現地へ行きましょう。



あれー?

もっとサクッと終わらせるつもりが、まだ出発すらしてないのに1話使ってしまった?

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