表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/10^16のキセキ〜異世界で長生きすればいいだけ……だけど妹たちに手を出すなら容赦しない!〜  作者: 嘉神かろ
第七章 奏でるは人と竜の災歌

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

126/153

第五話 第二次人竜戦線 〜一日目〜

本日二話目。

7-5 第二次人竜戦線~一日目~


 懐かしい面々と夕餉を共にした翌々日です。

 私達が居るのは、竜魔大樹海の境。以前オーガジェネラルが率いるスタンピードを迎え撃ったのと同じ場所の上空です。

 足元では見覚えのある冒険者たちがそれぞれ武器を構えています。


「さて、まずは前哨戦ね」

「うん」


 横にいるのはスズとブランだけ。アリスとコスコルは屋敷で待っているそうです。


「あなた達まで来なくても良かったのよ?」


 屈伸運動をしているスズと樹海の中層辺りをじっと見つめるブランにそう声をかけます。


「うーん、屋敷にいても暇だし?」

「私は、姉様と一緒が良い……」

「あらそ」


 ブランの天使力で力が漲ってきましたが、今日は軽く流す程度にしなければいけません。

 私達の役目はこの広大な樹海の最奥にいるレテレノを討つこと。不用意に消耗するわけにはいけません。

 さらに、今日迎え撃つ相手は竜の群れではなく、それに追われて出てくる魔物達です。

 竜のランクを考えれば、ここにいる殆どの者は後方支援がやっとになるでしょう。

 つまり最初で最後の活躍の機会。稼ぎ時です。それを邪魔するのは悪いですからね。


「ん、来た」


 ブランがそう言って前方を指差しました。

 ふむ、このままならあと一時間程で接敵する事になりますね。

 最初は以前同様魔法の一斉掃射になる筈です。


 なんて思いながらぼんやり眺めていると、先頭集団が樹海の入り口から姿を見せました。

 次の瞬間には沢山の魔法で消し飛んでましたから一瞬しか見ていませんが、ノーマルゴブリンやオーク、その他各種獣型という表層魔物フルコースだったようです。

 深層レベルが出てくるまでは見物してましょうかね。でないと準備運動にもなりませんから。


 それから更に数時間後、辺りが夕闇に包まれた頃になって、漸く深層レベルの魔物が出てきました。懐かしの強襲虎(アサルトタイガー)もいます。


 街壁の方では篝火も焚かれ始め、冒険者は夜目のきく種族中心となっていますね。


「そろそろ行きましょうか」

「……んあ? オッケー! 待ちくたびれたよ!」


 ……スズ、寝てましたね?

 まぁいいですけど。


 私は翼を、スズとブランは足場にしていた障壁をそれぞれ消し、宙へ身を踊らせます。

 スイッチは……入れなくても良いでしょう。目的は準備運動と、進化してしまった愛剣『シュブ=ニグラス』の試し斬りですから。


 まずは、刀形態です。

 落下する速度のままに、ちょうど良い所にいた虎の首を斬り飛ばします。


「た、助かった!」


 あら? どうやら誰かやられかけてたみたいですね。運が良かったです。

 ……嘘です気付いてました。


 その冒険者の男が移動するのを見届けてながら、逆手で後ろへ刀を突き刺します。

 そして下向きの半月を描けば、残るのは頭が縦に割れた狼の魔物。


 ふむ、こいつら程度じゃあ前との違いが分かりづらいですね。

 まぁ良いでしょう。


 しかし、ずっと思ってましたが、一瞬で刀身の脂を処理できるのは本当に素晴らしいです。

 地球でこの数を相手にするなら、持てるだけの刀を持っていても間に合わなかったでしょう。


 そんな事を考えながら目につく魔物を斬っていきます。

 袈裟、横薙ぎ、逆袈裟、唐竹……。

 うん、使い勝手は前と同じですね。


 そろそろ大剣形態でいきましょうか。


 ……あそこにしましょう。


 [短距離転移(シヨートジヤンプ)]で前線を押し込まれている辺りの魔物の中心へと跳び、大剣を一回転させて薙ぎ払います。


 ……()()()ますね。

 大剣状態の斬れ味は増しているようです。


 ここを担当していた連中はっと……あら、損耗が大きそうですね。


「暫く受け持つから、体勢を整えなさい!」

「は、はい!」


 魔物達が私を警戒して足を止めた隙に指示を出します。

 今のグループ、Cランクくらいの人が多かったです。

 そして押し寄せていた魔物の半分はAランク。

 寧ろよく保たせていましたね。


 音もなく足元へ近づいていた蛇の魔物を蹴り上げ、頭部を真っ二つにします。

 更に大剣に神聖属性を〈付与〉して地面に叩きつけ、冒険者の鎧を纏ったスケルトン達を土に返しました。

 過去に樹海で死んだ冒険者達の成れの果てです。


 続けて[炎の矢(ファイアアロー)]を斜め後方へノールックで放ちます。


「うわっ!?」


 何やら驚きの声が聞こえました。やはり気付いていなかったようですね。

 私を迂回して後ろの彼らを狙った暗殺蜘蛛(アサシンスパイダー)がいたんです。


「嬢ちゃん! ここはもう良いぜ!」

「シンじゃない。それじゃ、任せたわよ!」


 常識人モードのシンが来たので、私は別の所へ移ります。


 さて、スズとブランは……。

 いました。既にそれなりの数を狩っているようです。

 もうそろそろ退散しましょうかね。


 明日の早朝には竜が姿をみせる筈だと聞いています。

 この夜を担当する冒険者達は最深奥の魔物達の相手をする事になるのですが、Sランク相当は数える程しか出てこない筈。

 そいつらはシュテンやシン、それに他のAランク達が相手をするでしょう。


 衛兵隊の実力上位者も参加するそうなので、戦線が崩れる事はない筈です。

 魔境に接する辺境だけあって、騎士や兵達も精強ですからね。


 竜が姿を見せ始めたら、私達はそれを迂回してレテレノを目指す事になります。

 今夜は、しっかり休みましょう。

 何やら嫌な予感もしますから。



読了感謝です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ