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9話---みんなの傷と絆

さぁ………お前のすべてをみせてもらおうか……」


シルの上に乗った人は片目を光らせてこちらをみていた。両側のリデアとノレスは影に包まれていた。


「お、お前は誰だ……!!」

「忘れたのか……?なら教えてやろう……」


片目を光らせたその人はシルの服を脱がそうとしてきた。

ま、まずい、このままだとやばいぞ…

シルは小さな炎を近くに浮かせて影を照らした。するとそこにいたのは


「火で照らすなんて!」


何も布を纏っていない、眼帯少女がシルの上にまたがっていた。


「ら………ライト!?は、離れて服をきて!………うわああああ!」


ドサッ!


シルが後ろに下がろうとしたがライトが抱きついてきたせいでライトの方にバランスを崩してライトに覆い被さるようになってしまった。


むにゅ…………


「なんだ……乗り気じゃないか………」

「ご、誤解だから!なんかごめん!」


シルが覆い被さって手をついたところはライトの胸だった。

(リデアより少し小さくてノレスよりは大きい………そしてやわr………)

シルの脳裏に一瞬、触れた感想が出てきたが慌てて手を離そうとした。が、ライトが押さえた。


「手……離したら見えちゃうだろ?」

「ああ!!ちくしょう!『ウォーターアーム!』」


シルは右手腕を水に変えてそのまま水でライトの胸を覆うと布団の布を剥がしてライトに投げつけた。もちろん濡れると面倒なので投げつけると同時に『ウォーターアーム』を解除した。


「乱暴なんだな……まぁ、私は好きだぞ」

「そう言うことじゃなくてとりあえず明るくして、この二人を直してくれ!」


ライトは影を解除して「つまんないなぁ」と言いつつ車へ戻っていった。

(あぁ………女の子って楽じゃないなぁ)

シルはヘトヘトになり、その後また来ると面倒なので一睡も出来なかった。


「あれ、今日は早いんだねぇ」

「あ、クレヴィさん………おはよう…ございます………」


「あれ!シル早いね!」

「おはよう…リデア……」


「ヘンタイおはよう、顔色悪いわよ」

「あぁ、おはようノレス」


「おはよう、シル、よく眠れたか?」

「おは……………馬鹿野郎!!!」


ライトにだけまともに挨拶しなかったので他の皆からは一瞬、不思議に思われたシルだった。そのあと森の物で簡単に朝飯を済ませると王都への出発を再開した。


「ね……眠い」

「大丈夫?シル?」

「あまり無理はよくないわ」

「私が膝枕しよう」

「お断りします」


ライトは見た目によらず大人っぽくクールな年上に感じるが実は年下で慣れると全然アクティブな感じだった。


「今日も賑やかだねぇ!あっはっは!」


クレヴィさんはいつも明るくて頼りになるが油断すると、とんでもないことをしだす。


「王都までまだ遠いみたいね!トランプする?」

「おい、遠足じゃないだろ」


リデアはポジティブムードメーカーだがときにポジティブすぎて心配になる。でも誰よりもみんなのことを気にしてくれて支えになってくれる。


「私やるわ!シル!息抜きも大事よ!」

「いや、危機感大事でしょ、目的忘れてない?ストーリー性が変わっちゃうから!」


ノレスは今のところ一番幼いが戦闘の面では技術が高く頭脳も持ち合わせている、さすが騎士団副団長だ。だがノレスはいわゆるツンデレというやつだ。俺のことを「ヘンタイ呼ばわりする」くせ、好意を持っているように見えるからだ。


「私もやろう、やり方を教えてくれ」

「知らないんかい!」

「私が教えてあげるね!」


リデアはトランプを一からライトに教え始めた。


「明るく振る舞ってるけど、あなたがいなければ私たちは戸惑ったり先走ったことをしていたわ」

「そうなのか?」

「えぇ、私たちは多分あなたがいるから安心出来るし、笑ってられるのよ」


確かにみんな一人一人辛い経験をしている。それなのに笑っていられるし、辛いことも乗り越えていけてるみたいだ。俺がいるからなのか………。


シルは不思議な気持ちだった。でもノレスやリデアがじゃれてくるのも、ライトが襲ってくるのも気を許してるからなのかもしれない。


「みんな、辛いだろろうな………」

「おお!これがトランプなのか…わかったぞ!シル!早くやろう!」

「ライトもわかったからやろうよ!」


どうやらリデアとライトの話しが終わったみたいだ。


王都まではまだ長い……これから苦しいことや辛いことをみんなの力で乗り切ろう、とシルは思った。

みんな一人じゃない、そばに仲間がいるから………!









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