7話---状況整理
シルたちは聖都をドラゴンから救いだし、議長から車をもらい、クレヴィさんの運転で王都へ向かっていった。
「王都は少し遠くなるから今のうちに状況整理とかしておきたいな」
シルたちは自分たちの「属性」や魔物、「天空の塔」の情報の整理を始めた。
シルの属性は「火」と「水」で、「カオスイリュージョン」により2つの属性が融合して「炎水」(ラヴァ)が産み出される。水みたいだが色が透き通る炎の色をしている。触れると火の熱さを感じるが水の性質も持つため水で消すことができない。そして水のような強い流れを持っているので水流のようなものも存在する。
リデアの属性は「薬草」(癒し)だ。傷ついたものを治せて、ヒールのようなものみたいだ。
クレヴィさんは「宝石」(ジュエリー)と「スライム」を召還できるみたいだ。「スライム」の属性はバロック鉱山でツルハシを使って倒したときに持った属性らしい。戦闘において「スライム」の召還ぐらいはできるらしいが弱いからと言って本人は使わないみたいだ。「カオス・イリュージョン」で硬い性質の宝石と柔らかいスライムの性質が融合して「ジュエリー・グランデ」のような伸びる腕のに硬度な腕にできたりするようだ。
ノレスの属性は「鎖」と「氷」。手のひらの前に小さな魔方陣を展開させて鎖を目標に向けて発射したり、伸びた鎖を回収したりできる。氷は創造物をつくり出すことができる。「アイス・ウォール」なんかはその類いだ。「カオス・イリュージョン」で「凍る鎖」(グラース・シェーヌ)を使う。名前の通り凍っている強度の増した鎖だ。
他のことといえば属性発動による身体能力の上昇や技の発動なんかだろう。
身体能力についてはスピード型、体力型が今わかっている範囲だ。
技の発動は自分の想像できることで不発しなければ発動する。スケールの大きすぎるものは不発するみたいだ。(それでもあまりよくわかっていない)
それと、倒した魔物は光に包まれて消えていく。団長が消えてしまったのは魔物に侵食されたことがあったからみたいだ。
そしてシルたちは今「天空の塔」の中心にあるゲートのような空間の原因を知るため、世界を元に戻すために旅をしている。
「状況的にはこんな感じかな?」
「そうだね、あとは属性の種類かな。シルとノレスの氷は「自然、天然系」みたいだし、私の回復も同じかな?」
「あとはアタイとノレスちゃんの鎖は、剣とかハサミなんかの「物」に区分されるねぇ」
確かに「自然、天然系」と「物」が属性に存在する。鎖なんかはもとを辿れば「鉄」なわけだ。もし、鉄を属性として持つ人がいればどうなるのだろう。
「関係ないかもだけど、昔に読んだことがある本にはこう書いてあったよ。「鉄は種類が豊富なため区分が難しい。鉄にも鉄鉱石や製鉄、形をもった鉄板なんかがある」てさ!」
リデアが読んだ本の通り、鉄の属性区分が難しいなら、鉄でも鎖や剣のように別れるのかもしれない。そして属性習得にも触れる以外に想像や見たもので何か強い意思を持っているときなら習得できるみたいだ。属性の習得は今知っている限りでは2つが限界みたいだ。
「なんだか、複雑な世界になったものだわ」
「私は退屈しないからいいけど、魔物は嫌い!あ!でもシルは好き~」
リデアはそう言うと腕に抱きついてきた、リデアの大きく成長したものの感触が腕に伝わる
「わ、私だって……ヘンタイは私がいないとだめなんだから!」
今度はノレスが抱きついてくる。こちらはあまり成長していないようだ。
「ヘンタイ呼ばわりするくせに抱きついてくるんだな…」
「べ、別にいいでしょ!ヘンタイ!」
ノレスは離れるどころかもっとぎゅっとしてきた。
「お取り込み中悪いねぇ……王都が見えてきたよ!」
クレヴィさんはそう言うと車を停車した。
「今度は黒い雲か………」
「でもまだ森を抜けなければいけないみたいだわ」
「車のエネルギーも少しなくなってきたみたいだよ」
クレヴィさんはエネルギータンクを見るとそう言った。この車のエネルギーは火力色なので燃えるものとオイルが必要なのだ。
「俺のフレイムアームを使えばいいんだろうけど属性発動すると疲れるんだよな」
属性発動には少し体力も必要で永遠に発動できる訳ではない有限性なのだ。
「なら、森を探索する必要がありそうね、木とかはなんとかなりそうだし!」
「そうね、私も賛成だわ」
「なら、そうしようか」
シルたちは車に乗り込み森へ入っていった。森は少し薄暗く、不気味だった。森の半ばにくると車が止まった。
「エネルギー切れだねぇこの辺を今夜を過ごす拠点にしよう。暗くなる前には簡易的でもいいから車を隠すバリケードと家はほしいねぇ」
「それじゃ、手分けして始めよう」
リデアとノレスが少しもめたがクレヴィさんとノレス、シルとリデアで別れた。シルたちは仮拠点づくり、クレヴィさんたちは周辺の警戒と材料集めになった。
「シル?最近調子は大丈夫?」
「あぁ、まだわからないことが多いけど大丈夫だよ。逆にリデアのが心配だよ」
「私?全然平気だってば!ただ、戦えないのは辛いけど……」
リデアはヒールの属性で前線で戦うタイプではない。
「いや、落ち込まなくていいよ。リデアは十分俺たちに必要な仲間だから」
「うん…ありがとうシル」
リデアは笑顔で返すと作業を続けた。その頃クレヴィさんたちは魔物を見つけたら片っ端から倒していた。
「ううーーーーつまんないわああああ!!」
ノレスが大声をあげていた。すると
シュウウウウウウン!!
「うるさいぞガキ………」
光のレーザーとともに現れたのは黒い髪の眼帯少女だった………