4話---聖都へ
朝になり起きてみると両側にクレヴィさんとリデアがいた。
「うわあああ!」
「んっ…………んんん………あさぁ?」
リデアは寝ぼけていた。お、おい下着が………と、とれそ………
「よう!おはよう!シル!」
「はい!あうとおおおお!!」
クレヴィさん………あなたって人は………こうして少し変わったシルの1日が始まる
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「おはよう……昨日は悪かったわね…」
廊下に出ると鎖の少女、ノレスが階段の前に立っていた。
「あぁ、おはよう」
「誰だい?この子は?」
クレヴィさんがシルの後ろから覗くようにみた。リデアも一緒に出てきていた。
「女性と部屋にいた…………へ、ヘンタイ……!!」
「あああーーー誤解だああ!」
「シルはそんな野蛮な人じゃないよ、ね?クレヴィさん?」
「あぁ、そうだぞ、シルはたくましくてだな、細かく言うと………」
「だあああああああああ!!」
とんでもない人ばかりだ。昨日初めて会ったノレスに変な第一印象が記憶されてしまった気がしてならない………。とりあえず一同は宿屋で食事を済ませたあと宿屋を出た。
「そういえばノレスはこれからどうするんだ?」
「ヘンタイに着いていくことにするわ」
「ヘンタイじゃないから!」
「きゃあーシルのヘンターイ!」
「あぁ……俺のキャラが変わってゆく……」
「で、あんたら、これからどっちに行くんだい?」
クレヴィさんはそう言うと聖都と王都の別れ道を指差した。
「王都から「天空の塔」へ行く道があるけど聖都からは行ける道はないわ」
「ノレス、よく知ってるな」
「これでもフェーンズ町の騎士団副団長だったのよ。今は私しかいないけど………」
ノレスの町の人たちもほとんどの人が助からなかった。悔しむノレスをクレヴィさんがなだめていた。
「早く元の世界に戻すためにも急がなきゃな。でも一応行けるところは行きたいから聖都から行こうか」
シルたちは聖都への道へ歩きだした。聖都への道中は不思議となにもなく行けた、すると
「聖都から嫌な感じがするよ」
リデアはそう言いながら足を止めた。ノレスも顔を曇らせていた。
「聖都に何か大きな力を感じるよ」
「私もそう思うわ」
シルたちは気持ちを引き締めた。聖都へ近づくと誰もがその禍々しさを感じ始めた。聖都を遠目から確認したとき、聖都を覆うような黒いオーラに一同は絶句した。
「いくよ……みんな!」
「「はい!(おう!)(いいわ!)」」
聖都に足を踏み入れると、聖都の城の方から声がした。
「外部侵入者か……排除してやる」
どうやら声は城のてっぺんからみたいだ。見るとそこにいたのは巨大な黒いドラゴンだった。ドラゴンはシルたちを認識するなり黒い炎を吐き出してきた。
「ここまで届くみたいだわ!」
「全員分散だ!」
シル号令でみんな散るように避けた……が、リデアだけが炎に当たってしまった。そしてリデアはドラゴンの炎の渦に巻き込まれてドラゴンへ回収されてしまったのだ。
「あの炎に当たって渦に取り込まれるとドラゴンに捕まって身動き取れなくなるみたいだねぇ」
「リデア!!…………くそっ……身体能力を上げておかなきゃキツそうだな」
「とりあえずあの子を助けるわよ!属性発動!『シルバーチェーン!』」
ノレスが鎖の属性を発動するとドラゴンのいる城へ向かっていった。シルも属性、『フレイムアーム』を発動した。
「アタイはここでドラゴンを引き付けておくから行きな!」
「わかりました!クレヴィさんも気を付けて!」
シルはノレスのあとを追うように城へ続いた。城へ入るともう倒されたあとの魔物が何体かいた。城は7階建てになっていた。2階へあがるも魔物は倒されていた。
(ノレスのやつ……めちゃくちゃ強いじゃないか)
シルはやっと4階でノレスに合流することができた。
「ちょっとヘンタイ!手伝いなさい!!」
「いや、十分強いしヘンタイじゃ………って、うわあああっ!」
シルの目の前に魔物の頭が飛んできた。しかし、魔物が一階に比べると少し大きくなっていた。どうやら階を上がると強い魔物が配置されているようだ。
「ご丁寧なことだ。ノレス!これからどんどん敵が強くなる!気を付けろよ!」
「私一人で十分だわ!」
(手伝えって言ってたのはなんだよ……)
ノレスは次の階へ走っていった。ノレスはもう次で5階分の魔物を倒している。量も決して少ないわけではない。このままだとノレスはもたない。
「先回りするしかないか『ファイア・グランデ!』」
ドゴオオオオン!!
シルは天井を貫通する大きな穴を縦に開けた。ノレスの先回りをして魔物を倒すためだ。シルは超飛躍力で一気に6階まで行った。6階にいたのは氷の騎手が30体くらいだった。言うまでもなくシルは『業火の龍』で30体を仕留めてしまった。有利属性だったみたいだ。
「私の獲物!!」
「ノレスはやりすぎなんだよ」
シルとノレスは7階へ上がった。
「人か?」
「う……そ………………。 団長……
ノレスは信じられないような光景を目にする……