娘の旦那はどんなやつ?
皆さまご存知と思いますが、北海道で大規模な地震が発生いたしました。死者9名とのことで悲惨な災害となっております、ご冥福をお祈り申し上げます。
また、いまだ大規模な停電やライフラインが寸断されており、被害の長期化が予測されます。皆様、ご自愛ください。
【お知らせ】初期の頃に分離したプロローグを書き直しました。内容はエース3人の強さとホークを紹介するもので変わりありませんが、AoAにおける戦闘を混ぜております。宜しければ、是非お読みください!
【視点:3人称】
「おかえりなさいませケストレル国王、エンシェントドラゴン様!」
フーガ国、首都。首都と言ってもフーガ国はこのエリア以外に施設が無く住民も居ないため、実質的に今城のある場所が絶対的となっている。若い兵士による重厚な出迎えの元、二人は城門を潜り城に入った。
国王に対して「おかえりなさいませ」という言葉は正確には正しくないが、これは緊張した若者故の発言である事をケストレルも理解していた。すぐさま側近が留守の間に起こった内容を報告してくるも、新たに発生した重大な問題は皆無である。
とはいえそれも、ハクを追放した連中が静かな間だけ。そんな娘とその夫と過ごした楽しい時間から一転し、問題に対処しなければならないと、国王は心を入れ替えるのであった。
あれほど楽しそうにする我が子の顔は、親にとって何よりの御馳走である。出された料理もさることながら、心に残った彼女のまぶしい笑顔が、国王にとっては一番の栄養剤となっていた。
ハイエルフに関して問題があったものの、あの夫と一行ならば、なんとかしてくれるだろう。そう考えながら再び脳裏に顔をのぞかせる我が子の笑顔に対し、ケストレルは口元を緩めてしまうのであった。
その表情を読み取ったエンシェントドラゴンも、「馬鹿親という言葉が似合うのぅ」と捨て台詞を残し、別のエリアへと去っていった。
一方の彼は、とある一室の前へと辿り着く。警備兵が最敬礼で出迎えるその部屋は、彼にとっては1番と言えるほどに重要な場所でもある。警備兵は礼を解くと、その扉をノックした。
「お休みのところ失礼します、王妃様。ケストレル国王が、お戻りになられました。」
すると扉が開かれるも、出てきたのは召使である。国王は入れ替わりに中へ入ると、妻に帰還の旨を報告した。
「ただいまハリス、今戻ったよ。」
「おかえりなさい、無事で何よりです。」
二人は肩を軽く抱き合い、再び出会えた喜びを分かち合う。公の場では決して行えない行為であるものの、今の場には二人だけ。王と王妃という立場ではなく、夫婦として接している。
もちろん、その点は互いに理解しているがゆえの行動だ。そして彼女は、同時に報告を楽しみにしていたような顔を見せた。
「そうがっつくな。何、ハクの夫は十分な男だったよ。」
「あら、本当ですか。それは、実力的な意味でしょうか?」
「残念ながら武芸の点では劣るだろう。無欲とも言えるが、譲らぬところは譲らぬようじゃ。我を相手にして一歩引くどころか、彼が軍の長であることを痛烈に意識させられる。その上で発言に悪意はなく、相手を尊重する心を忘れない不思議な男であった。」
今までにない夫の言葉に、ハリスはポカンとした表情を見せてしまう。言葉だけでなく表情や表現方法から、ケストレルが安堵と恐怖の2種類の感情を持っていることを見抜いていた。
恐怖と言うのはホークに対してではなく、I.S.A.F.8492に対する感情である。圧倒的な偵察結果やハクの評価をそのまま知らせるなどして、「人族だからってナメるなよ」と表現できる微かなホークの警告が、しっかりと伝わっていたのだ。
決してこちらの上に立たないものの、かと言って下にも立たない。優位を得るために相手の上に立ちたくなる感情が芽生える対応を見せられるものの、実行に移せば何が起こるか分からないという直感が付きまとう。
互いを探り合ったのは1日2日程度のために最終的な答えを出せないのが現状であるが、ホークとの問答はケストレルにとって未経験のものである。そのような手腕を妻の父親、しかも国王の立場に就く男に対して見せる度胸も含めて、ケストレルは「十分」と評価したのである。
もちろん相手の本意は分からないために、他人に対して口にすることはできない。妻に対してすら「今のところは合格」程度に言い留めているのは、そのためである。
「なるほど、直近の不安は無いということですね。そうなりますと、深刻になりつつある国内の問題ですが……。」
「ああ、そうだな……。久々夢心地と言える暮らしだったが、夢から覚めるというのは疲れるものだな。」
極上の料理と酒、そして寝具。王族ですら虜にしてしまうホークの巣での体験だったものの、目を向けなければならない自国の問題は少なくない。
ホークから得たスパイ活動と思わしき状況が、最大級の問題として追加されている。とは言っても過去に例が無い状況だけに、どのように対処するべきか想像もつかないのが現状だ。
信頼できる配下に全てを投げてしまい忘れたいのが本音だが、そうもいかないのが彼の政治手腕となっている。そのようなことをすれば、自身に対する評価が下落するのは明白だ。
少なくとも、現在においては得策ではない。明日の早朝に行われる側近には話を通し、彼は前代未聞の問題に立ち向かおうと決意した。
「ところで、食事の内容はいかがでしたでしょうか?」
「っ!?」
決意を新たにした瞬間に発せられた突然の質問に、彼の心拍数が跳ね上がる。何の脈略も無いタイミングでの質問だったことが輪をかけているのだが、何故今の質問が投げられたのか、彼は全く理解できていない。
「な、何故そうなる!」
「国を発たれる前夜、「ハクは食い意地を張っていないだろうか」と心配なさっていたでありませんか。それに加えて、先ほどの夢心地という表現も引っかかります。その報告を、私は未だ聞いておりませんことよ?」
「ハッ……。」
できることならば、避けたかった会話内容。しかし「久々夢心地と言える暮らし」というトリガーに匹敵する言葉と自国を発つ前にフラグを立ててしまっていたケストレルは、観念して体験内容を報告するのであった。
そして、報告にあった料理を作れないのかとせがまれる。料理長を呼びつけるも、もちろん誰も作れないどころか料理の完成系すらイメージできない。
彼は「娘婿よ、助けてくれ」と宙に願い、叶わぬ妻の願いを聞き続けるのであった。
ハクの母親、ハリス王妃の容姿は狙って描写しておりません。
性格は……親子ですね。今後の章で登場予定です!
次話より、新章に入ります。
お陰様で500pt近くとブックマーク160件を頂き、嬉しい限りです。
今後ともよろしくお願いいたします。




