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異世界で、エース達と我が道を。  作者: RedHawk8492
第1章 腰を下ろすために
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閑話 街育ちの冒険者Cさん

【視点:街育ちの冒険者Cさん】


俺の名はシビック。東にある海に近いティーダの街を基点とする、Cランクの冒険者だ。


生まれも育ちも常にこの街。大きくは無いが皆が精一杯生活している、良い街だ。時たまAランクの冒険者がフラっと訪れ、街を賑わす。お祭りになるといえば、そんな程度だ。

最近世間を騒がせている勇者の国の影響もなく、子供のころから、変わらない日々を過ごせている。





そんな折。街の付近を警戒しているDランクの若いアサシンの女が、顔面を真っ青にして駆け込んできた。





叫びながら放たれた、あの報告を聞いた時。ギルドにいた冒険者全員の顔から、完全に血の気が消え失せた。



「街からたった5kmの地点に、ゴブリン百体以上と、オークキング6匹の群れが集結していた」



と言う報告だ。






ゴブリンは大したことが無いが、オークキングは話が違う。例え単体でも、王国の1個騎士団で討伐するほどの魔物である。互いのレベルにもよるが、冒険者ならばAランクの4人パーティー、もしくはSランクのペアより少し弱い程度に匹敵する。

それが6匹、しかも明らかに集団行動をとっているときた。彼女は緊急時に使用する「鑑定の書物」を持っている、種別に関して間違いは無い。



報告から2日過ぎた。

外は先日夜から大雨が続いており、夜は特に気が抜けない。門番や見張りの要因は、3倍までに増やされた。冒険者ギルドも、気が休まらない日々となっている。誰かしらが、寝ずの番を続けていた。


オークキングの報告を聞いたのか、発見から3日後には、王国から正規の討伐軍隊4個騎士団が送られてきた。輝かしい鎧を着込む騎士が多く、目にするたびに、子供の頃に抱いた憧れを思い出す。



騎士の集合からいくらかの時間が経過し、明け方には雨も上がって視界も良い。運気はこちらに味方している。



その一方で、馬はとても疲れた様子を見せ、全頭がへたり込んでいる。相当の無茶をさせたのだろう。騎士たちも馬を労い、ここからは徒歩で向かうようだ。



Cランク以上の冒険者も強制参加ということで、この俺も討伐に参加した。昔から馴染みのある奴等も数人居るが、全員の表情が暗い。前衛は騎士が受け持つが、それでもオークキング6匹に、どれだけ耐えることができるかはわからない。

放置すれば街が滅び、最悪の場合は国まで被害が及ぶことは分かっているが、こんな状況は前例が無いのだ。だから、誰も想像ができない。





報告のあった現場が近づいてくるにつれ、俺は死を覚悟した。




前の連中の足が止まる。いよいよか。

これでもCランクの端くれ。やれるだけ、やってやる―――




「―――なっ……。」




だが、そんな感情も杞憂だった。現場を見た俺達は、騎士を含めて、その光景に絶句した。

まず、目撃現場付近の木々が広範囲にわたって薙ぎ倒されている。根元から折れ、豪雨だったというのに激しく燃えたのか、全てが黒こげだ。



未だ乾いてはいないが、ゴブリンと思わしき物体は、原型すらわからない。オークキングと思わしき物体は黒焦げになり、体の一部分が千切れている。

更に確認したところ、オークキングの死体数は8だった。俺達が戦っていたら、間違いなく全滅していただろう。



……一体だれが、こんな大規模なことを成し遂げたのだろう。



これほどの威力が必要なことを成し遂げるならば、神代の魔法を使わなければあり得ない。だがあの晩、街の外から魔力の反応などは一切無かった。

全く持って、見当が付かない。騎士を含めた、場に居る全員が同じ意見だ。



ともかく理解できるのは、オークキングの脅威が排除されたということだ。今日の夜からは、また旨いメシにありつける。




願わくば。




この軌跡を残した生命が、俺達の敵でないことを祈ろう。

シビックのスペルはSじゃなくてCでした、修正しました。

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