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異世界で、エース達と我が道を。  作者: RedHawk8492
第4章 おいでよ!第二拠点の森
89/205

森のわんこと森の妖精

21話-22話における2名の視点です

【視点:ヴォルグ】


今日もまた、朝が来る。主様とハク様が住むご自宅の少し前にオレと妻の家があり、これらは小高い山の上に建てられているため、外に出た時の景色は見晴らしが良い。

第二拠点と呼ばれているこの一帯は常に空から監視が行われているらしく、接近者が居れば直ちに全部隊に知らされることになっている。この連絡を受け討伐に向かうのは、オレと妻も例外ではない。それが役割と言うものだ。



「とは言っても、魔物の一匹すら現れる気配が無いけどね。」



欠伸をしたあとに呟く妻は、すっかり野生味を無くしてしまっている。

どうやら食事ができたようで、ハク様がドアを開けて出迎えてくれた。その時に尻尾が振られているのだが、このような仕草を見るのは主様の配下……いや仲間になってからで、新鮮味がある。


すると、やってくる気配が1つ。これはエンシェントドラゴンだが、出迎えは誰も居ないのか?

主様曰く「砂粒並みの大きさでお客さん扱い」らしいので、一応出迎えておこう。それにしても夜が明けてから時間がたっていないが、随分と早い時間に来たものだ。



「おや、ヴォルグのみか?珍しいの、ホーク殿はともかくハクの出迎えも無しか。」

「仕方ないさ。朝食ができたようで、皆さん家の中だ。」

「なんと!?これは是非、我も貰わねば!」



着陸早々に人の姿になったかと思えば、タダメシを食らおうと上機嫌の駆け足で家の中に消えてゆく。この気の抜けた行動が本当に神龍なのかと未だに疑いたくなるが……まぁ、気が抜けている点に関しては、人のことは言えないか。


エンシェントドラゴンに続いて家に入ると、やや眠そうな目で主様が調理中。どうやら最終段階らしく、ハク様が盛り付けをなさっていた。

直ぐに食事の用意がされるも、念話で連絡が来ていたのか3人分と我々2名の分が用意されていた。そんな食事もすぐに終わり、今日の予定の話となる。



「主様、今日はどちらに?」

「ハイエルフ一行と、小麦畑の視察だね。」



そう言うことで、朝食後は車両に付き添い公園にてハイエルフと合流。向こうは全員が参加なのか、かなりの人数が揃っていた。

しかし、何故だか今日はハイエルフ集団の機嫌が良く調子も良い。前回見たときは穏やかさが主張する普通の調子だったが、今日は何故だろうか。


ダメもとで主様に聞いてたものの、オレの疑問の答えもお見通しのようだ。そしてそんな主様の思考をお見通しな様子のハク様であり、互いに互いを理解されている。本当に二人はお似合いだ。



「前回の事なんて気にしてないから、普通に接するように。どうしても処罰を受けたいって言うなら考えるけど、一線を超えない限りは特に問題ありません。イイネ?」

「「「はっはい!!」」」



そして主様から事の真相が知らされるが……なるほど、ハイエルフ連中の機嫌が随分と生き生きしていたのは、これが理由か。人間の世界ではご機嫌取りなんて言うらしいが、オレ達からすれば馬鹿馬鹿しい話しだ。素直に謝罪すればよいものを。

主様も仰っていたが、アイサフ8492には根に持つ人間は少ないようにも見て取れる。とはいえ根に持つようなことをやる人間もまた居ないのだが、人間即ち欲に塗れた生き物と言う認識は改めなければならない。


さて、どうやら反省会も終わったようだ。今度こそ、全員で小麦畑を―――



「……間違いありません。マスター、接近中の気配があります!」



っ、ハク様も感づかれたか!かなり強い気配だ、簡単には終わら……後ろから凄まじい殺気、これはマクミラン様か、身の毛がよだってしまった。

さっきの訂正、簡単に終わるかもしれない。いや、一帯に殺気が増えてる。始まったら簡単に終わるぞ、これ。



「強い気配です。主様、ご注意を!」

「念話が来たわヴォルグ、相手はフェンリルよ。ハク様!」



こちらにも届いた。……人間の下に下ったツラを拝んでやる、だと?完全に舐め腐ってやがるな、上等だ。

しかし主様の指示は厳守する必要がある、こちらからは手が出せない。これが好き勝手できる野生と規律の元で生きる集団との違いなのだろうが、なんとも歯がゆいな。


ハク様の指示で、オレ達3名は主様の前に陣取る。姿を現したフェンリルは態度だけは一丁前で、案の定、出てくる言葉も似たようなものだ。オレのことをどうこう言っているが、主様と同じく気にはならない。ハクレンは怒りが溜まっているようだが、主様の手前だから抑えてくれ。

戯言に付き合っている主様も、オレ達の怒りが堪らない程度に、あしらう様に言い返している。ただ聞くだけではこちらの怒りが溜まるだけだ、この対応はありがたい。



「ハッ。これほどヒョロくて弱そうで大したことのない人間に飼われるなど―――」



――――お前は今、超えてはいけない線を越えた。


主様を貶す、それは死罪に値する。ハクレンとも話したが、互いに異論なく意識は揃っている。

主様が最初に接触してきた動機は遠慮願いたいものだったが、彼らの言葉で「住めば都」というものだ。この森で闊歩していた頃も良いが、隊員の方々に仲良く接される、この生活も悪くない。


人族と我々魔物では、基本的に概念が違う。それでも隊員の皆、特に主様は、敬意を持って接してくださっている。

息子の旅立ちの時もそうだ。言うまいか随分悩んだが、思い切って打ち明けてみれば、こちらの本意を全て汲み取ってくださった上で承諾なさった。敵として接した時の保証は無いが、それは野生でも同じことだ。


まさに、仕えるべき主という言葉が相応しい。ハク様もそんな気持ちを持たれていたのかもしれないが、否応なしに納得できる。



さて、ところで。そんな主様を貶す、阿呆な若造は居ないよな?



========

【視点:マクミラン】


有効距離、射線確保。接近中のアンノウンが何かは分からないが、CICの警告から30秒で配置に着けたのは都合がいい。

それにしても……。



「UAV探知より認知が速い、か。狐族救出の時にも説明を受けたが、気配探知というのも侮れないな。」



そんなことを呟き、俺は門の一角にM82を構える。CICからの情報では、接近している地上アンノウン1体。そして既に、ヴォルグ夫妻やハクさんが対応完了、周囲にハイエルフの部隊も展開中か。


しかし小麦畑となると、今日は総帥がいらっしゃる場所だ。報告では到達まで2分、現在は残り52秒のため時間が無い。

すぐさま000を展開させ、狙撃位置に付くよう指示を行った。さて、そろそろ完了する頃合か。



《000各位、配置に付いたか。》

《0-3から0-4、スタンバイOK。》

《0-5から0-8、残り20秒です。》

《0-9から0-12、展開完了。》



宜しい。0-5達は到達時にスタンバイを終えそうだが、距離が遠いため仕方ないだろう。万が一に開幕してしまった場合は、その他でカバーし合えば問題ない。

全分隊の射線は通っている。総帥の現在地は300mほど先になるが、その先20m圏内ならば、各地点から打ち抜くことが可能だ。


む、総帥がこちらを見た。無線連絡していないというのに俺が陣取る位置を瞬時に見抜いたか、流石としか言えんな。恐らく、他部隊の稼働状況もおおまかに推測されており、実際の状況と一致しているのだろう。

今回の事例はAoA時代から滅多にない状況だが、そこは地上部隊も歴戦の猛者ばかり。展開作業は迅速に行われており、各部隊のスタンバイ完了まで、あまり時間は要さないはずだ。



《CICより全部隊、総帥より報告あり、接近中の地上目標はフェンリル。状況報告、タスクフォース000が展開完了、上空2000mにシューター隊が展開。迫撃砲チームの展開準備完了、自走砲部隊のスタンバイOK。到達まで25秒。》

《こちらグリズビー第3分隊、いつでも出撃可能だ。》

《こちら第一機動艦隊、レーダー分析にてフェンリルを追尾中。いつでもトマホークミサイルにて攻撃可能だ、指示を待つ。》



……フェンリルとはいえ一匹相手に、随分と過剰戦力だな。まぁ、最前線に総帥がいらっしゃるのだから無理もない話だ。現に俺達も、最速で配置に就いている。

現在の護衛は、ハクさんとヴォルグ夫妻、それにエンシェントとハイエルフ一行か。白兵戦ならば最強と言える総帥の奥さんが居るのだから、戦力的にはカバー可能だろう。あまり気張ることも無いか。



よし、目標視認。アレはハティでもスコルでも無いな、毛並みからして野生だろうか。総帥相手に何か言い合っているようだが……おや?

……何が起こった?ハクさんとヴォルグ、ハクレンが凄まじい怒り様だ。アレか、あのフェンリルが総帥個人を罵倒したのか、ならばこの状況も納得できる。火薬庫に水とマグネシウムをぶちまける事もないだろうに、物好きなフェンリルも居たもんだ。



《0-5より隊長。あのフェンリル、完全にビビっちまってるみたいですが……。》

《状況から見るに自業自得だろう、しかし油断するなよ。》

《イエッサ。》

《CICより全部隊、UAVに新たな反応。数2、方位2-6-0、到達まで2分。しかしハクさんやフェンリル王夫妻が反応していない、攻撃には注意されたし。繰り返す、攻撃に関しては注意せよ。》



……おや、新たな地上接近物体有りか。あのフェンリルの通知タイミングと近いとなると、短絡的な考えだがこれもフェンリルか?既存のフェンリルへの対応は仲間に任せ、俺はそちらを見るとするか。


目視確認、確かにフェンリルだ。木々の陰から見える程度だが、大きさや毛並みは一致している。ヴォルグやハクレンよりは小さいが、既存のフェンリルよりは少しだけ大きいか。

それにしても、随分とスムーズにやってくるな。あの木々の量ならば多少なりとも加速減速を繰り返してもおかしくはない路面のはずだが、道を知っているかのようなスムーズさだ。


そして一番の疑問が、CICも言っていたがハクさんやヴォルグとハクレンが反応を見せていない。あの時に気配探知の説明を行ったのはこの3名、それが接近中のフェンリルに気づかないことはないはずだ。

ならば、何か訳ありか。念のため新たな2匹に偏差込みで照準を合わせつつ、総帥達との会合までを見届けよう。



《CICより全部隊、総帥より報告あり。新たな反応はハティ及びフェンリルだ、攻撃には注意せよ。繰り返す、新たな反応はハティ及びフェンリル、攻撃に注意せよ。》



なん……だと!?こちらでも捉え……アレは確かにハティだ、嫁を連れて戻ってきたのか!

暢気に野良フェンリルウォッチングやってる場合じゃねぇ!何故か知らんが輪をかけて腰抜けな状況だし、どうせ仕舞いには見逃すんだろうからコレで終わらせるぞ総帥!!


ヴォルグのホークに対する呼び名が間違っておりました、修正致しました。


*マクミランのセリフに関しまして*

正確には燃えているマグネシウムに水を掛けなければ有名な化学反応は発生しないのですが、このセリフは本人がボイスチャットで言ったことのある内容をそのまま反映しております。

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