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異世界で、エース達と我が道を。  作者: RedHawk8492
第4章 おいでよ!第二拠点の森
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22話 サヨナラ。と、おかえり!

4章の最終話になります。地雷を踏みぬいた彼の運命や、いかに…。

【視点:ホーク】

「ハッ。これほどヒョロくて弱そうで大したことのない人間に飼われるなど、深淵の王も落ち、た、も……の……」



駆け足ながらも綺麗に地雷を踏み抜いた、彼の語尾が弱くなる。うん、気に入らないけど気持ちはわかるよ。自分も、すっごい怖いもん。

なんか空気がバチバチ鳴ってない?誰だよこんな所でアーク溶接やってる奴は、火事になったら危ないだろ。


あ、今気づいたけどコレ殺気だ。今までとは比較にならない、マジで痛い。殺気の濃さの次元も違う。空気が痛いって表現があるけれど、こういうことを指すのかな?抽象的すぎない?



「野犬風情が……我がマスターに対する口の利き方、十二分な躾が必要か。」

「人間の配下になったのは事実だ、オレへの暴言は受け止めよう。だがな小僧、我が主に対する侮辱は死罪と知れ。」

「同じく、私も容赦しないよ。」



ハクに続き、ヴォルグとハクレンから発せられるドスの利いた殺気が、つっかかってきたフェンリルを射貫いている。

特に、ハクの怒り方は尋常ではない。表情としては普段の真顔から軽く目を開いている程度だが、その目がマジだ。自分のことで怒ってくれるのは嬉しいんだけれど、本当に怖い。面白がって時たま食事ネタでからかうことも、一歩間違えばこうなるのか。おそロシア。


若者フェンリルよ、いざ去らば。出棺です。アーメン。




さて、それにしても空気が痛いな。阿呆なことでも考えれば痛さも和らぐかと思ったが、期待外れもいいところだ。


怒鳴ることはしない、文字通りの、静かなる殺気。しかしその力強さは、素人の自分にもわかるほど巨大なものだ。比較すると規模は小さくなるが、ヴォルグとハクレンの殺気も同様だ。

……あのフェンリル、漏らさないだけ凄いな。横に居る威嚇対象じゃない自分ですら、泣きながら逃げ帰りたい気分だってのに……やっぱり味方が一番怖いんだね、改めて実感したよ。



「そ、そそそそ総帥様……」

「あー、大丈夫、大丈夫。味方だから、ね?」

「おーっそろしいのぉ……。」



消え入りそうな声で聞いてきたリーシャは、女の子座りで、へたり込んでしまっている。しゃがんで頭を撫でて落ち着かせようとしてるけど、どうにも無理のようです。

リュックは辛うじて立っているが、体は文字通りガクブルだ。多分、少しでもつつけば尻餅となるだろう。なお、後ろのハイエルフ一同は全滅している。この前つっかかってきた青年も、ゴングが鳴る前にノックアウトしているようだ。


いやまぁ、彼等の気持ちは分からんでもない。ハイエルフは放浪生活のせいで殺気に対して敏感だろうし、本当に怖いと感じているだろう。

エンシェントも鳥肌ならぬドラゴン肌なのか、ブルっと身震いしていた。人の姿だが、身長190cmが震えると目に付く。ハクの強さを知ってるが故なのだろうけど、仮にも神龍クラスがブルってしまうとか、どれだけ実力差があるのやら。



「ちょ、ちょっとまてお前等……な、なんで人間を侮辱したタイミングで怒るんだよ!」

「知れたこと、意識を向ける境界線を越えたまでだ。貴様のような小僧の戯言、一々受け止めていては時間が無くなる。」



あーうん。ヴォルグ、なんとなくわかるぞ、それ。俗に言う「噛ませ犬」的な発言が該当するのだが、聞いていて本当に長いし痛々しい。でもって、やられるのが共通のオチだ。

言いがかりやらの発言は、無視するに限る。ゲームの時も、そうだった。いるんだよなぁ……「なんで俺が入隊できずに、あんな低ランクのやつができるんだ」とか、言ってくるやつが。



「強いったって所詮は人間だ、程度は知れている!そ、その程度の連中だろ!」

「なるほど。かの勇者及び配下の軍隊を1時間で壊滅させたマスター率いる精鋭軍団を「その程度」とは、大きく出ましたね。」

「なっ!?う、嘘だろ!!?」

「嘘ではないぞ、我も証人じゃ。」



あーあ知らなかったのか、墓穴掘っちゃったね。愉悦気味にエンシェントが流れに乗ってきて面白そうなので、自分もハクに悪乗りしておく。



「へー。他の地区に居るフェンリルって、それほどまでに強いんだ。エンシェント、この話、他の魔物にばら撒いといてくれる?もちろん、彼が情報源っていうのは忘れずにね。」

「あいわかった。明日中には、ここら一体の全種族に広めておこう。」

「ちょ、ちょっと待て!待ってくれ!」

「小僧、それが頼み事を行う言葉か?」

「まっ、待って、ください!」



ヴォルグのダメ押しで言葉が敬語になる。こうなっちゃったら言葉の喧嘩でも勝ち目無いネ、ご愁傷様。


言葉の退路が無くなって完全にアタフタしだしたタイミングで、自分の横の茂みが揺れる。接近情報はあったけれど友軍判定だったので無視していたが、現れたのは雪が降る前に8492を脱退したハティだった。自慢じゃないが見ただけでわかるぞ、おかえり!

と駆け寄りたいが、こっちが3対1でドンパチやっているせいで空気が重いためか、ハティの行動も慎重だ。でも、このままじゃジリ貧なのもまた事実。気分転換もかねて、若干大げさに出迎えよう。



「お!?ハティじゃん!」

「お久しぶりでございますホーク様。図々しいですが、また末席に加えて頂きたく、妻と共に戻ってまいりました。」

「おおっ!?そうか!いいよいいよ、元気そうでよかった、おかえりおかえり。って、結構早いんだね、1年ぐらい居ないのかと思ってたよ。」

「ありがとうございます主様。偶然にもすぐ北で相手が見つかりまして、ただ今戻りました。ところで戻ってみれば、凄まじい密度の殺気が充満しているのですが……。」

「あーうん、ちょっとね……。」

「……親父。あの野郎、何かしたのか?」



苦笑して誤魔化そうと思ったが、ハティは納得できない様子。若いフェンリルを絶賛威嚇中のヴォルグに顔だけ向け、問いを投げちゃった。シーラネっと。



「うむ。多数に及ぶ主様への誹謗中傷、ハク様もお怒りだ。」

「なんだと?テメェ……。」



それを聞いて、彼も若いフェンリルを睨みつける。殺気追加はいりまーす、喜んでノーセンキュー。あ、リュックがダウンした。

しかしあのフェンリル、睨まれた時に明らかに後ずさったな。もしかして、怪我の原因はハティなのだろうか。



「ねぇハティ。想像なんだけど、あいつが怪我してたのって、ハティが原因?」

「流石の考察です主様、仰るとおりです。2日前の話なのですが……まぁ人族で言うところの、雌の取り合いというやつです。」



ああ、なるほど。ハティの力を知っているから、ビビっちゃってるのか。

ハティも若いとはいえ、実力的には既にフェンリル王らしいからねぇ……。そうなると、勝てと言うほうが無理があるか。


数秒して、ハティの後ろから一頭のフェンリルが姿を見せた。タイミングからして十中八九、ハティの奥さんだろう。

毛並みは白いが、自然で手入れする限界なのだろう、若干汚れている。そして図体こそフェンリルだが、明らかにオドオドしていて可愛らしい。


……まぁ、旦那の両親に挨拶しにきたら修羅場どころか戦場真っ只中なのだから、無理も無いか。貧乏くじ、どんまい。



「君がハティの奥さんか、騒がしくてすまないね。」

「昨日話したが、このお方がホーク様だ。失礼のないようにな。」

「は、はいっ……。」



おっ、喋れるならありがたい。挨拶がてら、頭を撫でて落ち着かせる。ハクレンの凛とした声とは違う、優しい声だった。

声はともかく喋れるようで何よりだ、今後の対応が楽になる。おすわりの体勢になると、オドオドさも収まった。



「で?誰かのせいで彼女が怖がっちゃってるんだけど、どう責任取るのかな?」



せっかくなので、相手に畳み掛ける。「誰のせいか」となると、どう見てもハクやフェンリル王一家の殺気が原因なのだが……根底は、若いフェンリルが原因ってことで。



「ヒッ!!」


その瞬間に鳴り響く風船の炸裂音、弾丸の着弾音だ。フェンリルの右横20㎝に着弾しているが、音的にM82ってことはマクミランか。攻撃命令無しに撃った理由は不明とはいえ、次は当てると言わんばかりの絶妙な距離、流石としか言えないな。



「さっさと決めてくれ、次は無いぞ。」

「に、二度と近づきません……勘弁してください。」

「「「「失せろ。」」」」



3頭+ハクの口から同時に出たハモりの言葉と共に、若いフェンリルは一目散に逃げていく。命があるだけでも儲け物なんだろうなーと、自分は呑気に考えていた。

殺気が消えたので、エルフ二人を立ち上がらせる。チラっと股を見るに二人ともセーフだ。よく耐えた、うん。



「マスター、奴を追わないのでしょうか。」

「ん?」



二人を立たせたタイミングで、ハクが問いかけてくる。いつのまにか、自分の真後ろにきていたらしい。殺気も消えてはいるものの、今となっては珍しい仏頂面だ。

とはいえ、言わんとしている事は理解できる。武人ならば、貶されて黙っているのはあり得ないだろう。



「私の知る限りですが、あのようなことを言われて剣を抜かぬ者はおりません。お言葉ですが、お怒りでいらっしゃらないことが不思議です。」

「うーん……言われてることは事実だし、嘘だったとしても、何とも思わないねぇ。ヴォルグが言ってたように、一々気にしてたらキリがない。自分は、ハクや皆がそう思ってくれるだけで嬉しいよ。」



彼女の頭に手を置き、軽く撫でる。予想外の行動だったのか言葉だったのか、久しぶりに顔が赤くなった。

多分自分の顔も少し赤いが、偽り無しの本音だし撤回はしない!指揮官は、ホイホイと自分の意見を変えては成らないのだ!



「さー腹が減ったな。今日はハティの結婚祝いと奥さんの歓迎会だ、夜は派手に行くぞー。」

「主!是非あの秘蔵の料理を妻に!」



照れ隠しに話題を変えると、珍しくハティが意見を言ってくる。奥さんの顔は?マークだが、ここは意見を聞いてやるべきだろう。



「古代龍のローストビーフだな?在庫は残っているぞ。承知した、楽しみにしておけ。」

「おおっ!!」



であった頃と比べると落ち着いているが、このあたりの反応は、まだまだ若々しさを見せている。ちゃっかりヴォルグとハクレンも、テンションが上がっていた。

あ、二人忘れていた。ハクやエンシェントと一緒に喜んでいる。お前等ホント好きだな、この料理。


しかし古代龍の肉の在庫は皆無のため、新規には作れない。元々調理済みだったものの在庫はあるが、それが最後となる。

ドラゴン狩りでもやれば早いんだろうけど、ハクやエンシェントの手前もあるからなぁ。正直、こちらから喧嘩は売りたくない。


まぁドラゴン肉のローストビーフがなくても死ぬことは無いし、本当に欲しければ連中が何とかするだろう。小物になるが、一回、翼竜の肉でも作ってみるか。コスパが良さそうなら、こっちを常用にしても良い。



======



その日の夜は第二拠点総出の宴会となった。新しい奥さんも満足してくれており、8492の連中とも打ち解けたようだ。何よりである。

恐らく一番ハイテンションだったのはマクミラン、でも酔っぱらってもギリースーツを脱がないのは流石である。普段のコイツしか知らない連中は「ギリースーツの中身だけ別人じゃねぇのか」とドン引きしていたが、犬好きの理由を話すと一緒に盛り上がっていた。


ハイエルフの若い……と言うよりはハイエルフにしては若い連中もハイテンションで参加しており、こちらもいい感じに打ち解けてきている。悪い言い方をすれば汚染されているが人間に慣れるのは良い事だ、小さな積み重ねが大切だね。

しかし彼等は男女の差が激しい。こういう飲み会でフィーバーするのは男性だけで、女性は常に、酒注ぎなどの裏方に回っていた。


そして1つだけ懸念事項だった内容が的中し、狐族セットで全員が自分の所に酌をしようとIn coming.

現段階で80人オーバーはやめてください、しんでしまいます。注ぐのは一人1cc未満で宜しくどうぞ。


自分は嗜む程度に飲酒し、宴の終盤で切り上げる。ハクやハイエルフの女性陣も同じタイミングで撤収を開始し、切り上げている。

あとはサドンデスに突入する男連中が、勝手に仕切って勝手に終わらせるだろう。翌日勤務の隊員に迷惑を掛けるほど羽目を外すこともないだろうし、その点は通例なので安心だ。




さて。季節は時期に春になる。

半年ほどは引きこもりを堪能したし、自分達も、そろそろ動き出すとしよう。

激おこの皆さんですが、結局見逃すところがホークらしい結末です。

21-22話のヴォルグ、マクミラン視点と閑話を挟み、次章は、いよいよこの世界の街へと繰り出すことになります。


また、次章より3人称視点に固定となります。リアルが少々忙しくなってきたのでお時間を頂くかもしれません。ご了承ください。

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