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異世界で、エース達と我が道を。  作者: RedHawk8492
第4章 おいでよ!第二拠点の森
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5話 うみのまもの

【視点:ホーク】


「と言った具合で、我が保証人となっておる。移住先の施設はリュック、リーシャの姉妹が事前に調査済みじゃし、我もよくお邪魔しておる。少し五月蝿いこともあるかもしれんが安全であるし、不自由の無い暮らしが過ごせるぞ。」



着地した瞬間、伸縮しないバネのごとく腰をビィーンと振るわせたエンシェントが姿勢を正し、新しいハイエルフの集団に状況を説明している。身振り手振りを交えており、かなりフレンドリーな様子で接している。

とはいえ向こうからすれば、一応神龍を相手しているわけで、背筋は伸びっぱなしだ。だけど、こっちからしたら「よく家に遊びに来る親戚のおじさん」程度の認識のため、自分やハクも含めて8492全員はリラックスムードである。



話はアッサリと終了し、22名全員が合流と言うことで決定。部隊や先ほどのハイエルフ総出で撤退準備を行い、LCACに積み込み完了。同時に人員も空母に収容し終え、艦隊は第二拠点へ向かうために転舵した。

予想通りリヴァイアサンにも驚いていたが、隊員とジャレあっていたせいかハイエルフ一行は総スルー。見なかったことにしているのか、自分の横に古代神龍が居るため今更と納得したのか。


そのリヴァイアサンは、相変わらず空母の横に張り付いて航行している。自分とトージョーも海のことに関していくつか質問があったので、会話を続けながら進んでいた。

ハイエルフという客人がいるためか、隊員は往路よりも気張っている様子が見て取れる。とはいえ、8492以外の人員を乗せることなんて初めてだから、いくら彼等でも仕方の無い話か。



《ソナーより艦長。アクティブソナーに小型の反応。方位0-9-0、距離8000、深度50、速力20ノット。中型の物体が接近中、明らかに本艦隊へ進路を取っています。》

「リヴァイアサン、何か分かる?」

「明らかに魔物ですね、敵意むき出しです。はて、何故この距離でつっかかってくるのやら……。」

「理由は不明だが、だ、そうだ。攻撃を許可するトージョー、排除してくれ。」

「了解しました。」



方位0-9-0ってことは2時方向か。速力だけならこっちの方が速いけど、これは振り切れないだろうな。

さて、往路は不発に終わった対潜戦闘だ。自分もあまり見たことが無いし、シッカリと見学させてもらおう。



《トージョーより全艦。進路そのまま速力30、対潜戦闘用意。》

《速力30ヨーソロー、対潜戦闘ヨーイ。艦長、攻撃オプションの選択願います。》

《了解、追って指示する。あさひ1・あさひ2からヘリを1機発艦、攻撃予定地点へ向かえ。》



往路は平和だったので、確率的にも、この襲撃は想定内だ。2機の対潜ヘリがヘリポートから離艦し、報告のあった方角へと消えてゆく。

そういや、どんな魔物なんだろう。



「ところでリヴァイアサン、向かってきているのはどんな魔物?」

「イスティオ、魚の魔物です。全長は大きいもので20m、巨大な一本のツノを持った獰猛な魚です。」



魚にしては大きく……ってデカすぎだろ。クラーケンよりデカいじゃないか。

その特徴は、巨大な1本の長い角を持っている、らしい。って言うと……



「……カジキか?」

「巨大なカジキですかね?」

「20メートルの?」

「私に申されましても……。」

「ダヨネ。クジラの方がシックリくるけど、それでも20mは有り得んか。」



自分の周りに居た8492隊員の全員が、カジキということで見解が一致した。リヴァイアサンは何ソレと言いたげな表情をしているけど、それはそれで問題が大きいぞ。

カジキと言えば、時速80km程で泳ぐことが知られている。20mもの巨体のツノがそんな速度で突き刺さったら、間違いなく艦に被害が出てしまう。速めに対処しなければ、問題が―――



「えっ、アレって嘘っぱちなの!?」



ということをトージョーに質問したら、まさかの「それは虚言に近いですよ」とバッサリ切り捨てられた。どうやら餌を捕る時などのコンマ数秒程の瞬間的にはその速度になるけれど、結局は時速5kmほどで泳ぐらしい。

80km/h、100km/hなどの速度はアリエナイとのことだ。なお、海流そのものが80km/h程の速度を持っているため、それに流されている速さまで含めれば有り得るとのこと。


みんな詳しいな。納得できたけれど、何故ありえないんだろうか?



「温度・水深や高度にもよりますが、静止している水の密度は空気の800倍程です。これだけで、総帥ならお察しになられるのでは?」



……あ、なるほど。理解できた。密度が800倍ってことは、発生する抵抗も800倍ってことか。で、発生する抵抗は速度の乗数に匹敵する。

例えば1km/hだった速度を4km/hまで速度を上げた際に発生する抵抗は、4^2。1km/h時の、16倍ということだ。それの800倍だから、青天井式ですね。


もちろん実際は様々な要素が影響するので、これは単純計算。しかしながら、それだけの抵抗を突破するためには膨大なパワーが必要となる。もちろん、カジキがそんなパワーを所有しているわけが無い。

あ、でも抵抗を減らす魔法ぐらいはありそうかも?現に、熱の壁を突破しているヘンタイもいるわけで。


とはいえ、この推察で、わかったことが1つある。



「察せたけど……そうなると深度200を60ノットで突っ切ってきたリヴァイアサンって、かなり凄いんじゃ?自分達の魚雷並みだろ?」

「あっ。そうですね、全く気にしておりませんでした。少なくとも、原子力潜水艦以上のパワーがあることになりますか。」

「自分がどうこうはさておき……こうして水上を進んで居る時よりも潜っている方が小さな力で済むのですが、この理由もご存知なのでしょうか?」



えっ、自分って凄いんですか?的な挙動を見せるリヴァイアサン。悪意/zeroで可愛げがある。

すると、前々から疑問に思っていたのか、電球マークが付き添うなりアクションと共に、そんな事象を聞いてきた。それなら自分でも知ってるぞ!



「あー、造波抵抗だね。今もそうだけど、体や船が水上を進むと、後ろに渦ができてるでしょ?あの渦が体を後ろに引っ張っちゃうから、余計に大きな力が必要なんだ。海の中だと渦は発生しないと思うけど、だから余計な力が要らないってワケ。」



かなーりハショった上におおざっぱに説明したけど、粘性圧力抵抗とか粘性摩擦抵抗の関係まで説明をしていたら日が暮れてしまう。ちなみにこれは空気にも適用されるので、飛行機も同じだ。

空気の場合も抵抗値は基本的に速度の乗数になるんだけど、マッハを越える辺りで抵抗値が一気に増す。その結果、音の壁なんていう現象が発生するんだよね。もちろん、空気抵抗だから音量や衝撃も凄まじい。風圧でガラスが割れるほどだし、距離によっては車すら吹っ飛ぶほどだ。



《えーっと……CICより艦長、お取り込み中すみません。攻撃オプションは、どうしましょうか?》



……そうだった、忘れていた。無線繋がったままだから、向こうにも聞こえていたか。

トージョーも手で顔を覆っている、完全に忘れていたな。ハクの軽い苦笑が追撃にしか見えない、真面目にやろう。



「ホーク殿、こちらが対応しますか?」

「いや大丈夫だ、こっちで処理するよ。すまんトージョー、自分も忘れていた。指示を頼む。」

《すまないジャクソン2、M/50 375mm対潜ロケット砲だ。爆雷はフローラ(230kg)(Flora)、距離1500程で攻撃せよ。爆発深度、及び発射タイミングは任せる。》

《アイ・サー!砲雷長、M/50対潜ロケット砲、発射用意!ソナー、見失うなよ!》



その数秒後、ジャクソン2の艦長よりM/50の発射命令が下された。4発のロケット砲が海の向こうへと消えてゆくが、ロケット砲だけあって初速も凄く、この武器を知らない人が見たらミサイルのように見えるだろう。

無誘導ロケットなので発射後は距離角度などを変更することはできないが、モニターを見ている限り、キッチリと指定地点に着水している。こういう点は、現代兵器らしい精密さだ。


そして数秒後、上空に居たヘリのカメラから、画面に大規模な爆発が映し出された。カジキらしき魚も真っ二つに折れており、海面に漂っている。とりあえず、迎撃は成功だ。

船内へ通じるドアからは、ハイエルフ達の歓声や拍手が聞こえてくる。あっちでも映像を見ていたんだろうね、確かにグッドキルだ。

アスロックでも良かったのですが、それはまた次回!

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