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異世界で、エース達と我が道を。  作者: RedHawk8492
第1章 腰を下ろすために
21/205

18話 シルビア王国開放戦~解放の鐘~

BGM「DIAPASON」を流すだけで雰囲気が作られる不思議。神曲って凄い

【視点:三人称】

《メビウス13が1騎やったぞ!瞬きするたびに落としてるじゃないか、流石だな。》

《ガルムも負けてない、AIM-120で4つ同時に叩き落しやがった!》

《イーグルアイより各部隊。航空隊が敵翼竜隊の6割を撃墜、攻撃を続行しろ。》



2機の活躍により、いつものように味方のテンションが上がっていく。戦闘機乗りからすれば、二人は英雄的存在だ。別の個体にAIM-9X短距離空対空ミサイルを打ち込んだグリフィス1は、落下していく飛竜を横目見る。あの経路では、東門横の草原に墜落するだろう。



《よし、1つ撃墜。ライダーの連中が誘き出したおかげて、翼竜は郊外に墜落してるな。問題はドラゴンか。》



空対空ミサイルが持つ威力の問題でドラゴンこそは落ちないものの、ダメージは確実に蓄積していた。上がって来た時と比較して、明らかに動きが鈍っている。



《イーグルアイよりグリフィス中隊。ガルムとメビウスが敵飛竜部隊の半数以上を撃墜、ドラゴンも動きが鈍っている。再び出番だ、止めを刺してこい。》



そこで、再びグリフィス中隊の出番となる。目標は、いまだ健在のデカブツだ。



《了解したイーグルアイ。グリフィス各機、俺達の獲物は動きの鈍ったデカブツだ、GBU-39の投下用意。》

《ラジャー。こちらもドラゴンに対し投下用意OK、攻撃目標をレーダー上に表示します。》

《全機、爆風や寮機の動きに注意しつつ攻撃開始。無理には突っ込むな。》



下部兵装にはAIM-120D中距離空対空ミサイルが格納されているため、主翼下部にあるGBU-39空対地小型爆弾を投下する。ネメシス隊は念のため、大型爆弾であるGBU-24を搭載している。先程のオメガ11の特攻から把握するにGBU-24では火力が高すぎるため、ここは再びグリフィスの出番だ。

ちなみにネメシスとは、原作のゲーム内で使用されていた、グリフィス1のコールサインである。グリフィス隊を模したプレイヤーが二人いたため、先着順でこのような形になったのだ。1番機パイロットの腕としては、ほぼ互角。つまり、元となったエース部隊が2編隊いるのと等しい。



《投下、投下。》

《命中、効果確認!墜落していきますよ、全て撃墜です。》



ドラゴン4体にグリフィス中隊が投下……というよりはマッハ2.0オーバーの慣性力を利用して斜め上から叩き込んだGBU-39は、その7割が「直撃」する。当たり前のように攻撃を行っているが、その手腕は尋常ではない。やっている事を一言で纏めれば「音速空対空爆撃」だ。

動きが鈍った大型の相手とはいえ、相手は飛行中の物体だ。その目標に命中させるなど、前代未聞の事態である。空中静止中のヘリに対して「レーザー誘導爆弾」で「近接弾」を与えた事例はあるが、直撃となると、第一次世界大戦時代に、飛行船を爆撃した程度となる。


GBU-39は小型であるため、爆発力が小さく破壊力は限定的であるが、今回の戦闘で投下しているのは、戦闘機。しかもパイロットは超エース級だ。音速から投下されているソレが持つ、エネルギー量は凄まじい。

外から見ると炸裂範囲こそ狭いが、ドラゴンの鱗を貫通し、確実に致死量のダメージを与えている。信管による近接爆発では、こうはいかない。与えるダメージは、空対空ミサイルの直撃と同等程度だろう。「ドラゴンの鱗」とは、本来それほどの強度なのだ。



「ドラゴンがやられただと!?」

「古代龍が!?5体とも!?一度にだと!?冗談だろ!!?確認しなおせ!そんな馬鹿なことがあるか!!」



ちなみに一連の流れをホークが見聞きしており、「相変わらず(実力的な意味で)変態しか居ねぇ……」と顔を引きつらせていることは誰も知らない。



「味方の翼竜隊は何をやっている!攻撃され放題じゃないか、さっさとあのヤカマシイ鳥共を叩き落せ!!」

「翼竜の連中で勝負が付くなら数秒経たずに終わっている!お前等バリスタ部隊こそ何をやっていたんだ!!」

「言い争っている暇はないぞ貴様等!馬がいない馬車や歩兵からの魔導攻撃は想像以上に鮮烈だ!引け、ここはもう落ちる!後退しろ!戦線を張りなおすぞ!!」

「史上最強の勇者軍じゃなかったのか……?」



突如出現した軍勢の猛攻に、勇者軍も、身内で罵り合いが始まってしまう。とは言え、ものの数分で稼働部隊が壊滅させられた事例など、おいそれとは存在しない。敵も状況も未経験ならば、なおさら焦りが発生し、正常な判断が出来なくなるのも仕方ない。



「増援は来ないのか!?王宮の指令本部は何をしている!!」

「こちら西門、敵地上部隊の魔導攻撃は熾烈!援軍はまだ来ないのか!?」



敵は既に、自国内の軍隊を全て出撃させている。そのため援軍となると、邪族からの増援部隊に期待するしかない。



「斥候より伝令!邪族国より増援の翼竜隊が多数接近中!」

「邪人国からの翼竜隊だと!?よっしゃ、形勢逆転のチャンスだ!!」



タイミングよく、伝令が友軍の接近を知らせてくる。勇者が作り上げた翼竜の航空隊は、邪族にも存在するのだ。どうやら邪人国は、付近にいた翼竜隊とドラゴン隊を向かわせているらしい。

しかも数が多い。シルビア王国にいた翼竜隊・ドラゴン隊の、4倍数に匹敵する。それに加え、飛行可能な魔物を多数、従えているのだ。



―――が、しかし。



「そ、そんなっ……。」



勇者軍の頭上200mを、F-22戦闘機の群れが通過する。ドラゴンや翼竜を壊滅させた飛行物体と同じ形状なだけに、勇者軍は、再び絶望の淵に叩き落された。

なぜその感情が出たのかは、素人にもわかる。通過する数が、先ほどの交戦時よりも明らかに増えているのだ。つまりこれは、今攻め込んできている敵の増援部隊。ただでさえ手も足も出ない物体の数が増えたとなると、絶望するのも当然である。


到着したのは、第02航空師団であるアーサーとストライク飛行隊。そして第01航空師団のガルーダ飛行小隊とイエロー飛行中隊。F-22とF-15E、Su-37の合計47機により構成される大群だ。

数に物を言わせながらも単独がエース級以上であるこの軍団が、シルビア王国の近くまできていた邪族の空軍に襲い掛かった。



《予定通りの敵増援だ、目標を射程範囲内に補足。ラーズグリーズ1より各機、『槍』を放て。》



その集団の後方を5機編隊で飛行するF-14DからAIM-54Cフェニックス長距離空対空ミサイル20発が勢いよく放たれ、敵の増援軍めがけて直進する。それが交戦開始の合図となり、今度はアーサーとイエローからAIM-120やK-77Mの中距離ミサイル群が後に続いた。ガルーダ隊は該当ミサイルを持っていないため、この攻撃には参加しない。

とはいえエース級の実力に数の暴力が加わった現状は、非情である。まず始めに、放たれたミサイル軍が敵の陣形を壊滅させた。ドッグファイト圏内に入っても、状況は一方的だ。制圧は時間の問題であり、翼竜隊は一騎たりともシルビア王国へと辿り着けずにいる。



《イーグルアイ、なんで奴等は後出しなんだ?》



増援部隊は後方待機中だったため、最初の戦闘には参加していない。ふと疑問に思ったグリフィス1が、質問を飛ばす。



《総帥のお考えだ。「釣り」は大事、だと。御尤もだ。》

《ああ、小数戦力と見せかけて釣ったのか。》



確かに最初に居た12機(+ベイルアウター1名)だけでも、邪族軍を壊滅させるには十分だ。


しかし、そこには「制空権を確保しながら」という項目が抜けている。勇者軍の空軍はまだしも、邪族軍を相手にすると数の差で圧倒される上に交戦範囲が広がってしまい無闇に撃墜できなくなるため、一時的に制空権を渡してしまうのだ。最終的には奪還できるが、制空権とは、常時制圧していなかれば意味がない。一時でも敵に取られると、地上・海上部隊の危険度が大幅に増してしまう。


イーグルアイが言ったホークの「釣り」とは、この増援が来るタイミングである。初めから全部隊を制空権奪還に送り込むと数の差がイーブンとなり、油断しているであろうシルビア王国解放後に現在の増援部隊が送り込まれる可能性があった。現在のように初手を小出しにすることで、「数の差でゴリ押せば勝てる」と、邪人国に思い込ませたのである。

当然ながらそんなことは出来ないワケであって、敵増援部隊は全てが不発となった。これらの甲斐あって、8492の陸軍は空を気にせずに敵地上部隊に集中できる。制空権が確保できており、奪われない前提があるからこその安心だ。


空と同じく、機甲部隊も止まるところを知らない。圧倒的な航空支援や武器性能を前に、旧クーデター軍が行ってきた戦術は通用しない。陣形、連携、奇襲など。それら全てをあざ笑うかのように、M1戦車部隊と装甲車両が無双する。

空軍が敵の翼竜隊を押さえている間、東門から雪崩れ込んだグリズビー3-1率いる戦車隊は城下町を進軍。一体を制圧することとなった。戦車の巨体故に細かい場所には入れないものの、その火力を生かして、街の一角を占領したのだ。


その進軍速度は、この世界では前例がない。勇者軍がこの国を占領した時ですら、現在の5倍ほどの時間を要している。

勇者軍からすれば瞬きするたびに防衛ラインが突破され、味方の部隊が悉く蹂躙されている不可解な現象だ。そして起こった異変は、それだけでは終わらない。



「第6地区が落とされただと!?……な、なんだこの鐘の音は!?」

「7地区の聖堂にある鐘じゃないか!?あそこは王国の占領後から封鎖してるんじゃないのか!」

「なぜ鐘が鳴っている!!第一級の魔法で閉鎖してあるはずなのに、一体誰が鳴らしているんだ!?」



その区画が占領されたと、敵部隊に知れ渡った時。シルビア王国にある聖堂の鐘が、戦争真っ只中の街に鳴り響いた。繰り返される爆撃音をものともせずに響き渡り、それを聞いた市民が、次々と防空壕から姿を現す。



「見張りが消えた上に聖堂の鐘が鳴っているから出てきたが、なんだこりゃ……どうなってんだ……?」

「焦げ臭いな、戦争じゃないのか!?」

「おい、あの崩れた門を見ろ、騎士の野郎共の死体もそこかしこにあるぞ!尋常じゃない被害だ、勇者の反乱軍が負けてるってのか!?」



防空壕に閉じ込められた時には考えもつかなかった現状に、飛び出してきた全員の言葉がなくなってしまう。

あっけにとられた、次の瞬間。右方向から飛竜が墜落してきており、成すすべなく地面へと衝突する。



「ヒギャアアアアス!」



血まみれの飛竜が雄たけびを上げながら地面を抉り、慣性力の許す限り進んでいく。赤い飛沫の混じった砂埃が視界を塞ぎ、パラパラと周囲に飛び散った。


100m先で発生した、今まであり得なかった、その光景。衝撃音は相当だが、住民たちはその程度のことを気にも留める余裕すらない。


翼竜を追い、叩き落した機体だろうか。墜落してきた後方上空から一機のF-22が20mm機銃を打ち込み、翼竜の血を撒き散らせ、息の根を止める。

直後に発生した物凄い風圧で血飛沫は吹き飛ばされ、轟音が支配する。青いリボンのエンブレムを纏った機体は地面すれすれのアクロバット飛行を行いながらもアフターバーナーを点火し、3秒後には雲の上へと消えていった。


飛竜の落下から戦闘機が消えるまで、僅か5秒。住民が反応できたのは、全ての光景が終わってからだった。



「い、今の見たか!?何かが翼竜の鱗を貫通してやがった!すげぇ威力だぞ!」

「翼竜がやられたってのか!?後ろから来たのは一体何だ、火を噴きながら空に昇って行ったぞ!」



誰かが発したその言葉で、他の住民が空を見る。そこには、前代未聞の光景が広がっていた。



「見ろ、他にもいるぞ!あの鳥だ!あの鳥たちが助けに来てくれたんだ!」

「なんという飛行速度だ、翼竜相手に一歩も引いてないどころか次々と倒してるじゃねぇか!凄ぇ、とんでもねぇことだ!!」

「あ、ありえないわ!前代未聞よ、これは神代の大魔法なの!?」



見上げる先には、空を支配する猛禽類が飛び交っている。高度・速度共に人間の目視限界を超えており、数は全くの不明だ。それが有機物ではなく無機物であるが故に認識と現実は異なるが、住民からすれば救世主には変わりない。



以降、住人達は、その存在を『鳥』と呼んだ。


01航空師団:超エース級

02航空師団:エース級

10航空師団:対地攻撃部隊


となっております。難しく区分けするつもりはありません、雰囲気作りです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] やめられない、止まらない [気になる点] 特になし [一言] 音速空対空爆撃…ゲームでWWIIのゲームでコンピュータ操作の爆撃機にやったことはあっても、音速ってのが人間離れした職人技だぁ……
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