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異世界で、エース達と我が道を。  作者: RedHawk8492
第9章 とある国の王都
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勢いは大切です?

久々にBF5をプレイしたのですがチーター多すぎませんかね…


今回の話は、久々あの世界の人です。

”神”。アルファベットではGODと書いて”ゴッド”と読まれる、その存在。

暴力的な翻訳をすれば「リスペクトするから願い叶えてください、助けてください」と言われる立場にあり、人間にとって都合の良い存在だ。もし人間が祈ったうえで叶わなければ「神なんて居なかった」と貶される、なんとも胃が痛くなりそうなポジションである。


神と一括りにしても様々な神が居り、平和の神、水の神など様々である。とある国では「万物には神が宿る」とされる”付喪(九十九)神”が信じられており、もはやバーゲンセール状態と言って過言ではないだろう。

一方で、人間にとって都合の悪い神も居る。有名なのが”鬼神”、”死神”と言ったところ。勇者に対する魔王が居るように、万物が都合の良いモノばかりとは限らないのだ。



「―――――礼拝。」



一般的な建物3階分の吹き抜けとなっている、ステンドグラス輝く礼拝堂。日も沈んで夕食時を過ぎた時間帯のために、炎の灯りが怪しく揺らめいでいた。

祭壇に立った男の一声が切っ掛けとなり、5分ほどにわたり粛々と進められてきた儀式は一段落。男の前に備わる、己の身の3倍はあろうかという石造に1分ほどの祈りを捧げた集団の仕草は慣れたものであり、簡単な動作ながらも規律良く行われていた。


とはいえ、10日に一回行われているこの祈りがどのようにして処理されているかなど、そもそも誰かが耳を傾けているのかなど全員が知る由もない。世界各地から捧げられる祈りや報告の言葉を、白い世界にて女神が聞き届けていることなどは、どう頑張っても知り得ることはないからだ。

今回も、状況は同様である。白い世界にて色々と聞こえてきた報告の9割以上は、日々の生活に感謝する内容だ。平和の女神として信者が非常に多い、ホークをこの世界に送り込んだ彼女”エレーネ”への報告など、大半がその程度のものとなっている。



そのなかで、特に注意して聞いていたエリア。彼女がこの世界に送り込んだ、I.S.A.F.8492が向かったエリアである”カタリナ王国”からもたらされた報告の出だしも、やや物騒ながらも同様であった。



「本日、王都国内において開拓していた村が野盗に襲われましたが、大半が生き延びました。これも、エレーネ様のご加護の賜物にございます。」



それは良いことだ。と、大手を振って返事ができない彼女は内心で胸を撫で下ろす。もちろん騒動そのものが発生しないことが一番なのだが、そんな世界はあり得ないことを、彼女が最も知っている。



「また、その功績により王への謁見を行っていた冒険者パーティー、タスクフォース8492を侮辱する者が現れたために城内において争いが―――――」



ふむふむ、なるほど。そう呟きながら、相変わらずの調子で納得した表情を見せ――――――



「――――はい?」



アナタガタ ハ 何ヲ シテイル ノデ ショウカ?



反応までに、数秒を要した。目からハイライトが消えたエレーネは、相手には聞こえないものの、そんなことを呟いて血色を悪くしている。白と彼女の髪と肌、目の色しかない世界に、顔面限定ながらも”青”と言う新たな色が追加された時である。

タスクフォース8492という冒険者パーティーは知らないが、どう聞いても”彼”の率いるヤベー集団、I.S.A.F.8492が関係している代物である。しかも当該の国にホーク一行が向かったことは知っているために、彼が関わっている部隊であることも読み取れた。


ここまでは、次の行動を正当化するためには”どうでも良いこと”である。彼女の主張としては、野盗に襲われた村を防衛・奪還した功績を掲げる冒険者パーティーを国が貶すなど、あってはならないことだ。

もっとも、国が一般の冒険者を貶すことなど、まずもって在り得ない。犯罪でも起こすなどすれば話は別だが、その後の報告を聞く限りでは、どう聞いても国側が圧倒的に悪い状況で騒動が起こっている。



――――”彼”が率いる集団を貶してくれるなど、これは、オハナシアイが必要ですね。



内心で本音を呟く彼女は、勢い任せに行動を開始した。



「この件につきましては、国王及び相手方の温暖なる談話により―――――えっ?」



集団の先頭で祈りを捧げていた神父は、魔力を感じて顔を上げた。

すると、なんと石像が眩い光を帯びているではないか。後続の全員も続いて思わず腰を抜かし、”伝説”にある記述が具現化されている状況にひどく驚いている。


伝記とやらをとても簡単な言葉に訳すと、”女神が現れる時に石が魔力を帯びて光るよ!”という簡潔な内容だ。現実と照らし合わせるにしても非常にわかりやすく、実際に見たことはないものの、子供でも知っているレベルである。

それ故に、全員が腰を抜かしているのだ。百年に一度あるかないかとされる”降臨”と呼ばれる事態であり、神が地上に干渉する世紀の瞬間なのだ。


石像の前に降臨する、白い布を纏った女性。石像そっくりの存在は、静かに目を開けると言葉を発した。



「―――――神父。」

「はっ、ははは、ハハッ!」

「夜分とは承知しております。また、身なりや形式は問いません。この国の王を、お呼び頂きたいのですが。」

「しょ、承知いたしました!今しばらくお待ち下さい!」



名では呼ばれぬものの、神父はできる限りに背筋を伸ばして冷や汗を垂れ流しながら応答する。己が住まう国の王の予定など知ったところではないが、それどころの騒ぎではない。

目の前に現れたソレは、明らかに生き物の区分ではない。己の身では敬拝することすら烏滸がましいと感じる程の存在は、文字通りの”神”と形容する他に言葉が思いつかない程だ。




時間にして、降臨から2時間ほど経った頃。城内は、それはもう蜂の巣をつついたような大騒ぎとなっている。非番の者までが急遽駆り出されており、要所要所は人でごった返している。

国王も、まさか自分の代で降臨と立ち会うことに成るとは寝耳に水どころか熱湯すらも温い程の事態である。額には隠せない汗が滲んでおり、要件が何なのかと、記憶における過去の問題・事態を掘り起こしている。


また、聞いている内容では身形、形式は不問とのことだが、あまり質素なモノでは末代までの笑い者になるだろう。同時に女神を待たせるわけにもいかないために、匙加減が過去最大に難しい。

結果としては女神としても1時間+αほどの時間がかかることを想定しており、時間に関してはお咎めなし。厳重な警備の下で聖堂に到着した国王は、シスターの集団と会話している女神と対面した。聞こえてきた内容は他愛もない程度だが、立場が立場だけに、顔は笑顔でもシスター側の背中は緊張で汗でびっしょりの状況である。



教会へとやってきた国王に気づき、シスターの全員が場を離れる。護衛は一定距離の地点で足を止め、そのまま歩みを進めた国王の深い礼と女神の軽い礼が交わり、続いて視線と簡潔な自己紹介が交わされた。

会話は立ち話で行われるようであり、続いて女神より、本日の報告内容について質問が飛ばされる。「10日以内に起こったトラブル絡みか」と内心で最近の出来事を模索し、かなり重い内容であったことに頭を抱えそうになった。案の定、一件目は領主が自治区へ攻撃したことについて。


2つ目として、平和のために賊と戦った冒険者パーティー。女神はこの場においてはタスクフォース8492と名指ししなかったが、それほどの功績を上げた一行を国が侮辱するとは何事かと、ややお叱りの言葉となっている。

もちろん、この件については双方の間で和解しているのだが、王からすれば、自分の家臣が”やっちまった”ことに変わりはない。「その件については心から申し訳なく思っている」など本心を並べ、彼も苦しい表情を浮かべていた。



とはいえ、彼女が掛けたのはお叱りの言葉だけではない。そのような”平和に貢献する者”達を育てている、カタリナ国王を称賛する言葉で締めくくられた。

用件が済むと、女神の身体が霧のように消えていく。それを見送って踵を返して教会の外に出ると、思わず「ふぅ」と熱いため息が出てしまう。国王は再び教会に向かって一礼すると、王城へ戻る馬車へと乗り込んだ。



確かにいくつかの問題はあったものの、それは突発的な事態に対する事柄だけ。基本としてカタリナ国王の姿勢を褒められ、言葉を思い返す彼の表情には柔らかな笑みが垣間見えていた。





「嗚呼嗚呼嗚呼、やってしまいましたあああああ……」




一方、用事を終えた白い世界。報告を受けてからの”勢い”で降臨してしまった平和の女神は、ホークに迷惑をかけるようなことを口に出さなかったと、5回ほど記憶を掘り返して不安に駆られているのであった。

諸事情により2月頭まで更新が止まるかと思います。お許しください。(お返事程度はできるかと思います)

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― 新着の感想 ―
[一言] これホークが知ったら怒られるパターンでは…ギリギリセーフ?
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