16話 シルビア王国開放戦~歴戦のエース達とベイルアウター~
なんやこの厨パ的な面子になりました。
【視点:三人称】
【3人称視点】
大きくバンクを振って上昇しながら離脱していくAC-130編隊の下方から、13機の戦闘機がシルビア王国上空へと飛来する。それぞれが、原作のエース部隊をAoAで模していた程の実力者。約1名ほど戦闘機に乗っているくせに「空挺」のエースが居るが、管理者の記載ミスであることを信じたい。
■シルビア王国解放戦、航空部隊
1機 対空F-15C ガルム0
1機 対空F-22A メビウス13
5機 両方F-22A グリフィス1~5
5機 両方F-22A ネメシス1~5
5機 両方F-14D ラーズグリーズ1~5(後方待機中)
5機 対空Su-37 イエロー13,1~4(後方待機中)
2機 両方F-15E ガルーダ1~2(後方待機中)
20機 対空F-22A アーサー1~20(後方待機中)
20機 対地F-22A ストライク1~20(後方待機中)
1機 空挺F-22A オメガ11
各々が強すぎて勝負にならないため、AoA公式戦において過去に一度もホークが同時出撃させなかった組み合わせだ。唯一の例外としてAoAサービス開始3周年記念の『お祭り』において上記全部隊が同時出撃した際は、この10部隊で『軍隊3つ』を20分で蹂躙するなど圧倒的な戦果を見せている。
AoAにて防空を任されている者にとっては地獄絵図の、絶望的な光景。どう足掻こうとも、絶対に手も足も出ない状況だ。唯一の救いがあるとすれば、相手が彼等の怖さを知らないことだろう。これから始まる蹂躙を、微塵にも予想しない。
《ドラゴンは爆弾で焼け、か。相手が戦闘機じゃないデカブツとはいえ、空対空爆撃は久しぶりだな。》
《それより先に翼竜の連中ですよ、隊長。》
主翼下部にGBU-39を搭載しているグリフィス1が呟き、2番機に釘を刺される。交戦空域に突入したと言うにも関わらず、プレッシャーに押しつぶされる気配は微塵もない。そして発言の内容は明らかにおかしいのだが、それを朝飯前に行うのが8492のエース部隊でもある。元より古代龍へのダメージソースは、この無茶な攻撃方法が前提だ。
《オメガ11よりグリフィス1、余計なことを考えるな。いつも通り変わりはせん、全機行くぞ!Omega-11, engage.》
無線に響く、渋く低い声。一度聞けば忘れない独特なイイ声は、声優としてもやっていけるレベルだ。何故か攻撃分類が「空挺」である彼は、翼竜相手にマッハ1.0でヘッドオン。正面から向かってくる翼竜に対して、ゼロ距離でAIM-9Xを叩き込む。
《余計な事ではないぞオメガ、それとお前の何時も通りってのは―――あーあ……。》
しかし交差位置が近すぎる。心配していたグリフィス1の前で、翼竜に騎乗していた騎士のランスがエンジン給気口に吸い込まれ、右エンジンが発火した。タービンの奥までが破壊されており、エンジンは完全に死亡。緊急消火システムでは間に合わず、彼は「いつも通り」の選択をする。
《Omega-11, I'm ejecting!》
今までに食べたパンの枚数を覚えているか?と問われたら「そんなものは覚えていないが、少なくとも食べたパンの数より多い」と返答できる回数を誇るイジェクトの宣言と共に、彼はレバーを引き抜いた。軽い爆発と共にF-22のコクピットを覆っているキャノピーが勢いよく吹き飛び、イジェクションシートとパイロットが上空に射出される。
「ゴガアアアア!!?」
その光景を見て動きが止まったドラゴンの一匹に、悲劇が訪れる。パイロットを失ったF-22が、音速のままで激突したのだ。そうなった理由は単純である。あろうことかオメガ11は脱出の瞬間に機種方位角を調節し、スロットルレバーを最大出力に入れていたのだ。
出火していたエンジンの炎が、主翼部に満載されているジェット燃料に引火。爆発と大火災が発生する。次の瞬間にはGBU-39空対地爆弾に引火し、大爆発が発生する。マッハ1.0の慣性力とも相まって、直撃を受けたドラゴンは命を落とした。
《交戦開始5秒でイジェクトとは、相変わらずだなオメガ11は……って、まーたパラシュートで落下しながら、近接武器で戦ってるぞ……。》
グリフィス1は、困惑しながら状況を報告する。チラっと見えたことを、そのまま語っているのだが。
いくら超エース級の称号を持つグリフィス1とはいえ、オメガ11の戦闘行動は真似できない。そもそも、現在オメガ11が行っているのは肉弾戦だ。
一見すると、折れた短い棒のようなもので、防戦一方のオメガ11。しかし翼竜騎士が持つ重ランスの突きや払いを完全に防いでおり、挙句の果てには、古代龍の尻尾による攻撃すらをも防ぎ切った。この光景に、翼竜隊の連中は流石に驚く。人間がドラゴンの尾を防ぐなど、勇者クラスでなければあり得ないことなのだ。
このような桁違いな程の近接戦闘の強さが、オメガ11の売りでもある。こと生存能力に関しては、あのマクミラン大尉以上。それどころか、AoAの全プレイヤーにおいてナンバー1だろう。敵地の首都上空でイジェクトしながらも、単独で徒歩で数百キロを移動、基地へと戻ってきたこともあるぐらいだ。
「どうした翼竜共!ドラゴンでさえ俺程度を始末できないとは、大層な名は只の飾りか?」
「くそっ、何だコイツは!」
そんなヘンタイを相手にして、手練れの翼竜の騎士は尻込みしてしまう。滅多に抱かない恐れの感情と共に、彼の額に汗が流れた。ヘルメットや服装を含めた容姿すら前代未聞であり、敵陣のど真ん中をゆっくりと降下している行動も前代未聞である。有り得ないことの連続に、兵士は理解が追いつかず混乱する。
「恐れるか?落下するしかない生身の人間相手に?来いよ翼竜の騎兵……怖いのか?」
「お、恐れてるワケがねぇだろ!テメェなんざコワか無ェ!野郎ォブクラッシャルゥゥ!!!」
「ブックラッシャヒギャァァァス!!」
そして彼は、先ほどから混乱した翼竜隊の連中を煽っていく。騎士と翼竜が安い挑発にポンっと乗り、呂律の回らない声で罵声を浴びせた。どうやらオメガ11はグリフィス隊の突撃をアシストするべく、ヘイトを自分自身に向けているらしい。怒り狂った翼竜と騎士を相手に、近接戦闘を行っている。
《チッ、ほかの翼竜までオメガに群がって来やがった。2番機、オメガは見えるか?》
《サー、まだ戦ってますが……イジェクト時に折れたイジェクトレバーが武器かよ……よくあんなので、敵の攻撃を防げますね……。》
《イーグルアイよりグリフィス中隊。そろそろ仕事をしろ、お前等は真面目に働け。》
オメガ11の激戦を観察していたグリフィス中隊に、イーグルアイから注意が入った。その発言は、まるでオメガ11が真面目ではないような言い方だ。
しかし当然、彼は非常に真面目に戦っている。一見すると意味不明なイジェクトに見えるが、大抵は何かを狙って行動していることが多いのだ。
《仕事はするさイーグルアイ、翼竜とドラゴン共に手土産だ。ネメシス各機、同時に撃つぞ。ターゲットロック、AIM-120発射準備OK.全機攻撃開始、Fox3,Fox3.》
《グリフィス2、Fox3!》
《ネメシス隊、発射、発射!》
グリフィス及びネメシス中隊から発射されたAIM-120合計40発が、舞い上がってきた翼竜隊に襲い掛かる。最新鋭の中距離空対空ミサイルの強化版は、ロケットブースターによりマッハ5.0に到達、目標を追尾する。ミサイルもAoA仕様のため、「指定された目標」にロックオンすることが可能だ。
翼竜だけならば数発は回避できただろうが、目視基準で翼竜を操る人間風情が、それに反応することは不可能だ。ミサイルは次々とその巨体に命中し、翼竜は地上へと落ちていく。
《敵翼竜に命中!着弾点が勢いよく燃えてますよ隊長、38発が命中です。》
《十分だ、一旦引くぞ。そろそろ、あの二人が暴れる頃だ。》
その言葉で、待ってましたと言わんばかりにガルム0とメビウス13が交戦空域に突っ込んでいく。なお、もちろん無言だ。
「な、なんという飛行速度だ……と、投擲物!?うわぁっ!!」
挨拶と言わんばかりに相対速度マッハ2.0のヘッドオン状態からAIM-120を8騎相手に叩き込み、雲上へと1-2秒で消えていく。その後の殲滅速度も異常極まりない。実際に空対空戦闘に専念している機体は彼等2機しかいないはずなのに、翼竜部隊は瞬く間に落ちていく。
「隊長!隊長おおお! クソッ、あの野郎!!!」
隊長を落とされた無念から、敵の翼竜1騎がメビウス13へと一目散に進行する。そして同じ進行方向の上方から、翼竜のブレスの射程圏内へと滑り込んだ。射程圏内というだけで機体後方につけたわけではないので、チャンスとしては一瞬しか有り得ない。
彼が狙うのは「偏差攻撃」である。速度だけならば圧倒的に敵わないが、この攻撃方法ならば、彼等にも僅かなチャンスはあった。
もっとも魔法無効によりブレスによる攻撃は通用しないのだが、互いにそんな概念は持っていない。メビウスからすれば、単に空対空戦闘を楽しんでいるだけである。もちろん偏差を狙われていることを瞬時に把握したメビウスも、黙っていない。寸前のタイミングで、カウンターマニューバを繰り出した。
その道の人間学者及び物理学者が見ていたら、全員が研究を辞めるであろう光景。彼が繰り出したのは、マッハ2.4での超高速スプリットSからのバレルロール(下方向への背面飛行旋回⇒ロール飛行)。無人機のAIも顔面真っ青になる程の人間離れした変態機動速度のマニューバに、敵翼竜と騎乗兵が追いすがる。
翼竜の速度こそ時速400㎞程でメビウスの2割弱だが、なんとか食いつこうとして必死である。同じタイミングで急減速し、背面旋回を繰り出した。しかし、彼等にとっては未知である現象が襲い掛かる。血流が一気に頭に集まり、体中の毛細血管が悲鳴を上げた。
急減速を行えば、体はマイナスGに襲われることになる。全身の血液が首から上に集まり、視界が真っ赤になる「レッドアイ」と呼ばれる症状が発生するのだ。
「し、視界が赤い!?な、何も見えない!助けてくれ!!」
彼は一介の兵士として持っていたクソ度胸で未知の領域に挑んだものの、負けることとなる。翼竜同士の戦闘では、この速度域には達しないのだ。加えて生物学や物理学が発達していないこの世界では、重力加速度が及ぼす影響などは誰も知らない。
動きが単調となった翼竜に、AIM-9Xが叩き込まれる。また1つ、翼竜隊は残り数を減らすことになった。
真面目にやればオメガって強いと思うのは私だけでしょうか?
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帰宅したら凄まじい評価を頂いて驚いております。今後も頑張りますので、何卒宜しくお願いいたします。