表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で、エース達と我が道を。  作者: RedHawk8492
第7章 Faceless Soldiers
138/205

8話 一難去ってなんとやら

10連休も後半です、体調管理にはご注意ください。

最初は10日もいらないだろ~と思っていたのですが、始まってしまえばあっという間ですね。

「ビスケットとかクラッカーで挟むと中々イケるんですよね~」と言いながら、兵士の死体を背に魚サンドを食べる隊員の一人。そんな彼をよそ目に、隊員のうち二人は気絶したワーラを縛り上げる。これほどの大規模な盗賊団となると横の繋がりもあるために、拠点にて拷問をかける予定だ。都合よく弱点の開発も終了しているために、今後、彼に行う予定の拷問の効率も上がるだろう。

ホーク達も車両を回収しつつ砦の中に入り、合流して地下にある監禁部屋を目指して進んでいく。それらしき入り口はすぐに見つかり、一枚岩で作られた扉の鍵を外側から解除して階段を下りて行った。


暗く空気が悪いなか進んでいくと、通路の左右に沿うようにして鉄格子の牢屋が並んでいた。綺麗とは言えない石造りの牢獄であり、異臭の類も漂っている。とはいえ物静かな印象であり、彼等の足音が響くだけで悲惨な声は聞こえない。

ディムース率いる第三分隊が先頭に立ってクリアリングを行いながら進んでいくと、一番奥の牢獄に、鎧を着た集団が捕らえられていた。カッターでカギを切断し、ディムースは牢屋を開いて中に居た人物と応対している。


牢屋の廊下に居り1分程状況を見ていたホークは、横に居たマクミランにアイコンタクトを行った。内容としては「応答はお前がやれ」というものであり、これはホークがリーダーであることを隠すための策である。タスクフォース8492において、全員が知っている内容だ。

同時にハクにもアイコンタクトらしきものが行われたのだが、こちらは誰一人として不明である。直前、マクミランにアイコンタクトが行われたために何か訳ありと判断した一行は、その件に関しては考えないことを選択していた。



牢の中には人族と亜人が混じっており、人数は7人。3人と4人に分けられており、うち3人の方に金髪の男が1人居るだけで他は全員女性である。鎧こそ傷は少ないものの女性の衣服は所々が破れていたり皮膚に擦り傷があったりと、まったくの無事という様子ではない。

念のために警戒しつつ牢の鍵を開けると、感謝の言葉と共に7人は外へと飛び出した。盗賊のことを聞かれたマクミランが冒険者パーティーとだけ名乗って盗賊を全滅させたことを告げると、さらなる感謝の言葉と共に女性の数名は目に涙を浮かべていた。


ハクは自ら先導することを告げると、集団と共に出口へと歩いていく。タスクフォース8492は後方を担当しており、ホークは、気絶中ながらも縄で巻かれて引きずられているワーラと共に一番後ろを歩いていた。一行は砦の門をくぐり、一番近くのティナの町へと歩いていく。

森から出て視界の良い草原へと入ったたタイミングで、空から無線連絡が飛んでくる。ハクがホークのそばから離れていることを把握していたガルムが「何か訳あり」と気を使い、ホークにだけ連絡を入れてきた形だ。



《ガルム0よりホーク、こちらでも人質救出を確認した。出番は無さそうだな。》

《いや、待機しろ。》

《何っ?》



ガルムから残念そうな声が聞こえたものの、低い声で発せられたホークの言葉は意味ありげな口調であった。それを聞いた彼も思わず驚き、それ以降は指示を待っている。



「えっ……?」

「総員気を緩めるな。現段階では、まだ全ては終わっていない。」

「どういうことです?」



全員が声を抑え驚き、何が問題なのかと思考を巡らせる。腰までの草原を移動中であることと、ハクが声を出しながら彼女を先導しているため、ホークの声は先頭には聞こえない。



《ホーク、返答は結構だ状況だけ伝える。現在オレとメビウス、イーグルアイと空対地装備のブルー隊、及びビッグアイ偵察部隊が近接空域に待機している。追加の部隊も念のために呼んでおく、必要ならばイーグルアイに指示をくれ。》

「UAVでも確認していたが、奴等一行は確かに砦に居た。制圧後に外から来た者は我々第一分隊のみ、外に該当する者は居ない。」

「ええ。それで、突入した私たちに助けを求めに来たのでは?」

「状況が釣り合わない、我々は数日前からこの拠点の周囲を監視していただろう?UAVでの偵察とはいえ、盗賊と思わしき輩以外の出入りは確実に無い。浅く見積もって数日前から盗賊に捕らわれていたにしては肌や髪の状態が良すぎる、そして深傷1つ無いのは不自然だ。」



確信までは放たれていないものの、この一文で全員の彼等に対する疑いが強くなる。普段から出ているホークの「言いがかり」だけに、重みのある内容として一行は受け取っていた。

7人ものメンバーが連れ込まれれば、それは自然と規模の大きな出入りとなる。ホーク達の偵察部隊が、そのような動きを見逃すことはあり得ない。実行者も状況を思い返すが、そのようなことは無かったと確信していた。



「確かに、砦に居た盗賊の連中はAランクにしては抵抗が少なかった。別の盗賊か何者かのところに、俺達を誘導させるよう仕向けられている。ということですか、総帥。」

「歩兵スキャンにて他の大部隊は映っていないが、別のところへ誘導されている点が最有力候補だ。ともかく、乱暴を偽装したと思われる服の傷も浅いものばかりで顔の傷に関しても非常に浅い、恐らく自分自身で付けたのだろう。」



このように判断したマクミランとホークだが、抵抗が少なかった理由に関しては誤解している。単に盗賊側の情報伝達や連携がガバガバだったために一斉突撃にならず、タスクフォース8492側の殲滅力がピタリと嵌ったために抵抗が少なく感じているのだ。また、Aランク冒険者に対する彼等の評価が若干ながらも過大になっていることも要因の1つである。

とはいえ、それを差し置いてもホークの判断は適格と言って良いだろう。傷の偽装に関しては完全に見破っており、周囲の感想としても同じ内容だ。



「総帥様。そうなりますと、あれらは一体何者なのでしょうか。」



リュックに問われ、彼は相手のリーダーと思われる男の身体的特徴を口にした。ホークより少し大きな身長と体格で容姿も良く、金髪、そして多数の女連れ。また、装備などから金銭的にも裕福であることが伺える。

ちょっと待てよとリュックが目線を下げて悩むも、答えはすぐに取り出せた。ティルの町で少年たちが言っていたExランク冒険者、ニックの特徴とそっくりなのである。


とはいえ他人の空似という可能性も否定できないうえに、「そんなことはあり得ない」と言いたいところがリュックたちの意見である。そうなると、冒険者が本来の敵である盗賊と手を組み共同しているという現実が生まれてしまうからだ。

一般世間とは離れていたハイエルフ二人でも疑問に思う内容であり、精通しているマールとリールは最大限に困惑の顔を見せていた。


とはいえホークにとって、相手がニックであるかどうかなど程度の小さな問題である。相手が敵であるかどうか。

彼の中での重要性は、この1点のみに集約されていた。敵と判断したならば、身体的特徴から相手がExランク冒険者と仮定した最大限の考察を巡らせるだけである。



「奴等は盗賊と手を組んで活動しており、現在は言い逃れのために偽装を施している。まぁ確かにこれらは言いがかりだ。しかし出会ったとき、なぜ我々が盗賊でないことを把握していたか。答えは簡単だ。」



ホークの言いがかりに対する答えを、各々は解答を待たずに理解する。答え合わせのために口に出すことはないものの、盗賊という身内にタスクフォース8492の面々が居ないことを知っていたためだ。



「総帥、そうなりますと一行は敵の身内の可能性があります。ハクさんは大丈夫なのですか?」

「アイコンタクトで伝えた、ハクも大まかな意図は読み取っている上で注意を逸らすための選択をしてくれた。ただし勇者の件もある故にリスクはゼロではない、万が一の場合は支援攻撃を頼む。」

「了解、攻撃オプションはどうしますか?」

「腹立たしいが私の腕では反応すら不可能だ。現段階よりウェポンズ・フリー。マクミラン、お前のクイックショットだけが頼りだ。」



思ってもみなかった言葉にギリースーツの下で面食らったマクミランだが、1秒後には今まで以上に気を引き締める。その気配は部下達にも伝わり、銃火器系を持つ一行にも伝染した。

特に、言葉を直接かけられたマクミランの気合の入れようは過去最高レベルである。ホークが一番大切にしているであろう彼女の背中を任された現実は、相当の信頼が無ければ有り得ない内容だ。


数々の伝説を作り上げたM82A3のセーフティーが解除され、ゆっくりとコッキング動作が行われる。射撃主は肩の力を抜いた自然体で居るものの、その集中力は想像を絶するレベルに高まっている。音速の移動物体相手に偏差射撃を行える次元に達している彼のセンサーは、彼女に対して発生する、いかなる異常をも見逃さない。

二つ名を作り上げている要因の1つが、この人外レベルと呼べる反応速度だ。そして今までのトレーニングで鍛え上げた寸分狂いの無いエイミングでもって、彼というエースの攻撃能力は成り立っているのである。



しかし悲しいかな。彼にとって、殺気と呼ばれるものは第六感までを含むレーダーにて受け取れない代物だ。それは逆も然り、自分が殺気を発していることも気づかない。

結果として、前方を歩くニック達はそれを感知してしまう。本人はExランク、その周囲もAランク以上であるがために、放たれた殺気の質の高さまで判断できるほどだ。



そのため、直感的に彼等は防戦体制に入ってしまう。一緒に歩いていたハクも全く同じタイミングで後方へと飛び退き、ホークを守るように前へと立った。

彼女の反応速度と身体能力に驚いたのか、自分たちに殺気を向けられた、つまり一般冒険者に対する敵と判断されたことに反応したのかは定かではないが、互いに臨戦態勢となったことは事実である。



現在のホーク達が最も苦手とする、近接戦闘による集団戦だ。タスクフォース8492側でマトモな近接戦闘が行えるのはハクとリュック、頑張ってマクミランぐらいのものであり、距離を詰められるだけ不利になる。

もちろんこの内容はホーク達全員が理解しており、各々がどのように動くべきかを全力で考えている。正直なところホークの指示を期待しているのだが、難しいだけに簡単に指示内容を決められないことも理解していた。



突発的に始まろうとしているこの戦いが、どのように流れるのか。今この段階では、誰一人として予測できていない。

次回から、戦闘パート再開です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ