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異世界で、エース達と我が道を。  作者: RedHawk8492
第6章 ランク:E
120/205

10話 二つ離れの町へ

ブクマ300突破!皆様のおかげさまです、励みになります。

今後ともご愛読の程よろしくお願いいたします。

【視点:3人称】


「警戒、前方300に複数の魔物……クリア、方位3-1-0へ遠ざかります。状況更新、距離1000以内に警戒対象のアンノウン無し。」

「了解。担当各位、引き続き警戒配備。」



第二拠点にて、十人単位の兵士が二日酔いと交戦中なことはつゆ知らず。タスクフォース8492の一行は日の出と同時にティーダの町を出発し、エスパーダたちと行き違いになってからも順当に経路を進んでいた。

基本として全員が荷物の乗っていない馬車にて移動しており、ヴォルグ夫妻がその脇を歩いている。馬を操るマールとリールは、おとなしい馬で良かったと内心では安どしていた。



「それにしても、20㎞地点を過ぎたというのに誰一人として出会わないですね。」

「鳥目当てっぽい組のほとんどは、自分たちが町を出る前に到着していたからね。残りが居るとしたら遠距離組とか遅刻組だけど、そんなに数も居ないんじゃないかな。盗賊も多いって噂になってたし、猶更の事外には出ないでしょ。」



そんな2頭の駿馬は、姉妹からの指示をキッチリと守っている。実のところ俎板の上の鯉状態で歩みを進めており、横を歩くフェンリル王夫妻は「真面目にこいつら大丈夫か」と内心は不安がっていた。

とはいえ、そんな一行に挑もうとする脅威も見られない。例のごとく2頭の主が率いる人間は摩訶不思議な道具を使って周囲を探知しており、そのおかげで平和な状況が続いている。



サスペンションやダンパーがないために大地からの衝撃をダイレクトに味わえる馬車の中で足腰を休めつつ、一行は輸送作戦に関する内容を中心に話が弾む。見張り要因としては交代で二人が端末を操作して2㎞程度の周囲を偵察しており、ヴォルグ夫妻が200-300m程の近接警戒を受け持っている。

偵察用UAVの性能も上々で、結果論だけ言えば近接警戒は必要ない程だ。比較的目が良いハイエルフ兄妹も近接区域の警戒を行っているが、自然の景色が映りこむだけとなっている。


とはいえ、やはり遠距離攻撃を察するには無理がある。早い話がマクミラン級の者が敵に居た場合、UAVで察知することは不可能だ。超音速で近接空対地攻撃を行ってくる奇人変人パイロット然り、対処できるものには限界がある。

流石に奇人変人の相手は無理としても、万が一にそんなことがあれば、近接戦闘においてはチートクラスのハクが出張ることになるだろう。艦で言うところのCIWS的な立ち位置をこなせる、唯一無二の存在だ。


そのことを自覚しているのか、彼女は会話には入らずに意識を外に向けている。時折吹き付ける巻き込む風がシルクのような髪を少しだけ乱れさせるも、それすらも直さない程の気の入れようだ。本人も無自覚ながら、ホークの前ならば、普段は猶更そのあたりを気にかけている。

雑談相手が減ってしまって口数が少なくなるホークだが、相方の心境は把握している。凛々しい表情に時折目を奪われつつも、心意気を無駄にするわけにもいかないため、必要時以外は言葉をかけることはなかった。



======



「総帥、ポイントデルタまで残り200。付近1000に敵性反応無し、予定時刻より15分早いです。」

「了解、予定通りだね。各位、今日はウェイポイントデルタにて野営を行う。到着後は、所定の用意を行ってくれ。」

「「「ハッ。」」」



携帯端末のモニタを確認しながら隊員が報告を行い、ホークも適切な指示を出す。一行は数台の馬車とすれ違うことはあったものの、魔物の襲撃も無く予定地点に到着。日は沈み始めであり現在も視界は確保できているが、ホークは予定通りの地点で野営を行うようである。

視界的にまだ行動できるとはいえ、予定通りに動くが故の作戦行動だ。ディムース達は簡易テントの用意、ヴォルグ夫妻は結界の展開など、各々ができることを迅速に熟していた。


気を張っていたハクも、誰にも聞こえない程の小さな溜息を付いて肩の荷を下ろす。彼女やマールリール姉妹の知識の中でも㎞単位の距離から音速で行える攻撃は無いのだが、ハクはI.S.A.F.8492の大勢が息を吸うように実戦しているところを知っているために、楽観視することは不可能なのだ。

安全を最優先するならば四の五の言わずにL-ATV、ましてや輸送ヘリを使えば1日で到着する距離なのだが、諸々の事情もあるとはいえ馬車で行くと判断したのは他ならぬホークである。ならば全員が、決定された条件下で遂行できるように努めることも作戦行動の根底だ。


そんなホークはマール・リールと共に、馬車を切り離した馬2頭を物陰に誘導中。馬というのは人間が近づいた程度でも目を覚ますほどに眠りが浅いため、それを配慮した選択だ。選択の裏に「翌日に発揮できる性能を落とさないため」という本音が隠れているが、口に出すものではない。

夜間警戒は偵察班とヴォルグ・ハクレン夫妻が交代で行うことになり、全員が連続4時間以上の睡眠を取れる環境を整えている。このあたりは現場をよく知るマクミラン達がシフトを組んでおり、抜け目がないものに仕上がっていた。テントの組み立ても慣れたものであり、ものの30分程で設営が完了している。



太陽が定時退社するタイミングで仕事を終えた一行は灯りをどうするか悩んだが、星と月という夜勤組みのおかげで不要となっていた。周囲に光源がないことと空気が非常に綺麗なために、太陽の反射光がしっかりと地上に降り注いでいる。これは、人工物の多い佐渡島(仮名)や第二拠点では見られなかった光景だ。

お世辞にも眩い明るさとは言えないが、行動をするには十分な程に視界は良好。ものは試しにとホークが宝物庫を使用したものの、波紋の光が強すぎるためにコソコソと使用する羽目になったのはお笑い種である。



======



「さて、夕飯用意したよー。」



呑気な口調で「ごはんできたよー」と報告するも、実際に料理はしていない。野営ということもあり匂いの出るものはご法度ということで、配慮されたものが用意されていた。

ちなみに昼間はサンドイッチが出されており、こちらも匂いに関しては問題ない。全員の運動量が少ないこととカツサンドのようなガッツリ系もあったために、ガタイの良いオッサン連中も満足できている。



「並べましたが、なんだか遠足みたいですね。」

「うん、自分も思った。今更だけど、いかにもってメニューだよね。」



軽く笑いながら会話をするディムース・ホークのコンビだが、そうなるのも納得の内容だ。おにぎり、鶏のから揚げ、巻き形状の卵焼き、レタス。レタスはともかく主食の全てが冷えているために、遠足にピッタリなシチュエーションだ。

調理者はホークなのだが炊飯部隊直伝の代物であり、冷えていても味は一流。暖かい時とは違う醤油の味付けが特徴であり、冷めた状態でこそ真価を発揮するものとなっていた。小ぶりのおにぎりも具材をルーレット感覚で堪能できレタスにて食感や口直しが可能のために、レシピとしても飽きが来ないものとなっている。


タンパク質がメインのために、一行のおなかも大満足。一部を夜食用に温存し、夜勤部隊は早めの睡眠をとっていた。

一方のホークは、これから地図と睨めっこ。偵察班と共に明日の予定を相談するために、テントの内の1つで集合していた。「語学のため」ということで姉妹と兄妹がついてきており、ハクもそれに混ざっている。見学者を交えながら、ホークと隊員との打ち合わせが始まった。



「お疲れ、おなかは満たせたかな?」

「お疲れ様でございます、胃袋も体調もバッチリです。」

「そりゃよかった。それじゃ、報告と連絡を頼むよ。」

「承知しました。位置関係ですが、現在我々が居るのはここ、ウェイポイント・デルタです。明日はウェイポイント・エコー、フォックストロット、ゴルフと経由しまして、夕暮れ時には最終地点ホテル、ティナの町に到着予定です。何もなければ、一番近い東門から入る予定です。」



地図のポイントを指さしながら兵士が説明を行い、ホークは腕を組みつつ目線でそれを追っていた。当初の予定通りであり、特に変化は見られない。

ところでティナの町はティーダから2つ隣りであるために間に町が1つあるのだが、余計な探りとエンカウントを回避するためにスルーするルートを選択している。その道は広大な草原の中央を突っ切っており視界も良く、道端には何もないために人気がないことも、彼等にとっては猶更のことうってつけだ。



「道中及び現地の天候は曇り時々晴れ。気温湿度共に本日と等しく風速も2mほどあるために、熱中症の心配も少ないでしょう。」



連絡事項として当たり前の如く放たれる発言だが、これもこの世界の住人からすれば異様である。天気だけとはいえ、大魔法を超える「未来予知」に該当する内容は、彼等の中でI.S.A.F.8492に対する摩訶不思議な事象の1つとなっていた。



「あ、そうだ。聞こうと思ってたんだけど、みんな夜間視界ってどんな感じなの?いきなりで失礼だけど、亜人とエルフはわかんなくてさ。」

「申し上げます。私とリーシャは、昼間よりやや劣る程度です。弓の命中精度も、さほど変わりないでしょう。」

「わお、それ凄いね。マールとリールは?」

「闇夜では昼間と同じようにはいきませんが、これほどの月明かりがあれば支障はございません。」

「ええ、その通りです。」

「ちなみにですが私も似たようなものです、マスター。」

「了解、報告ありがとう。それでも凄いね、自分なんか今より暗くなったら全くダメだよ。」

「総帥に同じく、完全に足手まといですね。」



至って真面目な顔の報告者と、どこか砕けながらも目だけは真面目な一行のリーダー。見慣れたようで会話内容は新鮮味にあふれているミーティングを聞きながら、日没後の時間は過ぎてゆくのであった。



=====



翌朝、日の出と共に一行は行動を開始する。夜間の接近者も居らず、Dランクの魔物が800m先を通過した程度となっていた。

ホークの配慮で馬2頭も十分に休憩を取れており、調子は街を出る時と変わりない。その背後でヴォルグ夫妻が目線にて「気を抜くな」と活を入れていることは、ホークの知れぬところとなっていた。


現地のベッドと比較しても劣らない程の携帯寝具により、隊員たちも初日のコンディションを維持している。一部は夜勤明けとなるが、この程度の負荷は彼等にとっては文字通りの朝飯前だ。若干肌寒い体に染み渡る暖かいコーンスープとパンとサラダの朝食で、胃袋も満足げな様子を見せている。



若干余裕のある計画と万全の装備と警戒により、魔物に襲われることも無く、一行は日没に差し掛かったタイミングで到着する。ティーダの町からは事前に連絡が行っており、ティナの町を守る門兵が接近に気づき、ホーク達へと歩みを進めた。



「総員、戦闘配備。」



臨戦態勢に入るよう彼が命令したのは、そのタイミングである。

本文とは全く関係ありませんがエスコン7の司令官は世界中で嫌われ者ですね(^^;

ツイッターで#マッキンゼイコンテストと検索すると世界中のエース達がアクロバット祖国(パイロット巻き添え)しております(笑)

あとオーシアの報告書にて「彼」の名前が「ミスターX」になった理由が「報告書で毎回名前のどこかが違うから」は爆笑させて頂きました。正式なフルネームだけで原稿用紙の半分が埋まるので夏休みの読書感想文は有利でしょうね!


…ところでそんなミスターX達との戦い(1Vs5)をGBP縛りで突破したとの報告が届いたのですが、報告書の記載ミスですよね赤いワンコさん?

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