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異世界で、エース達と我が道を。  作者: RedHawk8492
第1章 腰を下ろすために
12/205

9話 真相と土台作り

場所を空軍の会議室に移し、I.S.A.F.8492の初期メンバーである主なメンツが集合する。



名前:ホーク

階級:総帥

所属:?


名前:エドワード

階級:大元帥

所属:空軍


名前:メイトリクス

階級:大元帥

所属:陸軍


名前:トージョー

階級:大元帥

所属:海軍


名前:マクミラン

階級:大尉

所属:陸軍:タスクフォース000


名前:メビウス13

階級:少佐

所属:空軍


名前:ガルム0

階級:少佐

所属:空軍


名前:ディムース(アルファ1-1)

階級:少将

所属:陸軍:第一歩兵師団団長




……うーん。


ビューティフォー大尉、存在感パネェっす。問答無用で視界に入ってしまう。

てか、屋内ぐらいギリースーツ脱ぎましょうよ。冷房あるからって暑くないのかね?



「……えーっと、じゃな。一名ほど、隠れる場所を間違えてる御仁が拝見できるのじゃが。」



ほら、お客さんも困ってるだろ。



「これが自然体だ、気にするな。」

「あっはい。……さてホーク殿、何から話すか?」



神龍クラスのドラゴンから見ても異端、か。そりゃそうだろう。まぁ脱いだところで状況が変わる訳でも無し、このままでいいだろう。当の本人は相変わらずの仏頂面だが、やる気はあるし非常に真面目だ。


……あっれー。設定を真似ているだけで別人だけど、この人って、こんなネタ枠だったっけ?って、ゲームでもいくつかの行動がネタになってたか。基本かっこいいんだけれど。



「えーっと……。ではエンシェント、勇者について持っている情報を教えてくれ。」

「あいわかった。まず勇者が居る場所だが、名をシルビア王国。この地点から南西に行った方角の、海に面した国じゃ。海を囲うように、陸地が大きく湾曲しておる。また、近くに大きな島がある、空から見ればすぐにわかるはずじゃ。」

「ちょいと失礼。エドワード、その地点の情報は?」

「はっ。まだ細部までは偵察しておりませんが、情報通りの地点があります。以前頂いた、総帥からの情報とも一致しております。」



女神の世界でも言っていたが、ここから南西となると中国とベトナムの国境付近も該当する。どうやら間違いはないようだ。そこにある大きな島となると海口市が該当するが、この世界では別物と考えた方がいいだろう。街があるかすら不明だ。



「そうか、了解した。遮って悪かったエンシェント、続けてくれ。」

「うむ。その地点には昔からシルビア王国があり、平和主義の大国じゃった。この世界では大国家であったのだが、今問題になっている勇者によって7年前にクーデターが発生した。」

「ふむ。」

「結果じゃが他愛も無く成功してしまい、王族は皆処刑された。そもそも、問題の勇者に対抗できる人物が居なかったのじゃ。勇者は国王の地位に着いてしまい、家臣共々、民に略奪と侮辱を与える日々を送っている。盗賊の類も勇者の袖に金をしのばせ、大規模な部隊がいくつも居ると噂されている。」



その後に社会情勢が説明された。エンシェントが発した言葉の意味は分かる。スモークグレネードの煙幕レベルで言葉を曇らせれば「社会主義国家」だが、やっていることは畜生以下だ。



「そんなことをしているせいか、民草の死亡率も出生率も悪くてな。やがて、付近の亜人にまで手を出し始めた。それ故にあの国家を敵視している国も多いが、戦力差から見て手を出せないのも事実じゃ。放置を続けても、いつかは向こうから侵略してくる。シルビア王国に近いところでは、いくつかの国が移転してしまった。」

「被害は多そうだな……加えて放置もできないとは、厄介極まりない。」

「可能性があるとすれば、西の帝国と北西の帝国が手を組むことだけじゃ。それでも両者共倒れで、勇者そのものは討てない可能性が高いがのう。」



ふむ。この世界の帝国2つで討伐できないとなると、与えられたチート能力による戦力は計り知れないのだろう。これは、白兵戦となると面倒なことになりそうだ。最悪、Mk.71(5,000ポンド爆弾)を持ち出すことを考えよう。


……対人に使う武器ではないが、相手が相手だし別にいいよね。



「だったら尚更だ。先ほどの言葉からするに、エンシェントの眷属とやらも被害を受けているようだが。」

「我だけではない。狼族、犬族を始め、ほとんどの亜人族が被害を受けておる。5年前に一度、我々の身内が討伐に出向いたのじゃが……魔法が通じず、勇者はドラゴンスレイヤーのスキルを持っていた。結局、若い命を無駄に散らせてしまっただけじゃ。」

「……そうか。I.S.A.F.8492を代表して、戦いで散った者の冥福をお祈りする。」

「かたじけない。」



その後も、自分とエンシェントドラゴンとの会話が続いていく。

いかんな、さっきブレスが云々で煽った内容はまずかったか。後悔しても後の祭りだ。会話の流れ的に、しんみりとした空気になってしまったが、仕方ない。



「ところで、勇者が居る国だけど……もう一度クーデターを起こすとなると、付近国への根回しは可能だったりする?」

「ほう?何が目的じゃ。」



自分の提案に「根回し?」と言いたげな表情を見せて、エンシェントドラゴンは首をかしげた。



「付近の国の王族に、その国を治めてもらうことになる。問題になっている連中を一掃したところで、新たな上が居なければ混乱状態に戻るだけだからね。」

「あいわかった、近隣に丁度いい王国がある。その点は根回しするが、数日はかかるじゃろう。」

「いいよ、こっちも直ぐには動けないし。ただ、勇者がどんな耳を持っているかわからない。根回しはギリギリまで待つべきだ。」

「その意図は?」

「情報を知った勇者国の斥候が居たとしても、勇者国までに戻るには時間がかかる。近隣国の進軍準備開始と同時に、こちらが勇者国を攻撃する。エンシェントは同じタイミングで、「何者かの軍がシルビア王国を攻撃中、優勢」との情報を流してくれ。近隣国の進軍も早まるだろう。撃破後は近隣国の部隊が勇者国を制圧し治安を維持、徐々に王族が治めていくというわけだ。」



付近の国の出撃タイミング次第では、1~2日ほど自分達が治安維持を行う必要があるだろう。絡まれても厄介なので、タイミングを見て撤退するつもりだ。

エンシェントも、この案には乗り気である。あとは皆の意見だ。



「再確認だけど、今回の戦闘の目標は勇者の討伐。それと、占拠されているシルビア王国の解放だ。皆は何か意見ある?否定的なことも含めて、遠慮なく言って欲しい。」

「大筋としては、総帥のご提案で問題ないと思います。我々航空隊の撤退タイミングは、後日協議致します。」

「私も同意です。攻撃方法などの詳細は、後日と言うことになりますな。」

「海軍としましても異議はございません。陸上部隊の輸送日程は、こちらも後日協議になるかと。」


有名な言葉が、3人揃えば文殊の知恵。皆の意見を聞くことは大事である。エドワード、メイトリクス、トージョーの順番に返事が来た。その後、マクミラン大尉やガルムとメビウスの二人、各歩兵師団団長からも同意の意見がもらえた。詳細が後日協議になるのは仕方ない。



「しかし、どのように勇者を攻撃するのじゃ?言い忘れたが勇者国の背後には邪族もおる、援軍が来るやもしれん。」



続いて出たエンシェントドラゴンの質問。そう、問題はそこである。後者に関しては、8492の連中なら対処できるだろう。いくら勇者の国が問題ばかり抱えている国だからと言って、住んでいるのは罪も無い一般人。今回に限り国ごと焼き払っても文句を言う奴はいなさそうだが、人間としてそれは避けたい。



「そこなんだけど、白兵戦だと住民も巻き込んじゃうだろうから、勇者の討伐は暗殺で行う。一応シルビア王国城の偵察はやってるんだけど、勇者が庭とかで休憩するようなことって無いのよね。それさえあれば、状況は変わるんだけど。」



ここ数日の偵察結果から判断するに、勇者は滅多に外に出てこない。引き篭もっているのだろうが、たまには日光を浴びないと禿げるぞ。出てくるとすれば町の視察のようなもので、周囲には護衛が大量にいる。その状態での白兵戦となると、確実に一般市民を巻き込んでしまうだろう。

さらに面倒なのは、翼竜隊の警戒だ。アサルトライフルでは通用しないと思われる装甲にヘリ並の機動力を人間が操るため、厄介である。戦闘機部隊でゴリ押しすれば倒すだけなら可能なのだが、周囲の一般市民に危害が及ぶ。


勇者だって知識が無くても「戦闘機」と呼ばれる兵器は知っているだろうから、見られた瞬間に逃げられたり、篭城される可能性もある。それを避けるためには、必殺が必要だ。相手に反応させる暇もなく、確実に命を奪わなければならない。



「時折ばーべきゅー?なるものを開催するとは聞いておる。屋上で催しているらしい。」

「え、バーベキューを?じゃぁ、理想のタイミングは、そこか。」



考えていると、意外にもチャンスはあった。王宮と思われる施設に侵入するのは手間がかかるし、危険度も高い。非ステルスならば苦でもないが、ステルス任務となると骨が折れるだろう。

それならば、外に出てくるタイミングを事前に察知してしまえば早いのだ。この際、建物の1つぐらい仕方ない。



「A-10かAC130で纏めて、ですな。王宮1個を壊しても、この際は仕方ないでしょう。」

「待て待て、それはイカン!あの会合には近隣の関係者も出席するのじゃ。本来は各国も断りたいのじゃが、勇者が力を見せ付けるために呼んでおる。断れば即戦争じゃからの。」



方法はエドワードが代弁してくれたのだが、どうやら宜しくなかったようで、エンシェントが声を強くした。



「……ってなると、方法は1つしかないじゃん。」



自分は、そう言って一人を横目見る。


ギリースーツに身を包んだ、見た目モリゾーことマクミラン大尉。まとめて料理することができないならば、精密な一撃を持って終わらせる他に道は無い。



「……狙撃、か。」



感情の無い声で、彼が反応する。なんでそんな冷静ぶってるんですかね?いつもなら、久々の狙撃任務だと喜んでるのに。



「エンシェント。山岳とか、城よりも高いものは隣接している?」

「あるぞ。王国の北側、元より王宮の更に北には山脈が広がっておる。最短となると……普段勇者が座る椅子からは、右斜め後ろの方角じゃ。」



地理を聞いてみたが、一応狙撃ポイントはあるらしい。自分の言葉に続き、マクミランが質問した。



「ドラゴンよ……その最短地点、城との距離は?」

「同じ高さのエリアとなると、最短で……そうさな、1kmと少しになるか。高い地点となると、更に200m程離れることになるのぉ。」

「他愛ない。2km弱までならば、ヘッドショットは保障しよう。」



ヒューッ、流石マクミラン。これで常時ギリースーツじゃなければ最高に英雄だわ。しかしメートルとかキロメートルとか長さの単位は共通のようだ。でも、ちゃんと同じか確かめておこう。



「エンシェント、この長さってどれぐらい?」

「なんじゃ突然。おおまかじゃが、1メートルであろう?」

「ただの確認だよ。それが1千個並ぶと?」

「えーと、1000じゃから1キロメートルじゃな。」



両手の人差し指で1mぐらいの幅を作ったが、どうやら長さも共通のようだ。これはありがたい、意思疎通が図りやすい。

ついでに時間も聞いてみたが、12カ月とか24時間の概念は無い。1日はわかるが、まさかの1年が存在した。出所は不明だが365日を1年としているらしく、年齢もそれに基づきカウントアップするらしい。ドラゴンが知らないって、どれほど前に制定されたのかが気になるな。


とはいえ、それは今重要ではない。大元帥一同も自分の質問の意図を把握できたようで、目線を向けると、軽く頷いてきた。



「ところでエンシェント。さっき言ってた、そのバーベキューの開催時期はわかる?」

「奇遇かな。例年通りならば、半月以内には開催されるじゃろう。」



まじかよ。随分と話が急ぐことになるぞ、これは。



「エドワード、空軍に行動指令。ビッグアイ偵察部隊を用いてシルビア国の24時間偵察を行え。特に王宮は些細な情報も見逃すな。必要ならば、各軍全部隊の使用を許可する。」

「ハッ。」

「偵察衛星も使用するが連続偵察は行えない、ビッグアイの連中には負担がかかるだろう。一度、全員を呼んでほしい。」




十数分後、12人の隊員が自分の前に集合した。I.S.A.F.8492が誇る偵察部隊、ビッグアイ偵察部隊である。



「集合ありがとう、1つお願いをさせて欲しい。」

「ハッ、何なりと。」



自分の言葉に、ビッグアイ偵察部隊の隊長、ビッグアイ1が答える。ゲーム内でも1,2を争った、凄腕の偵察部隊だ。

使用するものは偵察衛星やUAVではなく、旧式だ。成層圏を飛行する、SR-71ブラックバードを使用する。機体の改修を重ね、解析能力としては最新の偵察衛星に引けを取らない。使用している機体の点もあってか、一部のプレイヤーからの支持が猛烈に強かった。


SR-71が偵察衛星と違うところは、常に目標の上空を飛行できる点である。彼はその点を生かし、寮機であるNPCからの情報をも組み合わせることで、確実な偵察結果をもたらしていた。

故に、今回の任務にも適任である。そして彼等ならば、絶対に敵の動きを見逃さないと信用できる。


今回の会議で決定したことを、漏らさないように伝えていく。話が進むにつれ、最初はどこか気楽にしていた彼らの表情が、明らかに変わっていくのが見て取れた。



「此度の偵察任務は、今まで行われてきた任務の中で最重要案件となる。シルビア王国の24時間偵察という内容は、ビッグアイ偵察部隊にとって非常に負担の大きいものになるだろう。だが今は、君たちの力が必要だ。作戦終了までは耐えてほしい、この通りだ。」



並んだビッグアイ部隊12人に対し、頭を下げる。自分が無茶な指令を言っているのを理解している、最大限の表しだ。この機を逃すと最悪の場合、次の機会は1年後。それまでにこの島が発見されれば、最悪の場合、次は無いかもしれない。

自分が夏の終わりにこの地へきたのも、何かの巡り合わせなのだろう。マクミランを最大限にサポートし、絶対に狙撃を成功させる。そのためには、使えるものは全てを導入しなければ始まらない。



「総帥、頭をお上げください!我々は召喚された者ですので決死のご命令に従うのは当然です、肉体的にもその程度の任務は問題ありません!」



今まで誰にも聞けなかったが、彼等は召喚されたという自覚はあるのか。

そう言われ、自分は頭を上げる。そして自分の考えとして、1つだけ訂正させた。



「ビッグアイ1、今の言葉は少し違う。階級や立ち居地的にも違うけれど、自分は君たちを仲間と考えている。そして確かに、君たちは召喚された存在だ。でも、誰もが意志を持って行動している隊員だ。魔術師に言えば、所詮は召喚された道具と笑われそうだが……一人一人が、I.S.A.F.8492という時計のパーツであることを忘れないで欲しい。この島にいる隊員一人、失って良い仲間は存在しない。」



本音を出した自分の言葉で、会話が途切れる。この考えが甘いのは理解しているつもりだ。全力を向けるならば、召喚された彼等は道具として割り切るべきである。

だけど、それはできない。ここにいる皆は、ゲームの中でとはいえ、共に戦ってきた人たちの分身だ。今の自分が戦力を持てているのは彼らのお蔭だ。そんな彼等を道具扱いなど、できるはずがない。



「―――そのお言葉、身に余る光栄です。我々ビッグアイ偵察部隊、与えられた任務を全力で遂行致します。」



静かに、しかし強く。ビッグアイ偵察部隊の12名が行った直立不動の敬礼に、自分も拙いながらも、敬礼で返す。



その日の夜の滑走路では、第一陣のSR-71が離陸していった。これからは24時間体制で、各軍の基地も忙しくなる。自分ができるのは、作戦成功までのサポートだ。現地に乗り込んで無双することも、戦闘時に活躍することもできはなしない。

できることを、精一杯やっていこう。明日はシルビア王国へ突入する際の会議がある、自分の意見を纏めておかなければ。

《 BigEye 6, you have the sky. 》

登場率は高いです。

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