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別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第6章 学校対抗交流戦
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第55節 パーティ確認と円商学校のメンバー、疑問

 ミーティングルームに入り、改めて自分のチームメンバーを確認する。


 まずは俺、戦いにはブーメランチェイサーが主力になる。 誘導や弾数、ヒットストップ値はあるが如何せん火力がない上決定打に欠ける。 他の二つの武器も足止めにしかならない。 前線維持には限界があるだろう。


 海呂、弾幕を張るのは彼の仕事だ。 実弾武装なので火力も出る。 だが基本的な武装であるため突拍子がない。 彼自身で意表を突かないとかなり厳しいだろう。 相手もそれは分かってる訳だし。


 白羽、このチームのヒーラーと追加ダメージを付けれるメンバーだ。 だかヒーラー故に狙われることもある。 体力の削りあいのこの戦場でヒーラーという役割はかなり重要だ。 追われる場面もあるだろう。


 最後に夭沙、リモコンスナイパーにより、相手の位置を把握しつつ攻撃できる武器を持っている。 彼女はチームの中でかなりの長距離に長けているが、逆に近距離は非常に弱い。 自衛が難しいだろう。


 全員一長一短なこの試合、如何に相手を翻弄できるか。 その一つにかかっている。


「相手のチームもかなり連携が取れてそうだよ。」

「最初は私が様子見ようか? わたしの武器ならそれなりに遠くは見えるし。」

「なら、わたしは皆さんに、回復を優先します、ね。」


 みんなそれぞれ役割を果たすつもりで動くようだ。 それなら最初の動きも立てやすい。


「なら白羽は最初にみんなに1回ずつ回復銃を撃ってくれないか?その後は状況に合わせて判断するから。」

「は、はい!」

「夭沙も敵の状況がある程度把握できしだい、牽制してくれ。 自分の周りにも気をかけながらな。」

「わ、分かったわ。」

「海呂は俺と最初は一緒に来てくれ。」

「分かったよ。 リーダー。」


 そんなことを行ってる間に場所が移った。 今回はお馴染みの摩天楼。 どうやら最後は高低差の少ないステージになったようだ。


「海呂、前に出るぞ。 了平の最初の一撃は俺たちにしか分からないからな。」

「了解!」

「飛空さん、回復、受け取ってください!」


 そういって体力限界値を超える。さて、こういうだだっ広い摩天楼。 前回は商店街の十字路っていう分かりやすいものだったが、特徴の少ないこういう場所だと、距離感も掴みにくい。なら初撃だけでもなんとかしなきゃな。

 まだか、まだ撃ってこないのか。 もうすぐ中央付近、右足を踏み込んで、


「ドンッ」


 ――――――――――――――――


 例の如く右足を踏み込んだ時に狙いを定めてトリガーを引く。 彼は僕のこの初撃を避けている。 彼が前に出たのは、僕の攻撃を知っているのが一番間近で受けたからだろう。 さあ、今回はどうだ?


「・・・・・・・・・・ふっ。 やっぱりそうじゃなくちゃね。」


 非対人ライフルをしまって、僕もみんなに合わせて動く。


()()()()避けられたか?」

「うん。 しかもその後すぐに動いてる。」

「ひゅぅ。 怖い怖い。 じゃあこっちも全力で行こうぜ!」

「もちろんだよ。」


 さぁ、ここからが勝負だよ!飛空!


 ――――――――――――――――


「・・・・・・飛空? 大丈夫かい?」


 後ろから海呂の声がする。 正直な事を言えば大丈夫ではない。

 最もそれは肉体的ではなく精神的にの話だ。 まさか右足の真下にではなく、右足の()部分を狙ったような射角で来るとはさすがに予想から除外していた。 そうわかった途端に踏み込んだ右足を軸にして左に重心を傾けて回避行動を取ったのだ。


「っつ! このまま戦闘態勢に入る! 夭沙。 敵の動きはどうだい?」

「2人が散開するように横から動いていたわ。 あ、あとの2人も動いたわ。 正面に来るつもりよ。」

「了解。 多分了平達だな。 海呂、このままこっちも散開するぞ。 ここから気を引き締め直せよ。」

「了解。」


 そういって海呂と別れる。 さてと誰とまずは・・・・


「タンタンッ!」


 どこからか弾丸が放たれた。 足元に撃たれため狙いを定めるというより足止めに近いだろう。


「そこかッ!」


 ロープリングを構え、狙われた部分に1発放つ。 こっちも牽制射撃だぜ。


 物陰から出てきたのは芥川だった。


「流石ですね。 了平が狙い直した初撃すらも避けるとは、やはりどこまでも楽しませてくれますね。」

「ま、それが本分だしな。で、どうする? 対峙したからにはタダでは戻れないぜ?」

「そうですね。 なら私も頑張りましょうか。」


 そう芥川がいうと、持っていたマシンガンをしまって、マラカス (?)の様なものを出した。

「私の武器はこれです!」


 そういってマラカスを横に振る。するとマラカス部分が細かく分散して・・・・・連鎖爆撃が起きた。


「やはり避けますか、この「ストラップグレネード」を。」

「爆風は当たっちまったけどな。 ゲホッゲホッ」


 ちょっと煙吸っちまった。 こりゃ次は別の方法で来るだろうな。 役目を終えた芥川が立ち去ろうとする。


「逃がしま、せん!」


 俺の背後のブロックから白羽が飛び出して、火炎放射器を芥川に向ける。


「おっと、それは食らいたくないですね。 熱いのは少々苦手でして。」


 後ろに下がっていく芥川、向こうから下がってくれたのは有難かった。 そう思っているとお互いの戦力ゲージが1人分減った。 こっちもうかうかしてられないな。そう思い移動しようとしたその先に


「やあ飛空。 海呂は倒させてもらったぜ。 今回は俺の勝ちの様だぜ。」


 既に小戸田が、こちらにビームガンを構えてこちらを見ていた。


「まだ試合は終わってないし、何よりそっちもギリギリじゃないか。」

「それでも()()勝った。 我ながら恐ろしい奴を相手にしてた気分だぜ。」

「そっちもいいライバル関係になったって事じゃないか?」

「君と了平程じゃないがそういう事だろうな。」

『ごめん飛空、すぐにそっちに戻るよ。』


 落とされた海呂から通信がそう言ってくる。


「それで? 海呂を倒した君が俺の前に出てきたことには何か理由が?」

「ここは戦いの場、相手は1人じゃない!」


 そういってビームガンを放ってくる。 ま、そりゃそうだよな。


「了平の為じゃないけれど、お前の体力をある程度削らせてもらうよ。」

「そうはいくかってんだ!」


 俺も相手に合わせてブーメランチェイサーを撃っていく。 もちろん被弾しないように配慮しながらだ。


「援護します。 飛空さん!」


 夭沙がリモートスナイパーで牽制に入る。 今はやって欲しくは無かったが、好意は受け取ろう。

 これで今の所見ていないのは横井と了平になる。 了平はまだ分かってる範囲があるが、横井の武装が少々気になってくる。 ミニマップを見る限り、戦場は混戦状態の様だし、少し様子を見に行こう。


「ズドンッ!」


「・・・・・・・・っと、そう簡単には・・・行かせてくれないか・・・・。」


 忘れていた訳ではない。 だがこの戦局で俺1人に的を集中させていたとなると、相手にとって行かせてくれない理由があるのだろう。そう脇腹に非対人ライフルを浴びて思った。


「初めてモロに・・・・食らったけど・・・・キッツいなぁ・・・・」


 決して肉体に害がある訳では無い。 ただダメージそのものは感じるので正直な所立っているのがやっとなくらいの痛みを感じている。 射程距離は20〜25mってところか。 痛みが引いたところで再度前に進む。 もちろん他の所からの攻撃を警戒しながらだ。


 お互い戦力ゲージの削り合いだ。 こっちが落ちればあっちも落ちる。 決着は時間の問題になっているが、まだ俺と了平は対峙していない。 むしろ了平が避けてる? 疑問に思いながらステージを右往左往していると、


『飛空さん。 そっちは大丈夫ですか?』


 そう夭沙から通信が入る。


「こっちは大丈夫だ。 なにかあったのか?」

『ええ、ちょっと疑問に思ったことがあってね。 ミニマップを見てるんだけど、さっきから人数が足りないと思ってさ。』


 人数が足りない? そう思ってミニマップを確認すると、確かに1人足りない。 敵側のアイコンが1つ少ないのだ。


『それでもう一つあるのよ。 真後ろから撃たれた筈なのに振り返ると誰も居ないの。 不思議だと思わない?』


 障害物のせいかとも思ったが、障害物だってひとつじゃないしそれならアイコンは出るはずだ。 何故だろうか? そして消えたアイコンの持ち主は誰なのか。


 ・・・・・待てよ?アイコンを消すのなら俺の光学迷彩銃でも出来る。 と言うことはその1人は俺と同じ隠密行動用の武器を持っていると言うこと


「足を止めて考え事は戦場では大きな隙でしかないですよ。」


 声が聞こえて来た時には遅かった。 俺はジェル状の何かに囚われてしまった。 ジワリジワリと体力を蝕んでいく。 なにより厄介なのは、もがこうとするとまるで水の中にいるかのように重たいのだ。 息苦しさも感じられる。


「うふふ。 私の「アクアドーム」の領域へとあなたを誘って差し上げましてよ?」

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