第48節 曲がる武器と増える相手、仕組み
さてと、まずはあの曲がるビームと曲がる実弾の仕組みを解かなきゃ話にならないな。
とにかくまずは観察だ。 今回の曲がる武器を相手にして分かったことが2つある。まああくまでも憶測の点があるが。
1つ目は今のビームが曲がる理由。 それは、
「考えながらで戦えるのかい?」
そういいながら司は2発目を放ってくる。
だが今回は確信へと変えるためにわざと近づく。
ビームが曲がる理由、光学兵器、これらから生まれる可能性はただ一つ、そう思いながら、目で追えるギリギリで避ける。
うん、やっぱりだ。
「放ってるビームの周りになにか別の光学兵器を纏わせているのか。」
そう。 1つのビーム兵器なら実弾と同じ。 だが曲がるということはビームに対してなにかを施さなければ曲げることすら出来ない。目で確認したのは錯覚で無いことの確認のためだ。
「へぇ、そこまで的確に見えたんだ。 凄いよ。 この武器はなかなか思うように完成しなかった武器で、やっとの思いで完成させてくれた、先輩達の結晶なんだ。」
そう自分の武器を見てウットリする司。 まるで武器そのものに溺愛しているように。
「慕っているんだな。 先輩の事を。」
「僕らの学校は技術面に置いて世に出すものが多いからね。 先駆者達の言葉はまさに神の声なんだよ。」
級頼高校が誇る技術の賜物って所か。 こりゃうちの学校の3Dプリンターを使えば、相当の無茶が無い限り使ってくれそうだ。
「こうして君に語りたいけれど、今は試合中だ。 タネを明かされた以上は、容赦はしないよ!!」
「あいにく、最初っから全力じゃないのは面白くないと思ってるんでね!!」
そういって俺はロープリングを構えて1発放つ。 それを司が避けたタイミングで2発目を撃つ。 1発目を避けた司は2発目にも反応して避けたが少し遅かったようで、左腕にリングが当たり、あっという間に、司の上半身を縛る。
「この武器・・・ まさかこの武器にも曲がる性能が付いているとはね! なんだかズルイじゃないか。」
そう言いながら上半身を必死に抵抗させて縄を解こうとする。 下半身は縛られていないので、反動で上へ上へと飛んでいく。
「俺の武器は「曲がる」んじゃなくて、「追尾する」性能なんだ。 だからあんたの武器みたいに任意で曲げれないんだよ。 そしてこの武器も。」
今度はブーメランチェイサーを構える。
「こっちこの方がかなり追尾性のいい武器でね。 俺が一番愛用しているんだ。」
「・・・・・・!! 素晴らしいじゃないか。 その技術は今度教えて貰えないかな?」
「俺はそんなに詳しくないから教えれるか分かんないけどな。 でも今は少し倒れててくれ。」
ブーメランチェイサーで司を一気にダウンまで持っていく。 そしてそのままその場を去る。 状況を把握してみると、現状こっちがあまり有利とは言えない。 啓人を守るように戦っているのもそうだが、級頼高校は武器がかなり特殊なようで、司と菫ではない残り2人もなかなかにいやらしい武器を所持しているようだ。
そんなことを考えていたら、双方の戦力ゲージが1/3ほど減った。お互い2人ずつ倒されたようだ。
「もう! 弾が曲がってきて避けようがないのよ!」
「やっぱり仕掛ける前に詰められたら意味がないなぁ。 壁という壁が今回は少ないし。」
倒されたであろう鮎と雪定がそう通信をしてきた。
「戦況的にはよろしく無さそうだよ? どうする? リーダー?」
啓人もあまりいい方向に進んでないことを焦っているようだ。
「とりあえず2人は再度同じ相手と戦っててくれ。 多分あっちのリーダーも混ざることになるかもしれないけど、なんとか対処してくれ。 それと啓人。」
「なんだい?」
「今曲がる実弾持ちはどこにいるか把握出来るか?」
「集落の右側、森の中にいるみたいだよ。」
「俺はそいつを一度集落方面まで引き寄せる。 そして俺達の戦いが始まったらやつの手元を見てくれないか? 憶測で申し訳ないが、やつの実弾曲げになにか掴めるかも知れないからな。」
先程言った憶測、司の言っていることがそこまで重要視されることなら、奴は違反を犯している可能性がある。 申し訳ないが戦いの世界ではないが、そうなってしまった場合は覚悟を決めてもらおう。 そう考えながら菫に会いに森の中に入る。
陽の光がほとんど入らないようなこの森、見つけた方が明らかに有利は取れる。 しかし奴と俺とで決定的な違いは、あいつの持ってる武器から放たれる実弾がどこまで曲げれるかによっては、木々の間をくぐり抜けてくる可能性がある。 ダメージ量的にはそれは避けたい。 なるべくなら奴のそのタネを明かすために表舞台に戻ってきて欲しいものだが・・・・・
森自体はそんなに広くないためお互いに見つけるのは容易だろう。 そら早速いた。 でも奴の姿をそのまま認識してはいけない。 先程やっていたミラージュポラロイドの幻影かもしれないからな。 まずは牽制でロープリングを放ってみる。 発砲音がしたにも関わらず菫は動かない。 という訳で見るまでもなくハズレだと分かったので森の少し奥に入る。すると、再度菫が現れた。 さて本物ではないとしてどこから投影して・・・・
「・・・・・・?」
なんだ? この底知れぬ違和感は?気配を感じたので後ろを振り返ると菫がいた。 前にもいるのでこれで2人、いやどんどん増えていっている。
なるほど、これがミラージュポラロイドの本来の使い方か。
『ふふふ、どうやら僕をこの森から出そうとしているようだけど、そんなことは一切させないよ?』
20人分の菫の声がエコーのように俺の耳に入ってくる。 正直耳障りになっているが、これでは試合にならない。
「そうやって数を増やして、相手を錯乱させるのが目的か? タネが割れば大した武器じゃないな。」
ちょいとばかし挑発をかけてみるが、あまり得意じゃないんだよな、口撃ってのは。
『虚勢を張っても無駄だよ。 君はこれからこの分身から放たれるマグナム弾から逃れられないんだからね。』
「へっ! ロングスタイルの武器を使用中にショートスタイルが使えるかよ! それぐらい習っただろ?」
『だけど、君はこの武器の特徴を捉えきれてない。 そんな状況の君に勝機はないと思うけど?』
「数で敵の戦意を消失させようとしかしてないお前よりは幾分マシだとは思うがな。 そんなに自信があるなら直接かかってこいよ。」
そういうと、ミラージュポラロイドの菫が一気に消えた。 さて、ここからが本番だな。 いくら挑発したとはいえ、そうやすやすとタネをポロッと落とすだろうか?
そう考えていると発砲音が聞こえた。 また実弾がきたが今度はしっかりとギリギリまで実弾を引き寄せてそこから避ける。 対処法が分かればこちらのもんだ。
「お前みたいに・・・・お前みたいになんでも勝った気でいる奴が、僕は大嫌いなんだよ!!」
やっと本体の登場か。 姿は全部ミラージュポラロイドで知っていたが、今までと違うのは手に2つマグナムを所持しているところか。
そのマグナムだが、よく見ると奇妙な点がいくつか見えた。 本来の銃の部分にハンマーと呼ばれる親指を置く部分があったと思ったのだが、その部分にダイヤルのようなものが見えた。
ダイヤル・・・・手動リロード・・・・・ もしかして・・・いやどちらかと言うと憶測がある程度当たっている可能性の方が・・・。
「ジロジロと見てるんじゃないよ!!」
何発か連続で撃ってきたので、そのままバク転をしながら森の出口へと走る。
「逃げるな!」
そういいつつも菫は弾を撃つどころか、弾丸を補充し始めた。 手動リロードも本当だったか。
とりあえず森から出たので改めて向き直す。
「やっと広いところに出たな。 これで心置き無く戦える。」
「はっ! 条件はそっちも同じなんだろ? だったら僕の武器には勝てないよ!」
おうおう、さっきの挑発がよほど聞いたんだろうな。 怒りの顔で顔がぐしゃぐしゃだ。
弾がリロードされているマグナムから左右1発ずつ弾丸が飛んでくる。 下手に避けることはせずに、そのまましゃがむ行為をする。 その後に「ギャリギャリ」という、歯車を噛み合わせたような音がしたと思ったら両肩に鈍い痛みが走った。 斜めに入った感覚があるので、飛んでいった弾丸が緩やかに曲がって肩に入ったようだ。 流石に予想が出来なかったので少し怯む。
「ははは!! 避けたと思ったのか! 残念だったな!」
歪んだ笑顔をこちらに向ける菫。 こりゃ勝ち誇ったような感覚に陥ってるな。 ま、これから正気に戻すがな。
「ふぅ。」
「・・・・おい、なに平然とした顔で立ち上がってんだよ! お前はそのままひれ伏せてろよ!」
「お前の撃った弾丸がなぜ曲がるのか。それは手元のダイヤルを使って弾丸を機械的に曲がるようにしているからだ。 なら弾丸にも細工されてる事になるから手動リロードになるのも頷ける。」
これが実弾が曲がる要因だ。 ま、俺の考えていた「弾丸に空気抵抗を利用して曲げている」とは答えが違ったが、今は関係ない。
「それがどうしたんだよ! それが分かった所でどうする事も出来ないだろ!?」
「いや、この時点でお前は、いや級頼高校に勝ち目はない。 そう断言してやる!」




