第4節 女神の褒美と始業式、即席パーティ
今回はちょっと短いです。
目が覚めると、浮遊感に襲われていた。 ベッドで寝たはずの自分が浮遊感にある。 つまり夢の中だということは容易に想像出来た。 あれか、夢だと分かる夢って奴か。
「飛空さん」
声的に女神様だろう。ヘッドホンの姿をしていたが流石に夢の中にまでヘッドホンの姿じゃないだろう。
声は後ろからしたのでそう思いながら後ろを向くと、最初にあった時の女神様・・・だと思っていたのでかなり不意をつかれてしまった。
なんでって・・・後ろを向いたら下着姿の女性がいたら、思春期真っ只中の少年には刺激が強いわけで、いや嫌いじゃないけどさ!
「うふふ 驚かれているようですね。 第一段階は成功と言ったところでしょうか。」
スタイルがいいとはこういうことを言うのだろう。 青のチェック柄の上下の揃っている下着を来ている女神様。下着で隠れていない白い肌が眩しく感じ・・・・・
・・・・って 凝視してるんじゃないよ!俺! 女神様だぞ!? 見るのも躊躇わないでどうすんだよ! 慌てたように俺は視線を別の方向に逸らす。
「な、なんでまた夢に干渉してるんですか!? って言うか服はどうしたんですか!?」
必死の抵抗で顔ごと別の方に向ける。
応える! 意外とこれは応える!
「顔を逸らしつつも目をこちらにチラチラさせてる所を見ると、興味が無い訳ではないんだよね。 それに君はこういうのは好きだと思うよ。前の世界で良く知ってるんだ。」
めちゃくちゃニヤニヤしながらそんな事を言ってくる羞恥を知らない女神様。 人の思考や性癖をなんだと・・・・
っていうか知ってるのが怖いんだけど!? こっそり見てたんか? 前の世界の時の俺を!? うわっ!恥ずかしっ!! 他人に見られることが1番恥ずかしい気分に・・・・ってそうじゃない! 聞きたいことが普通にあるんだ!
「ていうかなんでこの夢の世界に俺を呼んだんですか? そんな恰好で待機して。」
「冷静を装ってもダメだよ? 君の事は君以上に知ってるからね。 そうだね。呼んだ理由は、この世界に来てくれたことのご褒美をあげちゃおっかなって思って。」
「ご、ご褒美?」
そういって女神様の方を向くと徐々にこちらに近づいてきて、終いには俺に抱きついてきた。
うわ!感触が!! 甘い匂いが!
「初日で色々とあって疲れていると思ったので癒しを与えようとひとつこのような手に出たというわけです。 初々しい反応ですねぇ。」
なんか考える事を忘れるくらい甘い匂いと感触に包まれて流石にヤバイかも・・・・ こんな・・・ご褒美・・・ 初日からこんなのじゃ・・・
「うふふ 流石に刺激が強すぎましたね。 もうそろそろ目が覚めると思いますが、これからも今の世界で頑張って行きましょうね。 落ち込んだり行き詰まったと思ったら私に相談してくださいね。」
女神様がそんな事をいって徐々に離れて、やがて少しずつ瞼が落ちて、次に目が覚めると、寝た時の天井がお出迎えしてきた。
「あ、飛空も起きたんだね。 おはよう・・・・どうしたの?」
「す、すまん・・・ ちょっと・・・待ってくれないか?・・・」
フーッ、フーッと鼻息が少し荒いことに海呂は疑問に思ったのだろう。海呂の疑問に時間という返しを申し出た。
だって・・・・あんな夢の後じゃ・・・興奮も冷めやまないって言うか・・・・ 流石にヤバイ・・・
冷ますまでに他の2人も起きたので落ち着いた。
目の前のヘッドホンに少し悪意を感じた。初日になんてことしてくれんじゃい。
「そんなに怒らないでくださいよぉ ちょっとした女神からのご褒美ですよ? 喜んでくださいよ。」
そういうのは時と場合を・・・・つか初日からご褒美あげてどうすんだ。
落ち着いたのでベッドから降りる。 時間は7時だったが点呼があるのと、朝ごはんの時間になるため部屋を出る。 一階に降りると新入生から在校生まで多くの生徒がずらりと並んでいた。
先頭を見ると寮母の明石さんが頑張っていた。 え?1人でやってんの?
5分もすると明石さんの前に立った。
「おはよう。ここに自分の電子生徒手帳を置いて。 よく眠れた?」
「ええ。 認証システムだったんですね。 1人で全員を見ているのかと思いましたよ。」
「そんな風に体は出来てないわよ。 もう1人を見るのはアバターで充分。 はい点呼は終わりよ。 食堂で朝ごはん、食べてきな。」
自分の電子生徒手帳を受け取り、食堂に入ると昨日の夜とは大違いの騒がしさがあった。 これが学校全員が集まった時の食堂か。 いい席を見つけるのは骨が折れそうだ。
「朝ごはん食べて、準備しなかんな。なんてったってレクリエーションやもんな。」
そうなのだ今日は始業式とレクリエーションを一緒にやるのだ。 とりあえずは腹ごしらえだけどな。 朝食のハムエッグを食べ終えた俺たち4人は、部屋に戻り、昨日貰った武装とホルスターをセットする。
ちなみにショートスタイル以外はホルスターに入るとグリップ以外の部分は消えたように見えない。
他に使わないため、銃身を全部見せる必要がないんだそうだ。間違って出さない限りは銃身は見えないそうなのだ。
さて、準備ができたので教室に行くかね。 寮から教室棟まではそんなに遠くない為スグに着いた。
「ほなまたレクリエーションの時にな。」
「当たらない事を祈るよ。」
輝己と啓斗は別の教室の為お別れだ。
「全員が集まったら始業式が始まるみたい。」
「昨日の体育館でやるのかな?」
「レクリエーションは違うだろうけど、始業式はそうなんじゃないかな?」
意外にも席が近いのでそんなことを話し合っている。
「みんな始業式が始まるぞ。 体育館に集合をしてくれよ。」
先生の一言にみな行動をする。 新入生と在校生がごっちゃになっているので昨日よりも体育館に着くのが遅れてしまった。
しばらくするとまた後ろのドアが閉まった。 どうやらこれがここでの開始の合図みたいだ。 少しすると校長先生が壇にあがった。
「在校生諸君。春休みは満喫出来たかな? 今年から君達の学年は一つ上がる。 去年2年生だったものは3年生という最高学年に、1年生だったものは新たに後輩が出来た。 思いは様々だろうが、去年よりもより一層気を引き締め直して欲しい。 新たな環境に遅れを取らぬように精進は欠かさぬ様にな。 わしからは以上じゃ。」
校長先生の話が終わり、みな一同に拍手をする。
「ではこの後の新入生歓迎レクリエーションのために2年生は生徒会と一緒に準備をしてもらう。 3年生は時間になるまでは教室待機をしてもらう。新入生諸君は一度教室に戻り先生の指示に動いてもらいたい。」
学生はそれぞれに戻っていったり準備にとりかかったりした。 1年生は教室に戻って先生の指示を待つ。
「これからのレクリエーションってなにやるんだろうね?」
「さあ? 準備って言ってたし、しばらくは様子見なんじゃないか?」
海呂とこれからの事を話していると担任が入ってきた。
「みんな席に着いてくれ。 これからのレクリエーションに関してなのだが、みんなには男女2人ずつの4人チームを作ってもらう。4人チームが出来たところから先生に報告をくれ。 報告をし終わったら、チームで武装説明をしてもらう時間を作る。そこでこの後どういう動きをするのかをじっくり、チームとして考えてくれ。」
先生の指示に「えー!?」という叫びが入る。 いきなり女子と組むのは抵抗があるっていうか、そもそもほとんど話をさせてもらってないのにいきなりは作りにくいだろ。
「とりあえず男子ペアだけでも作ろうか。 飛空。」
「ん。そうだな。ペアよろしく。海呂」
ま、知り合った中ではこいつが1番だしな。下手なやつと組むよりは断然いい。 チラリと教室内を見るとペアが出来上がっているのは男女共に少数だ。 大体が同級生か寮仲間だろう。
「後は女子ペアを見つけることだけど、どうしようか?」
「こっちから行くか、向こうから来るのを待つか、か」
どっちもリスクを負うんだよな・・・・ でも待っているよりかは・・・・
「あの・・・・・・・」
動こうとした時に、誰かから声をかけられた。声のする方を見ると、濃い桃色の髪色に後ろの大きな三つ編みが目を引く女子がそこにはいた
「どうしたのよ白羽、急に動き出して。」
後ろの方からまた声がした。 見るとこちらも濃い桃色の髪色だったが、ショートヘアのカールがかった女子がこちらに来ていた。
「もう、どこに行くのかと思ったわよ。」
「紅梨ちゃん。 この人たち、もうペアになってるみたいなんだ。」
「え? ホントに? ラッキーじゃない。」
「確かにもうペアにはなってるけど、君たちもそうなのかい?」
「ええ。 そうよ。 あ、自己紹介がまだだったわね。 あたしは桃野紅梨。 こっちは妹の白羽よ。」
「桃野 白羽です。 紅梨ちゃんとは双子なの。」
「双子なのか。 どおりで髪色がそっくりな訳だ。 あ、俺は津雲 飛空って名前だ。」
「味波 海呂だよ。 折角だからこのまま即席パーティつくっちゃおうよ。」
「はい。 よろしくお願いします。」
「お手柄よ白羽。 これで余り物で変なのに当たらなくて済むわ。」
「どんな心配だよ。それ」
という訳で、俺(飛空)、海呂、桃野姉妹で4人の即席パーティが出来た。
「それじゃ、早速先生に報告をしに行こうか。 えっと紅梨さん 白羽さん。」
「あたしの事は紅梨で良いわよ。 後気を使わなくても平気よ。」
「わたしも白羽で大丈夫です。 よろしくお願いしますね。 飛空さん、海呂さん。」
女子を名前、しかも呼び捨てするのも気乗りしないが、女子に名前の方で呼ばれるのも恥ずかしいものだな。
この小説のヒロイン枠登場。 むさ苦しい世界ではないので