第39節 慣らしとロングスタイル、ショートスタイル
「へぇー その武器そんな機能付いてるんだ。 ほんとに便利だね。」
海呂の話を聞きながら、俺は遠隔機関銃の性能を試している。
この武器を決めてから2日間、他の武器を探りながらも性能を確認している。
この遠隔機関銃、左の小型マシンガンの他にバーニア機能が付いており、普通背中に武器を背負いながら移動する場合、かなりの機動力低下に伴ってしまうが、このバーニアによってその欠点を縮小。 移動する方向に出力が発生して、機動力低下を和らいでくれる。
追尾武器、自衛武器、機動力向上性能とまさに非の打ち所のない武器なのだ。
敢えて欠点をあげるなら火力の低さと追従性能に難アリな部分だが、そんなのは関係ないほど思えるほどに優秀だと俺は思う。
「ふぅ、でもあまりこればっかりに時間を費やしてるわけにもいかないんだよな。」
俺がそうポツリと呟く。 そう、決まったのはあくまでセミロングスタイルのみ、あと残りの二つのスタイルの枠は残ったままだ。
海呂もある程度は決まってるようだが、決めかねてる部分も見える。
そんな海呂と別れ、今度はロングスタイルの武器に行く。 するとそこには武器に迷っている白羽がそこにはいた。
「やあ白羽。 なにを迷ってるの?」
「あ、飛空さん。 実は気になる武器は見つかったのですが、どうしようか迷ってまして。」
「それって今手に持ってるその武器の事?」
白羽が手に持っているのは紅梨の持っていた高出力エネルギー砲を少々小さくしたような武器だった。
「これは「ラヴィプロテクト」と呼ばれる武器で、味方の方を1人大きな全方位シールドで包んでくれる武器なんですけれど。」
ほう。 味方にシールドをつけれるのか。 これは味方の生存率が上がるというものだ。
「ですが、1人しかそのシールドは張れないですしなにより他の武器で火力の部分をカバーしなければならないので、そこも考えなければならないなと思いまして。」
確かに味方の生存率が上がるということはその味方にはそれ相応の働きをしなければならないし、なによりそれだと白羽は確実に狙われてしまう。 うーん、武器バランスはなにより大事なんだけど、それだけじゃないと思うんだよな。
「使いたい武器を使えばいいんじゃないかな。 使っていれば自然と慣れてくるんじゃないかな?」
相性の問題は後回しになるのだろうな。 難しいことは何も無いんだろうが、まあ考えちゃうよな。
「そうですね。 ありがとうございます飛空さん。」
「俺はなにもしてないよ。 アドバイスをしただけだよ。」
そう言って白羽はラヴィプロテクトを持って去っていってしまった。 多分試しうちをしに行ったのだろうな。 さて俺もなにかヒントだけでも見つけられればいいんだが。
弾幕型、一撃必殺型、特殊武器型。 様々な型がある中でひとつをと言われるとなかなかに決まらないんだよな。 うーん、ヤマカン頼るのもなぁ・・・・・。
「お? この武器はなんだろ?」
目に止まった武器を取ってみる。 持ち上げるとずっしりと重量感のある武器だった。 試しにダミーに向かって構えて、引き金を引くと「ガンッ」という鈍い音の後に「ゴンッ」という音と共に何かが発射された音がした。 ダミーを見てみると、三角のダメージマーカーが出ていた。ダミーの上に表示されたダメージ量をみて驚愕をした。
「1発で180ダメージ!?」
今までの武器の中では最高火力だ。 もちろんこの数値は体や頭に直接当たった時の場合だ。 これらの武器は部位ごとにダメージ量が減っていく。 カス当たりでもこの火力ならぶっ壊れもいいところだもんな。 そしてもう一つはこの武器を食らった相手は強制ダウン状態になるということだ。 つまり追い討ちは出来ない。 まあ出来たら相応のダメージになるからな。
反動はそこそこあるが、ダメージ量を見れば納得がいく。 弾も2発とそこそこ使い勝手はいいかもしれない。 ロングスタイルはこいつにしよう。
「えっとこいつの武器の名前は・・・・・「レールガン」か。」
レールガンって言うと、もっとビームっぽいのをイメージしていたのだが、あれは明らかに実弾だったな。 いや実弾自体はは媒体なのか? でもいい武器を見つけた。 あとはショートスタイルか・・・・・。
ここだけはこの2日間なかなかいいのが見つからなかった。 色々と捨てがたい武器もあったんだけどな。
どうしよう・・・・・ まだ日にちがあるとはいえ、そろそろ目星だけでもつけておかないと。
そう思い、ショートスタイルの武器一覧から改めて武器を確認してみる。
「実弾武器は火力はあるけど、全弾リロードだから弾切れが怖いし、ビーム系統は常時1発ずつリロードはしてくれるけど、連射性能が悪い。 それに追い討ちがしやすいように調整されてるけど、追い討ちを単体で出来るほどのスキルは今の俺にはない。 レーザーは連射性能とリロード速度はいいけれど、火力がないってのがなぁ。」
どの武器も一長一短。 やっぱりここは順当にハンドガンかマグナムに・・・・・・
「・・・・・・・・・ん?」
そう思いながら一覧を見ていたら、一つの武器に目が入った。
気になったので試し打ち出来るようにして、ダミーに向かって放つ。 自分の思っていた性能よりも予想以上の性能に思わず、
「これだ・・・・・!」
そう呟いた自分がいた。
武装支給申請を明日に控えたその日。 俺は海呂、紅梨、白羽と自分たちの武器について語ろうと集まった。
「みんなどんなのにするか決まった?」
「うん。 でも面白いよね。 こうやって見てみると、知らない武器が沢山あって、全然飽きなかったよ。」
「これらの武器は、今までの先輩達が1度でも使った武器が載ってるらしい、ですよ。」
紅梨、海呂、白羽がそうやって会話をしている。 確かに見ていて面白かったのは事実だな。
みんなの選んだ武器を一通り見てみる。 まずは白羽、ロングスタイルのラヴィプロテクトを中心とした武器構築らしく、ショートスタイルは左の小型防御壁装置と右の「裂空砲」はダメージは多くないが、当たった相手は強制ダウン状態に持っていくという武器らしい。 セミロングスタイルは「ウィングブレード」という、前方に衝撃波の実体化したものを放つ武器らしい。
「なんか相手を近づけさせないような武装だね。」
「少しでもラヴィプロテクトの効果を持続させようと考えました。」
攻撃が出来なければ盾も破れないからな。 その判断は間違っては無いよな。
続いて紅梨。 セミロングスタイルはミサイルランチャー、ロングスタイルはプラズマブラストでこの武器はトリガーを引きっぱなしにすると放たれるプラズマが大きくなり、弾速が遅くなる代わりに広範囲の爆発範囲になるとのこと。 実に紅梨らしいチョイスだったが、ショートスタイルを見て驚いた。 なんと左右共に輝己が使っていた星球武器だった。
「紅梨、どうしたのその武器。 パンチャーになろうとしてるの?」
「近からず遠からずってところかしら? 輝己が使ってるのをみて私も使ってみたくなったのよ。 こう、ドカンと相手に一撃をぶつける感じ? あれいいなって思って。」
爆発一筋ではないからそういうのもありなんだろう。
後は海呂。 デカいシールドに加えてショートスタイルはビームマシンガンと小型防御壁装置、後は照射型のレーザー武器とこれまた一般的とも言える武装だった。
「どっちかと言えば自衛に近い武器かな? このレーザー武器は軽いから右から左へ薙ぎ払うことも出来るんだ。 その代わり紅梨の持ってるのと違って、かなり細いんだけどね。」
あれと比べるのはそもそもの間違いでは? でもみんなそれなりに決まったんだな。
「ところで飛空はどうだったんだい? なにかいい武器でも見つかった?」
「あれからそこそこ考えたんだが、ちゃんと見つけることが出来たよ。」
「どんな武器にしたんですか?」
「勿体ぶってないで見せなさいよ。」
「いいぜ。 俺が選んだ武器達はこれだぜ!」
そういって出した武器はこんな感じだ。
まずはセミロングスタイルの遠隔機関銃。 これだけでもかなり相手の裏をかける武器だ。 重宝はするだろうが、装弾数だけには注意が必要だ。
続いてロングスタイルはレールガン、俺の中ではかなりの火力をたたき出せる武器なのだが、距離が空くと空気抵抗のせいで威力が下がってしまう。 距離には注意と言ったところか。
で、ショートスタイルの左は光学迷彩銃、これは生徒が望めば一部の武器をほかの武装に引き継ぐ事が出来ると聞いたので、これは残しておいた。 闇討ちには強いんだ。
そして最後、悩んだ結果選んだショートスタイルの右は、「片手散弾銃」だ。
この武器によって至近距離のダメージの低さをカバー出来る。 今まで試してきた武器よりはふんだんに使えると判断した。
「へぇー 随分と攻撃的な武装になったわね。」
「これ、単純に見てるだけでも、充分強いですよ。」
「なかなかにいい武器に出会えたじゃないか飛空。」
そう、これが俺の第2の武装になるんだ。 支給は先だがこれだけ見ててもワクワクが止まらないのだ。 早く使ってみたいという衝動を殺しつつ、申請書を提出した。




