表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第5章 始まりは唐突に
39/348

第36節 学校案内と呼び出し、前払い

「私たちとしても今回の話には願ったり叶ったりの部分がありまして。」


 そう言って話す向こうの学校の会長 増本さんが、所々教室を案内しながら語りかけてくる。


「我々も曜務電脳統合学園の方々には学ぶ所があると確証があるので、今回の交流会はなんとしてもいい方向に持っていかねばと思っていました。」


 今回のコトをこと細かく説明している。かなり真面目な人だ。 こういう人こそが学校の中心になるに相応しい人なのだ。 まあそのへんに関してはうちの会長も負けてはいないが。


「しかし大胆な事を言うのねあなたも。 学校対抗戦なんて普通は交流を深めてからやるものじゃない?」


 志摩川先輩の言うことも最もだ。 交流も少ないのにいきなりそんな事をしても警戒心が強くなるだけだというのに。


「だからこそとも言えます。 相手の手の内を知らないので「我々の学校が最強だ。」という傲慢心を捨てて貰いたいのが私の考えです。」


 それって相手の自信を崩すことにならね? いや「世界は広い」と認識させるためのものなのだろうか?


「我々の技術も決して隠そうとしているものでは無いので、こういう機会はほんとにありがたいのですよ。 さあなんだかんだで着きましたよ。 ここが電脳室となっています。」


 そこはダダっ広い部屋だったが至る所に赤外線認知システムのような機械が設置されていた。


「ここで皆、自分たちの力の向上のために戦いを繰り返しているわ。 ここの学校の人達はみんな好戦的だから。今回の交流会ではここを使う予定だったの。 ここなら大人数が入っても電脳世界へと行けるように装置が数多く設置されているから。」


 なるほど、装置が多く囲っているほど、同じ空間だから連れていけるってことか。


「欠点としては、人数を入れすぎるとタイムラグが発生することと、観客も戦場の間近に来ることかしら。」

「そう考えると、うちは小規模だけど、その分鮮明に動けるのよね。 多くてもタイムラグの無いようにするのが一番の課題かしら?」

「それもあるが、そちらでは戦闘状況をモニターで見れるのだろ? 我々の学校にはその技術もなくてな・・・・・」


 会長同士の会話が始まってしまい、完全に他の人間は蚊帳の外だ。 どうしたものかと、迷っていると、


「せっかくですしここで話し合いましょう。 何か理由をつけて後でここに来てください。」


 先程のポニーテールの女子がまたいつの間に後ろに回ったのだろう俺に語りかけてくる。 そう言われては仕方ないので、「後で回収しに来ますから」と言って、女神様兼ヘッドホンを傍に置いていく。


「話が長くなって済まない。 次に行こうか。」


 増本さんが次の場所へと案内する。 ヘッドホンがないの、なんか落ち着かねえな。


 しばらく校内を案内してもらい、会議室へ戻ってきた所で、首筋を触り、


「あれ? ヘッドホンが? すみません、ヘッドホンどこかに置いてきてしまったので、探しに行ってもいいですか?」

「それならわたしが同行します。 どこで外したか覚えは?」

「んー。 巡ってれば見つかるかもしれません。 ついてきてくれますか?」

「分かりました。」


 はー わざとらしい。 でもなんとか許可は貰えたしいいか。 そう言って会議室を出る。


 ――――――――――――――――


 私は彼の言動にどこか違和感を覚えた。 だって彼がヘッドホンを無くしたくらいで、そもそもなくした時点で言うような彼が何故今頃になって言うのか。


「すいません。 私ちょっとお手洗いに行ってきても?」

「構わないが案内しようか?」

「いえ大丈夫です。場所はそれとなく覚えているので。」


 そう言って会議室を出て、飛空さんと先ほどの女子が上に上がっていくのが見えたので後をつけていく。


 すると着いたのは電脳室だった。 ここで飛空さんは置いてあったヘッドホンを取って彼女へと向き直りました。


「こんなに回りくどい事をしなくても良かったのでは?」

「正当な理由が欲しかったんだ。」


 いきなり2人で話し始めちゃった。 これはどういう事なんだろう?


「事の説明に入る前にまずは自己紹介からだと思う。 お互いに名前も知らないんだからな。 俺は津雲 飛空 あんたは?」


「わたしは芥川 翔凪(あくたがわ しょうな)。 話というのは了平、響月 了平(ひびき りょうへい)についてよ。」


「俺を最初に見た時に品定めするような目で見てたあいつの事か?」


 二人の間にはその人の認識があるみたいだけど、私にはさっぱり分からない。


「そう。認識してるなら話は早いわ。 あなたなら彼を満足させることが出来ると思うの。」

「その前に君と彼はどういう関係だ? それに意図が読めない。満足させるってなんだ?」


 この話に第三者の私が聞いていいのか分からなかったけれど、ここまで来たからには後には引けなかった。


「彼とは幼馴染みの関係よ。 彼は中学の時からこの電脳世界のバトルにハマって、地元ではチャンピオンになるほどだったの。だけど、この学校でも彼は勝ち続けてしまい、この学校では彼を満たせないと遠くから見て感じたわ。」


「で、今回の交流会の話になって、もしかしたらと思ったわけか。」

「そう。 生徒会メンバーは確かに強い面々だと思ってはいた。 だか、彼を満たせるものがいるかどうかが不安だった。 それであなた達が来た時に、彼を見たらあなたの事を見ていたの。 私も思ったわ。「もしかしたら彼が了平の追い求めていた、ライバルに相応しい存在なのでは?」と。」


 飛空さんは確かに強い。 でもそれはその了平という人も同じという事なのだろうか? でも私もそんな試合があるなら見てみたい。


「なるほどね。 正式なライバル認定の誘いか。でもなんで君なんだ? 直接こさせればいいのに。」


 確かにそれは思った。 こういう展開って「お前は俺のライバルに相応しいと思った。 さあ戦おうじゃないか。」みたいな感じになると思ったんだけど?


「彼は戦いは強いのですがどうも口下手なので、直接的に言えない部分があるのです。 それにわたし個人としてもあなたに興味を持ちました。 なのでわたしからその感謝の気持ちの前払いをしようと思って。」

「前払い?」


 私もそう思った時、芥川さんが、飛空さんの首筋に腕を巻いて、飛空さんと顔を近づけて唇を・・・・・・


「って! そんなことしちゃダメーーーー!!!」


 私は思いっきり電脳室のドアを開けてキス展開を止める。 な、何をしようとしてるのよ! この子は!


「夭沙! いつの間に!?」

「おや、聞かれていたのですか。」


 未だに飛空さんの首筋を持って抱いている芥川さんがを引っペがす。


「な、何をしようとしてたんですか! あなたは!」

「何を、と言われても、わたしは津雲さんに感謝の気持ちを・・・・」


「そういうことを聞いてるんじゃありません! 前払いで、キ、キスするなんておかしいでしょ!?」


 何を考えてるのか分からなさすぎてこっちも頭に血が昇ってしまう。 飛空さんは飛空さんでほうけているし。


「・・・・・確かに今のはわたしが悪かったですね。 ものには順序があることを忘れていました。」


 そもそもキスをしようとした時点で順序もなにも無いような気もしたけれど、とにかくキスというショックになりかねない事態は避けられたようだ。 そう思って掴んでいた飛空さんの腕から離れた。


「では戻るとしましょうか。 あまり長いと不審に思われるので。」


 そういって芥川さんは私が掴んでいた腕の逆側の腕を掴んで、強引に引っ張り、飛空さんがバランスを崩した所に頬にキスをした。


「あーーーーーー!!」


 その時私は叫ぶ事しか出来なかった。


 ――――――――――――――――――


「お、おかえり。見つかったかい?ヘッドホンは・・・・・ どうしたんだい? なんだかやつれてるように見えるけど?」


「いや、まあ、あはは。」


 志狼先輩の心配に笑って返すしかなかった。 こちらとしても状況が色々と整理出来てないので、なんとも言えないのだ。


「夭沙ちゃん。 どこか気分でも悪いの?」

「・・・・・別に、大丈夫ですよ。 歌垣先輩。」


 こっちはこっちで気分が良くないし。


「じゃあ全員揃ったところで、話もついたみたいだし、私達はお暇しますか。」


 志摩川先輩がそういうので、我々は正面玄関へと向かう。 ふぅ、なんか異様に長く感じたんだけど。 まだ昼だよな?


「ではワタクシらはこれで。」

「ええ、また1ヶ月後に会いましょう。」

「またいつでも来ていらして下さい。」


 校長同士の会話と増本さんの別れの言葉を聞き、車に乗り込・・・・・もうとした時、腕を引っ張られた。 振り返ると俺の服の袖を袖を持った芥川さんがいた。


「あ、芥川、さん?」


「今度会うときは翔凪と呼んでください。 了平共に楽しみにしていますので。」


 そう言って最後に再度頬にキスをされる。 今日だけで、頬にキスを二度された、しかも同じ人に。


 頬に手を当てていると後ろから殺気を感じたので慌てて車には乗り込む。 後部座席が空いてなかったので助手席に乗る。


 車で帰路を辿っていると、


「飛空君。」


 校長先生から声をかけられたので、「はい」と短く返事をする。


「女の嫉妬というのは、時にその者の行動が変わる時もある。」

「はい?」

「女の子の扱いは間違えてはいかんぞ。」

「あの、何の話です?」


 そう聞き返すと「そのうち分かるようになる。」と話を切られてしまった。 でもなんか人事では済まない気がするので、そっと心にしまっておいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ